「やさぐれ魔法の王女様」 7、ペデフィルの手記


 ユイに連れられてクロムが部屋に入ってきた。社交パーティー用のドレスと綺麗な髪飾りを付けている。カレンはユイに「楽な格好にさせてあげなさい」と言い、クロムのドレスを脱がした後、ジャージを着せた。

クロム
「・・・急なのはいつものことだけど・・・どうしたの?」

 テーブルにはお茶のセットと紙が数枚置かれていた。カレンが用意したようだ。ユイとクロムは促されて椅子に座った。

カレン
「あなた達に教えなきゃいけないことがあるの。実は・・・最初は黙っているつもりだったの。その理由も合わせてね」

クロムとユイは目を合わせた。カレンがいつもとは違う空気感を出していることにすぐに気が付いた。

カレン
「あなた達、私があと2週間もしたら21歳の誕生日を迎えて魔法を授かるってことは知ってるわよね?」

ユイ
「はい、もちろんです。カレン様がその魔法をあまり信じていないことも」

クロム
「全く資料が出て来ないこと含めてね」

カレン
「そう、私はもう諦めていた。当日になれば答えがわかるって割り切ってた。もうこれ以上の魔法の資料は出て来ないって思っていたんだけど・・・こんなものが出てきたの」

 テーブルの下の引き出しから手帳を引き出すとクロムとユイの前に置いた。

ユイ
「これは・・・大分古い手帳?・・・日記ですかね?」

カレンはクロムの方をちらっと見た。

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5,650字
「龍を倒す」こと。剣や魔法でドラゴン退治はファンタジーの王道ですが、そんな王道から少し外れた先の未来。握らなければいけないのは剣や魔法の杖ではなく、自分の種になるかもしれない。

完結済みのオリジナルの小説です。全21話。文字数は大体18万字あります。少々長いですが良ければどうぞ。

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