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【随想】 「食物工場建設」の話

 国の独立を保つための必須条件は、自国民に満足な食物を行き渡らせることである。
 腹が減っては戦ができぬ。「富国」も「強兵」も戦である。人民が四六時中腹を空かせている国に発展など望むべくもない。為政者は自国民を飢えさせてはならない。空腹は人を浅ましくさせ、国の品位もを失墜させる。
 戦争の起源は食物の争奪戦だといわれている。古代日本の大戦争“倭国大乱”も、クニの保有する米の奪い合いであったという。
 しかし、自国民を飢えさせぬためと言って、食物を他国に全面依存してはならない。国際社会は化かし合い。ある日突然、他国から兵糧攻めを受けたら、国内は忽ち餓鬼地獄に陥ってしまうからだ。
 自国の生命線を他国に握らせてはならない。それには食物の自給自足。国は食物の根本である農業を重視すべきだ。
 近頃の農作物は“食物工場”と呼ばれるような屋内で作られた物もあると聞く。従来とは異なる農業の機械化と自動化。国内の食物自給のため大規模な食物工場を建設することを提案する。
 そんなことを唱えると、狭い日本の何処にそんな余地があるのかと反論されよう。無いモノは創ればよい。工場建設には、列島を取り囲む海を利用するのはどうか。沿岸地域に浮島を造り、そこに食物工場群を建設するのだ。さらに、浮島の基底部には“魚礁”を造り、魚の繁殖をおこなう。
 農業立国論。
 最近、そんなことばかり考えている。

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