「やさぐれ魔法の王女様」 4、クロムの呪縛


 次の日、カレンたちはある場所に向かうためにユイが運転する車に乗っていた。助手席にクロムが座り、カレンはトランクに押し込まれている。

カレン
「ったく・・・どうして私がこんな場所に・・・一応王女様なのよ!」

ユイ
「我慢してください。あなたは無意味に有名人なのですから見つかるとそれだけで面倒なんですよ。今回は昼間に移動するのでいつものようにはいかないのです。ただでさえ目立つ車なんですからこれ」

 乗っている車は王族御用達の高級車。クロムも同型の車を所有していたが地位で違うのは外装ではなく内装である。外装だけでは誰が乗っているのかわからないようになっている。

カレン
「・・・全く、窮屈なモノね。これはそろそろ何か考えないとだめよ」

カレンがブツブツ文句を言っているのをユイとクロムは笑っていた。

クロム
「でも、私がカレン様に連れて来られたときは助手席に乗っていませんでしたか?」

ユイ
「あれはパーティ会場が王都内だったのと、夜になっての移動でした。それにあの時あそこには沢山の王族関係者の車両が詰めていましたので紛れ込んでいたのです」

 車を走らせること30分。王都にほど近い場所地方都市バンデル。その一等地にあるトワイプス・サセモスの邸宅に到着した。ガレージに車を入れて止めると、ユイはトランクルームを開けた。

ここから先は

8,023字
「龍を倒す」こと。剣や魔法でドラゴン退治はファンタジーの王道ですが、そんな王道から少し外れた先の未来。握らなければいけないのは剣や魔法の杖ではなく、自分の種になるかもしれない。

完結済みのオリジナルの小説です。全21話。文字数は大体18万字あります。少々長いですが良ければどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?