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私の株式選別方法ーAMATの新製品がレーザーテックに及ぼす影響について

2023/02/28 ブルームバーグより、AMATの半導体製造装置の新製品についての記事が出ました。
下記にもありますように、ASMLの製品と一部競合するようであり、ASMLの株価に影響がありました。
又、3/1 日本市場でもEUVマスク欠陥検査装置メーカーである、レーザーテックの株価が下落しました。下落幅自体は大きくありませんが、大きな出来高となっています。
今回、AMATの新製品の情報について、現時点で判明している情報から、半導体製造装置メーカーへの影響を考察してみます。

まずは、第一報の記事について

半導体製造装置メーカーの米アプライド・マテリアルズは、オランダの同業ASMLホールディングの牙城を崩すことを狙った半導体製造装置の販売を開始した。人工知能(AI)タスクを処理できる超高性能半導体をより割安に生産することも意図している。
  アプライドのいわゆるパターン形成システムである新装置「センチュラ・スカルプタ」は、顧客がリソグラフィーに費やす時間の削減につながる。28日の同社発表によれば、リソグラフィーはますます複雑かつ高価になっており、この新たなアプローチは半導体生産の効率化に役立つ。
  今回の動きは、ASMLの装置が支配するリソグラフィー市場を揺らす可能性がある。アプライドはASMLに直接対抗しているわけではないが、業界に半導体製造方法の見直しを迫るものだ。
  ASMLにとって、最先端極端紫外線(EUV)リソグラフィー装置は大きな収入源。同社では売上高が2019年以降にほぼ倍増しており、今年は25%増を見込んでいる。半導体装置業界全体が売上高の縮小に身構えているのと対照的だ。
原題:Applied Materials to Challenge ASML’s Grip With New Machines (2)

ブルームバーグより

内容が良くわからないので、次の記事です。

カリフォルニア州サンタクララ、2023年2月28日 (GLOBE NEWSWIRE) --アプライド マテリアルズは本日、チップ メーカーが高性能トランジスタを作成し、より少ない EUV リソグラフィ工程で配線を相互接続することを可能にするパターニング技術のブレークスルーを発表しました。
顧客は、チップ面積とコストを最適化するために、EUV の解像度限界よりも小さいチップ形状を印刷するために EUV ダブルパターニングをますます使用しています。EUV ダブル パターニングを使用して、チップ メーカーは高密度パターンを半分に分割し、EUV の解像度限界に準拠する 2 つのマスクを作成します。パターンの両方の半分は、中間パターニング フィルム上で結合され、次にウェーハにエッチングされます。ダブル パターニングはフィーチャ密度を高めるのに効果的ですが、時間、エネルギー、材料、水を消費するプロセス ステップとともに、設計とパターニングの複雑さが増し、ウェーハ ファブとウェーハ生産のコストが増加します。

AMAT HPより

チップ メーカーが、EUV ダブル パターニングの追加コスト、複雑さ、およびエネルギーと材料の消費なしに設計を縮小し続けるのを支援するために、アプライド マテリアルズCentura Sculpta パターン作成システムを開発するために主要な顧客と緊密に協力しました。チップ メーカーは、単一の EUV パターンを印刷し、Sculpta システムを使用して任意の方向に形状を引き延ばし、フィーチャ間のスペースを減らしてパターン密度を高めることができるようになりました。最終的なパターンは 1 つのマスクから作成されるため、設計コストと複雑さが軽減され、ダブル パターニング アライメント エラーによる歩留りリスクが排除されます。

AMAT HPより

これでも良くわからないですね。
次に Centura sculptaの動画説明がありましたので、紹介します。

動画よりスクリーンショット①

上が従来のダブルパターニングです。
リソグラフが2回と、洗浄、CMP等、2回行わないといけないですね。
下が、AMATのCentura sculptaです。
EUVパターンで1回穴をあけるところまでは同じですが、その後、光線で、穴を広げています。

動画よりスクリーンショット②

整理すると、
①リソグラフィは2回⇒1回へと半減
②EUVを使うことは、変わらない
③洗浄工程等、簡略化

半導体製造装置メーカーへの影響としては、
リソグラフィの回数が減るので、レーザーテックがやはり大きそうですね。
尚、今後追加情報があれば、noteに追記していきます。。

以下引用資料

3/2 追加情報です。-1.6%前後の下落です。

レーザーテック<6920>が売りに押される展開。前日の米国株市場では、長期金利が4%台に乗せるなかハイテク株への売り圧力が強まり、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も小幅ながら安く引けた。ただ、同社株は前日に半導体製造装置関連が総じて買われるなかも、その流れに乗れずマイナス圏で引けており、ここ下値を探る展開を強いられている。

 2月28日に米半導体製造装置首位のアプライド・マテリアルズ<AMAT>が新型の半導体製造装置「センチュラ・スカルプタ」の販売を開始したことを発表した。同商品は露光回数を減らすことが可能で、製造コストや時間の削減を可能とすることがセールスポイントとなっており、マスクブランクス検査装置を手掛けるレーザーテクにとってはビジネスチャンスが低減するとの思惑が嫌気されているもよう。しかし、市場関係者によると「アプライドの新型製造装置は時系列でみると露光の後に使用されるもので、同社株の製品需要の減退にはつながらない可能性がある」(国内投資顧問ストラテジスト)という指摘もある。

株探より
レーザーテック 日足

確かに弱い動きですが、株探情報が正しければ、絶好の押し目かもしれませんね。

2023/03/02 追加情報です。

AMAT、EUVダブルパターニングに代わる新たな低コストパターニング技術を発表
Applied Materials(AMAT)は2月28日、高性能トランジスタや配線形成に必要とするEUV露光のダブルパターニング工程を1回に削減できる新たな回路パターン形成技術を搭載したパターニング装置「Centura Sculpta」を発表した。
先端プロセスでは、EUVの解像度限界を超える微細回路を形成する際に、ダブルパターニングを採用しているが、そのためには2枚のマスクを作成し、分割された2枚のパターンを中間パターニング膜に合成し、これをウェハにエッチングするという複雑な工程が必要とされており、工程数の増加、製造時間や消費エネルギー、材料の増大といった課題があった。
こうした課題解決に向けAMATでは、1回のEUV露光によるパターン形成後、新開発の独自技術によりパターン内の各形状を任意の方向に引き伸ばし、配線パターン間のスペースを減らしてパターン密度を高めることができる手法を開発し、Centura Sculptaに搭載したという。
同装置では、角度をつけたリアクティブリボンビームを用いて、ウェハ上に形成されたパターン形状を任意の方向に引き延ばして、線幅を細くすることができるようになっている。最終的な回路パターンは1枚のマスクで作成できるため、ダブルパターニングアライメントエラーによる歩留り低下リスクも排除されるという。

マイナビニュースより

EUVダブルパターニングには、一般にCVDパターニング膜堆積、CMP洗浄、フォトレジストの塗布と露光後の剥離、EUV露光、CD計測、パターニング膜エッチング、ウェハ洗浄など、多くの製造プロセスステップの追加が必要であるが、同システムによって、置き換えるEUVダブルパターニングシーケンスごとに、以下のようなメリットを得られるという。
月産10万枚のウェハ処理ごとに資本コスト2億5000万ドル節減
ウェハあたり製造コスト50ドル節約
ウェハあたり15kwh以上のエネルギー節約
ウェハあたりCO2換算で0.35kg以上の温室効果ガスの排出削減
ウェハあたり約15リットルの節水

マイナビニュースより

以下引用先

2023/03/13 追加情報です。

楽天証券の今中氏より、Centura Sculptaの解説がありましたので、追加します。

動画よりスクリーンショット


動画よりスクリーンショット

新しい情報としては、東京エレクトロンでは、AMATの今回製品とほぼ同等の物をもっているが、製品化していないというのがあり、おそらくコストメリットが小さいため、顧客への訴求力が小さいと考えたのだと思います。

整理すると、
東京エレクトロンへの影響;ほとんどなし
後工程への影響;なし
レーザーテックへの影響;評価に時間がかかる

レーザーテックの株価が冴えないのは、疑心暗鬼の最中だからといったところでしょうか?

以下参照動画


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