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居酒屋名店探訪! 門前仲町 魚三酒場 第2回(パロディ百人一首等付きです)

【門前仲町 魚三酒場 第1回】からの続きです。前回の記事をご覧になっていない方はこの記事の最後にリンクを貼っておりますので、そちらからご覧いただけたら嬉しいです。

さて前回の記事はつまみをオーダーして、酒もビール大瓶に加えて冷やのコップ酒も頼んだところで終わりました。

向かって右から4つ目、コップ酒210円という破格の価格に感動しました。

さてさておつまみの方はどうなったかというと……、出てまいりました。出てまいりました。(^^♪

まずは、じゃーん!
べったら漬けとむつの子煮つけ。
厚めに切られたべったら漬けは歯ごたえしっかり、噛みしめると甘酢とともに大根のうまみが広がります。
一見するとたらこのようなむつの子煮つけ、これってたらこのような味かと思ったら、たらこの煮つけのようなパサパサ感がなくだいぶ旨味が強いです。
どちらも日本酒にぴったしです。
ビールをチェーサー代わりにしてコップ酒グビグビ!

そして次のおつまみが出てまいりましたよ。

じゃじゃじゃーん!
出た! 手前このしろ酢締め、向こう肝付あわびの刺身です。

肝付あわび、身はコリコリ! 広がる旨味! これぞまさしくあわび!
そしてこの肝のねっとりまろやかな旨味と甘み。もうこたえられません。
肝食えばのどが鳴るなり旨味に甘み ♪
そしてここですかさず、コップ酒グビグビグビー! ぷはー、美味い!

(肝食えばのどが鳴るなり旨味に甘み~いちおうは正岡子規のパクリということで。(汗))

そして皆の衆どうか聞いて下さいよ。この肝付あわびのお値段おいくらだと思います?
なんと700円! 700円なんですよ!
信じられないですよね。こんなのニューヨークで注文したら3万円はきっとしますよ。(笑)

次にいきますのは、このしろ酢締めです。これがまた脂が乗っていて実にうまいのなんのって。
それに銀色に輝く皮目に浮き出る豆絞りの文様、粋でいなせ、美しいですよね。

「こはだからこのしろに成長すると寿司ネタにならなくなるんで、途端に市場価格が下がるんですよね。小骨の多い魚なのでさばいて下ごしらえするのは大変なんですけど、このように上手く料理すると、こはだ以上に味わい深いものがありますよ。特にこの時期のこのしろは脂が乗っていて美味いんです」と、久須美さん。

このしろの豆絞りずり彼ゆゑに乱れそめにしわれならなくに

百人一首の左大臣 源融の歌をパロリました。(笑)

いやいやもうこの、このしろの豆絞りずりの模様を目で味わいつつ、つまんでいきます。お酢の風味と見事に溶け合った口中に広がる脂の乗った魚の旨味。ここでグビグビグビーっとコップ酒、それっコップ酒!
ヤバいっす。オレもう酔っぱらって来ちゃったよ!

ここのところ上の歌の訳ですが、しかしまあ、この百人一首の恋の名歌がただの飲んだくれ野郎の歌になっちまったよ。

この後、あら煮、鯛あら煮、ししとう素揚げ、小柱かき揚げと4品ほどを食べている途中で箸休めのべったら漬けがなくなってしまったので、もう一品箸休めとしてぬたを頼みます。

葱とわかめのシンプルなぬたです。これくらいのが箸休めにはちょうどいいのです。コップ酒は熱燗にして三杯目に突入しました! 
酔い加減ドロン!

このたびはぬたもとりあへず手向け酒箸休めとてあてのまにまに

百人一首の菅原道真公の歌をパロりました。(笑)

つまみをばくばく食べるに任せて酒もがばがば飲んでいたけれど、ちょっと休憩。今度はぬたをとりあえず箸休めの酒のあてとするね。

元の歌は、山全体の紅葉を幣(ぬさ)に見立てて、旅の神様に奉納するという荘厳かつ壮大な歌だったのに、それこそ大酒は飲むは、酒のあては食いたいだけ食うはの意地汚い酒飲みの歌になってしまいました。
天神様、菅原道真公ごめんなさい。罰を当てないでね。

しかし天神様に怒られるかも知れないというのに、この不届きもの達はさらに二品注文しました。
それがこれ、大根煮とぶり汁です。

手前が大根煮、向こうがぶり汁です。

この大根煮はなんとぶりが入っているんですよ! 素晴らしいですよね。だけど添え物程度に入っているということなのか、品書きはあくまでも大根煮、ぶりのぶの字も見当たりません。なんと奥ゆかしい。
ぶり汁にはぶりの身がゴロンゴロンと入っています。
最後大根とぶり汁が胃をやさしくなだめてくれました。

ごちそう様でした。今日もありがとうございました。
そして酔い加減はもうドロンドロンです。

そしてお会計の方は、二人合わせてほぼほぼ5千円でした。
安い! 酒はビール大瓶1本とコップ酒一人3杯づつの合計6杯。おつまみたくさん。

いやぁー、ほんと安いです。
これがニューヨークだったらきっと10万円は取られますよ。(笑)
アメリカの平均年収は日本の1.5倍から2倍ということで、日本はすっかり停滞してダメな国になってしまった。さすがはアメリカ様だ。そんなイメージが大勢になってきているかも知れないけど、日本の物価はなんだかんだ言って低く保たれています。医療費も安いし。このように日本の物価が低く保たれる仕組みがしっかり解明されて、普遍的な経済政策として運用できるものとなり、所得の上昇率が物価の上昇率を上回るような経済になれば素晴らしいことになると思うのです。
これは日本経済だけではなくアメリカ経済にも適用されるものになるならば、アメリカのためにもそれに越したことはないでしょう。
もしかしたらもしかしたら、アメリカの国家中枢にいる人に、この魚三酒場の飲みの有様を見てもらったら、きっと感銘して何かの気づきがあるかも知れないかなと、酔いに任せてかなり飛躍しすぎておりますけれど考えたりもしました。。

つまみはすごいぞ 肝付あわび
酒 210円コップ酒
見よ酒飲みの 必勝陣
いざ来いバイデン、トランプちゃん
出て来りゃ安酒 酒落とし

比島決戦の歌のパクリでした。(笑) 
しかしこの替え歌には、当時とは真逆に我が友邦米国に対する限りない親愛の気持ちが込められていることを感じ取って下さい。
外務省から表彰されてもいいんじゃないかな。(笑)

店を出て、駅に向かってふらりふらりと歩きます。久須美さんと飲む時ははしごをすることも多いのですが、今日はもう二人ともドロドロでいっぱいいっぱい。明日も仕事だし帰ることにします。

歌が口をついて出ます。

いつまでも絶えることなく
ドロドロでいよう
今日の酒さようなら
また明日飲もう

いつの間にか二人でこの歌を唱和しながら駅に向かって歩いていきました。


柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺  正岡子規

陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに
乱れそめにし われならなくに

百人一首14番 河原左大臣 古今和歌集巻第十四 恋歌四 724

このたびはぬさ(幣)も取りあへず手向山紅葉の錦神のまにまに

百人一首24番 菅家 菅原朝臣 古今和歌集巻第九 羇旅歌420


陸には猛虎の 山下将軍
海に鉄血 大川内
見よ頼もしの 必殺陣
いざ来いニミッツ マッカーサー
出て来りゃ地獄へ 逆落とし

比島決戦の歌(第2番) 作詞:西條八十 作曲:古関裕而

最後に……。
中村先生。いつもタイトル画像にご登場下さいましてありがとうございます。お疲れ様です。心から感謝申し上げます。また次回もどうかよろしくお願いいたします。


前回の記事【門前仲町 魚三酒場 第1回】はこちらからご覧ください。よろしくお願いいたします。

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