見出し画像

卵・壁・韓半島

0:
最近、村上春樹の2009年2月の『エルサレム賞』受賞式典におけるスピーチの内容をふと思い出したので、一部を抜粋し紹介したい。
参考:
https://ameblo.jp/fwic7889/entry-10210795708.html
『「高くて硬い壁と、壁にぶつかって割れてしまう卵があるときには、私は常に卵の側に立つ」
そう、壁がどんな正しかろうとも、その卵がどんな間違っていようとも、私の立ち位置は常に卵の側にあります。』
『何が正しくて何が間違っているか、何かがそれを決めなければならないとしても、それはおそらく時間とか歴史とかいった類のものです。どんな理由があるにせよ、もし壁の側に立って書く作家がいたとしたら、その仕事にどんな価値があるというのでしょう。』
このスピーチの一節、筆者が韓日(日韓)関係に限らず、人間社会の諸問題に対する運動について言いたいことを普遍的に表しているのではないかと思い、紹介させていただいた。

1:
2018年後半あたりから、韓日(日韓)関係の雲行きが怪しくなってきている。
第一義的には韓国の国内法・三権分立の原則の問題に関わることであり、国家の枠組みや法令の適用・運用のことだけみていると物事の本質を見誤り、ひいては将来に新たに禍根を残すことになりかねない。

日本統治(植民地)時代の『徴用』に関する韓国内での裁判や、第二次大戦中の『慰安婦(事実上の性的搾取)』の問題(に関わると日本国内でみられている作品の公開中止)、度々起きる舌禍(炎上)問題…

『力で捩じ伏せた約束なんか当てには出来まへんでぇ…人間やっぱり、真心でんがな』という『ミナミの帝王』という漫画の主人公の金融屋・萬田銀次郎(の口を借りた原作者)の台詞がある。

日本政府、そして私達日本人は、往々にして物事を力で捩じ伏せてきたし、それを繰り返そうとしている。
例えば、筆者の故郷である熊本県で起きた『水俣病』事件。
現在進行形であるのは、福島第一原発事故により生活基盤を喪失し、今なお『ディアスポラ(流浪の民)』状態にあり、生活を立て直せない・核災害による健康面への不安を抱える人々、農産品の信用毀損(人は『風評被害』という)のダメージを被っている人々への本邦の人々の扱い。
また、#metoo 運動の中で性犯罪の被害の実態を世に知らしめようとしたした人々への人々の視線。

長らく本邦に住まう人々は権力者や各地のボスの顔色を伺い、阿り、ムラの秩序を保ち『表向き平穏に』日々を過ごすことが至上命題であり続けているといっても過言ではない。
そんな社会で異議申し立てをすることは、己の『ムラ(コミュニティ)』で『干される』『村八分』という不利益を受けることを甘受することになる。
『人間やっぱり、真心でんがな』とはいえ、長いものに巻かれることを処世術としてきた私達は、他の国の人々にも同じ感覚で向き合えると思い込んでいるようである。
直近の『徴用工』『慰安婦』問題というものは、私達日本人が韓半島の『第五共和国体制』と『(国交がほぼなかった)社会主義体制』に対して、日本統治時代の『業』や『罪』を力で捩じ伏せてきたことの反動だと理解するほうが自然なのではないか。

2:
私達日本人は、長い歴史の中で、いつしか韓半島(朝鮮半島)とそこにルーツがある人々を格下扱いするようになった。
彼等が日本の体制や(筆者を含む)日本人に異議申し立てをすると、まるで宗主国や奴隷主のように日本人が韓半島側に対し居丈高になる。
つまり、日本人にとって韓半島(それだけでなく、東南アジア地域)は自分の所有物やペット・家畜のような感覚を持っているのではないか、と思ってしまうのである。
大変にキツく、失礼であることは覚悟の上だが、そうだと思わざるを得なくなった。
それは、保守的とか進歩的とかいうイデオロギーの違いでは説明しにくくなっている。

『リベラル』という括りに入る人々でさえ、近年の韓国に対してどこか『上から目線』とか『格下扱い』とか『植民地の支配者』的感覚でみているようにしか思えない。

結局、思想信条問わず、日本人は数百年もの間韓半島を軽蔑してきたのである。
その『毒』が市井の人々にまで回っている。
最終的に自滅するしかないのだろうか。

インターネットの外の現実社会では人々の顔色を伺い、空気を読んで無難に過ごすことになるだろうが、せめてインターネットの世界だけでも、『常に卵の側に立つ』ということを貫きたい。

3:
筆者が『卵の側に立つ』ためにやっていることを紹介しておく。
①韓国語の勉強
これは、運輸関係の仕事の中で、韓国からの観光客の方々に対応する機会が増えていたこともあり、よりスムースに、少しでも安心していただけるよう『アイスブレイキング』のためになれば、と思い、自発的にやっていることである。
元々は韓国の社会派ドラマや映画に関心が出てきたことがきっかけである。

②SNSで韓国関係のユーザーを読者登録(フォロー)する
少しでも韓国語に慣れようと、インスタグラムやユーチューブでは韓国関係のユーザーを読者登録させていただいている。
韓半島関係の重要ニュースがあれば都度チェックするためであり、リーディングやリスニングの練習を兼ねるつもりである。
なによりも、一種のバイアスやステレオタイプに囚われ、悪癖をナチュラルに発露しがちな本邦のレガシーメディアと距離を置くためである。

インスタグラムでは、青瓦台や文在寅大統領やKBSニュース・アナウンサーなどをチェックしている。
ユーチューブではKBSやJTBCのアカウントで必要な時にライブ配信を見るようにしている。
また、ツイッターでは、韓半島(朝鮮半島)に縁がある一般ユーザーの方たちを読者登録するようにしている。
『オワコン』化しつつあるツイッターではあるが、一般ユーザーの方の声が『ナマの声』に近いのではないか、と思っているし、私達日本人と異なる視座から物事をみることから大事なことを発見するキッカケになるのではないかと思うようになったのである。
それは、'18年に一度ツイッターのアカウントを閉鎖して、以前チェックしたりオフ会などで交流があったリベラル派のユーザーたちと距離を置いてから、一度リベラル派の価値観を疑ってみるべきだと思ったことが始まりである。

兎にも角にも、私達、いや、私だけでも、本邦に蔓延している集団狂気から離脱する必要があるのではないか。
そうしなければ、なにかのキッカケで日本は本当に滅び、その巻き添えを喰らう、そういう予感に囚われている。
#日韓関係 #徴用工 #慰安婦

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?