女性の単身新規就農について思うこと
こんばんは、北海道で女性単身・新規就農を目指す松井三奈です。
今日はちょっと、「女性の新規就農」について話そうと思います。
そもそも、「新規就農」とはどのような意味かご存じでしょうか?
私の周りに「新規就農」と言っても、「ナニ???収納??」と聞かれることも。(笑)
①「新規就農」とは
農林水産省によると、「新規自営農業就農者」「新規雇用就農者」「新規参入者」の3者を指します。
具体的には
「新規自営農業就農者」…親や親族等が農業をしていて、新たにそこを継承したり、従事する者
「新規雇用就農者」…農業法人等に就職し、雇用されて働く者
「新規参入者」…農地や資材等を自分たちで調達し、新たに農業に参入する者
と分けられます。
自分のような、非農家出身で脱サラして就農するパターンは「新規参入者」に該当します。(独立就農とも呼ばれます)
②女性の新規就農
農林水産省の『新規就農者調査』によると
令和3年の女性新規参入者は700人、令和4年は720人となっています。
ではこのうち、また夫婦での共同経営ではなく、単身での就農者はどのくらいいるのでしょうか?
答えは…
「不明」です!!!!!
というのも、農林水産省はこれ以上、細分化して調査を行なっていません。
ただし、参考になる資料として
新規就農に関わらず、全ての個人経営体のうち、女性経営者は5.9%と非常に少ない値になっています。
本江英育,東山寛(2023)の「女性単身就農の実態とその性格 : 北海道園芸産地を事例として」でも、女性単身の新規就農は統計的なデータの入手が困難としています。
以上のことから、女性の単身新規就農者は、かなりマイノリティである事が分かります。
③女性の単身新規就農の難しさ
ここからは、私の実体験に基づいたお話しになります。
自分は地元の石川県、そして北海道の2ヶ所で就農相談をさせて頂きました。
まず、そもそも自治体によっては、新規就農の受け入れ要件を条例等で「夫婦であること」を掲げている場所が数多いのが現状です。特に、北海道の畑作地帯では、大規模耕作になるため、労働力といった理由から配偶者が必要であると、要件に設定しているそうです。
また、自分は就農地を探すため、道内6自治体を2年半かけて、農作業アルバイト・実習をしながら回りました。
もちろん、その中では、女性単身であっても全く怪訝な顔せず、応援して下さる農家さんも沢山いらっしゃいました。(本当にありがたいことです)
しかし中には、男性単身で就農したい人と私で、明らかに対応が異なる自治体もありました。(例えば、私は単純作業のみ。男性の新規就農希望者には経営主が積極的に指導し、栽培管理まで指導する。他には男性新規就農者には懐疑的な目はなく、自分には「本当に就農する気あるのか」と強く懐疑的に問いただされた。)
地域の中には、「農業経営は男性が行うもの」という無意識が根強く、女性だった私は、自ら積極的に「経営者になりたいから栽培管理や機械操作まで習いたい」と説得して、やっと指導してもらえるのが現状です。(現在研修する自治体は全くそんなことはありません!とても男女平等です!)
加えてお話しさせてもらうと、上記に書いた道東の方は、農業実習生制度というものが存在し、実習生は「女性のみ」と設定している地域もあります。これはどうやら、「女性を農家に嫁がせる」という目的で、農家の息子と交流機会を設けるためにかつて作った制度の名残らしいのです。
もちろん農家の息子と結婚したい方もいらっしゃると思います。しかし、農業実習の内容は農業研修と全く異なり、営農に直接関するものではなく、草むしりや収穫といった単純作業がメインなのです。
「実習」という名前を盾に、「女性は経営せず、単純作業で良い」と言っているようなものです。ようは個人の能力に関係なく、性別で役割が決められて当然という意識が根底にあるんです。(普通に、農業実習は女性限定にする必要は全くないと思います)
よく、女性の新規就農は「ハードルが高い」と言われます。様々な記事でも、「相当なやる気がないと、女性は就農できない」と発言してる方もいます。
が、本当にそうでしょうか?そもそも、やる気は女性に限った話ではありません。根性論ではなく、力的にできない作業は雇用や地域の協力でカバーできるのではないでしょうか。体力差があるのも、自動化やIoT化で作業効率は上げれますし、自分の体力に見合った作物を選択するだけではないでしょうか。
結局のところ、地域にはまだまだ「男性が農業経営をする」という意識が潜在的にあり、無意識に発言に反映されてるのです。
この状況を変えるには、自分が単身新規就農として成功し、経営できることを証明するほかないのです。とりあえず、頑張ります。
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