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空気を読まないチカラ

はじめに

このnoteは2020年、
コンテンツも作らず、
空気を読みながらビクビク生きていた
過去の自分に向けて書いたものです。

同時に、ぼくと同じように
“空気を読み過ぎて疲弊している”
多くの皆さんに向けて書いたnoteです。

日本人は世界的に見ても
空気を読む人種です。
だからこそ『忖度(そんたく)』なんて
英訳しづらい言葉が存在します。

ちなみに忖度は英語だと・・・
「read between the lines」
「Surmise」

・・・と表現するそうです。

read between the lines・・・行間を読む
Surmise・・・推察する

それはさておき、
空気を読んで調和をはかることを
良いことと捉える日本人は多いです。

『波風立てず』
・・・というヤツですね。
昔だったら、それで良かったのかもしれません。
決して潰れない会社が定年まで守ってくれ、
手厚い退職金と年金が
老後の生活を支えてくれました。

しかし今、それらは崩壊しました。

個人で勝負するフェーズになったのです。
そんな時、
役に立つのが『空気を読まないチカラ』です。

今の時代、
空気を読んで縮こまっていたら何も変わりません。
ビクビクしてコンテンツをリリースしなかったら
何も起こりません。

それでも、
「空気を読まないなんて怖い・・・」と思う。
そんな心優しき皆さんの背中を全力で押したい。

そう思って書きました。

このnoteを読み終わった時、
あなたの心にかかった霧が少しでも晴れることを
願っております。

なおこのnoteは2人の人物の対話形式で展開します。
分かりやすくサクサク読めるようにしました。
気楽な気持ちで読み進めて下さい。

それでは、最後にお会いしましょう。


令和4年1月 大雪の翌日
ミツ



登場人物

ミツ
4年前、空気を読み過ぎてうつを患った。
その時の反省を生かし、
「空気を読まない」「本音で生きる」を信条に
日々コンテンツを作っている。
2021年には
Kindle本を17冊とBrain教材3本をリリース。


ヨムオ
ブラックな中小企業につとめる
30代のサラリーマン。
空気を読む典型的な日本人。
今の会社に不満を持ちながら、やめる勇気もなく、
苦手な上司のもとでせっせと仕事をしている。
そんな自分をどこかで変えたいと思っている。



第1章:空気を読み過ぎると〇〇を失くす


ここはヨムオの夢の中。
足元はたくさんのスモークを炊いたように
白いモヤで覆われている。

アニメ『無職転生』に登場する、
ヒトガミとルーデウスが話をするシーン。
・・・と言えば、分かる人には分かるだろうか

そのモヤの中、
ヨムオはヒザを抱えて座り込んでいる。
ワイシャツにスラックス姿。
そこに、パーカー&ジーンズ姿のミツが現れる。


ミツ
ども!

ヨムオ
・・・へ?

ミツ
こんにちは、ミツと申します。

ヨムオ
・・・ミツ、さん?
・・・というか、ここはどこですか?

ミツ
ここはあなたの夢の中です。
そこに僕は呼ばれたので、はせ参じました。

ヨムオ
いやいやいや。
呼んでないですよ。
そもそもあなたのことなんて知らないし。

ミツ
そりゃそうです。
ぼくだってあなたのことは知りません。
・・・でも、一つだけ知っていることがあります。

ヨムオ
知っていること?

ミツ
それは・・・。
あなたが、“空気を読む人” だということです。

ヨムオ
(ギクっ!)

ミツ
なぜそれを知ってる?
・・・という顔をしてますね。
ぼくはそういう人の夢の中に呼ばれる 
恥ずかしいことを承知で言いますが、
・・・妖精のようなものだと思って下さい。

ヨムオ
妖精なんて、どのツラ下げて・・・
ああ、スミマセン!
言い過ぎました!

ミツ
いいんですいいんです。
全然OKです。
どうせ夢の中なんですから、
思ったことはズケズケ言っていきましょう。

じゃあどうぞ!

ヨムオ
・・・え?

ミツ
悩み。
あるんじゃないですか?
だから、ぼくは呼ばれたと思っているんですが。
なければこのまま帰ります。
おそらくもう二度と会うことはないでしょう。

ヨムオ
・・・

ミツ
・・・帰りますよ。

ヨムオ
・・・ちょっと聞いてもらえますか?

ミツ
もちろんOKです。
しゃがんだまま話すのもなんですし。
椅子でも出しましょうか。

出でよチェア!


2人の前に
ひじ掛けがついた豪華な椅子が2脚現れる。
どこぞの社長さんが座っているような
めっちゃ高そうな革張りの椅子である。


ミツ
ささ、遠慮なくどうぞ。

ヨムオ
夢だけに何でもアリですね。

ミツ
夢ですからね。
落ち着かないようでしたら、
ヨムオさんが会社で座っている椅子にもできますが。

ヨムオ
それはイヤです!
(言ってからハッとしたような表情になる)

ミツ
どうやら会社に問題があるようですね。

ヨムオ
実は・・・


そうしてヨムオが話したのは、
会社で空気を読み過ぎて、気疲れがすごいこと。

空気を読み過ぎて、
最近では自分が空気のように感じること。


ヨムオ
・・・最近、
会社で自分の居場所がないように感じるんです。

ミツ
わかりますよ。そういう感覚。

ヨムオ
・・・ホントですか?

ミツ
ぼく去年まで放送作家をやっていたんです。
・・・で、今から6年前まで、
報道ステーションという番組を担当していたんですよ。

ヨムオ
・・・あの報ステですか!
うちの奥さん、よく見てますよ。

ミツ
ありがとうございます。
夢から覚めたら奥さんによろしくお伝えください。

・・・で、やっぱりテレビ朝日の看板番組なので
優秀なスタッフが多いんです。
加えて、仕事はできるけどクセが強い人も多い。

そんな中で空気を読みながら仕事をしていたら
ある時から、自分の意見が言えなくなりました。
そんな状態で優柔不断に仕事をしていたら
一部のスタッフからキレられるようになりました。

言いたいことがあるならとっとと言えよ!
・・・って。
まあ、当たり前ですよね。
生放送の番組ですし、
オンエア直前には1分1秒争う状況になります。
そんな中で、意見も言えずにいたら、
どんな温厚な人だって、そりゃキレます。

ヨムオ
あなたにもそんな時代があったんですね。

ミツ
その後、ほどなくして番組をやめました。
・・・で、やめてから気づいたんですが、
優秀な人が集まる中でバリバリやってる人って
みんな、空気なんて読んでないんですよ。

自分が正しいと思ったこと、
面白いと思ったことをズケズケと遠慮くなく言う。
そういう人が重宝がられるんです。

ヨムオ
・・・そういう人ってめんどくさそうですけどね。

ミツ
確かにめんどくさいです。
でも、優柔不断で何が言いたいのか分からない人より
自分の意見をちゃんと持っている人の方が行動力があります。
決断も速いから仕事も速い。

だから・・・(一呼吸おいて)

居場所がなくなるなんてことはないんです。


その言葉を聞くと、
ヨムオは豪華な椅子に沈み込むように
肩を落としました。
なにやら考えているようです。




第2章:空気を読んで作った人間関係は…


ミツ
・・・大丈夫ですか?

ヨムオ
・・・ああ、すみません。
ちょっとボーっとしちゃいまして。

ミツ
まだ話を続けても大丈夫ですか?
それとも、1回目覚めておきますか?

ヨムオ
・・・いえ、まだ大丈夫です。
もう少し、話しを聞かせて下さい。

ミツ
目覚めたかったらいつでも言ってくださいね。
ぼくが手をポンと叩ければ、目覚めますから。

ヨムオ
・・・はあ。

ミツ
理屈はよく分かりません。
しょせん夢の話ですから、
あまり気にしないでください。

・・・さて、
次はぼくのかつての友人の話を
少し聞いてもらおうと思います。

ヨムオ
かつての友人ですか。

ミツ
そうです。今は違います。
色々ありまして、彼とは関係を断ちました。

ヨムオ
これまたハッキリ言いますね。

ミツ
そんな話はさておき・・・。
これは彼がうつで苦しんでいた時のことです。

彼は典型的な『空気を読む人』でした。
仕事は、SE(システムエンジニア)。
つとめていた会社が、
時々、飲み会で話を聞く限り、ブラック企業でしたね。

かなり無茶なスケジュールで働き続けていました。
「デスマ」「デスマ」が口ぐせでしたから。

その結果、ストレスで食欲が暴走。
もともと太り気味だった体がますます膨れ上がって・・・
うつと同時に、糖尿病も発症しました。

ヨムオ
・・・それは、かなり悲惨ですね。

ミツ
飲み会で会うと時は、それでも明るく振舞っていました。
それも全て、まわりに気を使って、空気を読んでいたのでしょう。

・・・で、ある時、糖尿病の治療で入院したんです。
要するに病院食によって糖質を抑えて、
糖尿病の進行を遅らせるということです。

ヨムオ
結構、ひどかったんですね。
ストレスで過食になることは、
ぼくも覚えがあります。

ミツ
ストレスのはけ口って、食欲に向かいがちです。
・・・で、お見舞いにいったんですよ。

その時、ぼくは言ったんです。
「今の会社に便利に使われていないか?」
「生活もあるだろうけど、やめた方が良くない?」

彼は力なく笑っているだけでした。
だから思い切って聞いたんです。

会社の人たちはお見舞いにきたの?・・・って。

ヨムオ
・・・!

ミツ
今にして思えば、残酷な質問だったと思います。
彼は、一瞬ハッとした顔をした後で
力なく首を横に振りました。
そうです、誰1人、お見舞いに来なかったんです。

何が言いたいかというと
『空気を読んで作った人間関係は空気』
・・・ってことなんですよ。

空気を読んで本音を言わずにいると
色んな場所で、雑に扱われる可能性が高まる。
ぼくは彼を見て心底思いました。

ヨムオ
・・・いまちょっと想像してみました。
ぼくが何かのケガや病気で入院したとして
果たしてお見舞いに来てくれる人はいるだろうかって。

上司の顔、同僚の顔、色々思い浮かべても、
うまくイメージはわきませんでした・・・

ミツ
ちょっと話を変えますけど、
結婚する前に同棲する人たちっていますよね。

あれって「本音」が出やすい状況に互いを置いて、
それでも「一緒に居て苦じゃないか」
を試す期間だと思うんです。

空気を読んで本音を隠したまま結婚すると
どうしても、後から問題が出てきます。
付き合っている時は
互いにカッコつけたり、優しくしますからね。

結婚するとそういったメッキが剥がれます。
その上で、互いに飲み込めるならいいんですけど、
どうしてもギャップが埋まらない場合は『離婚』って
ことになるんじゃないでしょうか。

ヨムオ
(黙って下を向いてしまう)

ミツ
なんだかズケズケと色々言っちゃいましたね。
スミマセン。
一気にインプットしても混乱すると思います。
ここらで目覚めましょうか?

ヨムオ
・・・そうですね。
お願いします。

ミツ
それじゃ、また夢の中でお会いしましょう。

(手を叩く)ポン!


次の瞬間、
ベッドの上でヨムオは目を覚ましました。
枕もとの時計は午前5時半。
となりのベッドでは、まだ妻が眠っています。


ヨムオ
・・・今の夢はなんだったんだ?



第3章:コントロールできないこと


ある日の夜、
ヨムオはまた、あの夢の中にいました。
キョロキョロとあたりを見回していると・・・


ミツ
こんにちは。

ヨムオ
わっ! ビックリした!
驚かせないでくださいよ。

ミツ
自分で呼んでおいて何言ってるんですか?

ヨムオ
・・・ぼくが呼んだ?

ミツ
そうですよ。
あなたが人間関係で悩んでいる時、
ぼくは夢の中に登場することになってますから。

ヨムオ
なってますってどういう意味ですか?

ミツ
そういう “設定” ってことです。
それより今日はどうされましたか?

ヨムオ
実は・・・

ヨムオには最近、気になって仕方ないことがあった。
それが・・・
『会社から出たあと
 上司や同僚が自分の悪口を言っている気がする』
・・・ということだった。


ヨムオ
・・・それを考えると夜も眠れないんです。

ミツ
今は寝てるみたいですけどね

ヨムオ
例えばの話です。
夢の中でからかわないでください。

ミツ
すみません。
・・・で、さっきのヨムオさんの話ですけど
これ、結論は簡単なんですよ。

「自分でコントロールできないから
 考えるだけムダ」

ヨムオ
・・・へ?

ミツ
だってそうでしょう?
例えばヨムオさんが、
心の中で「陰口言われていませんよーに!」って
100万回 お祈りしたって100%結果は変わりません。
そんなのムリなんですよ。

極端な例を話しますね。

ヨムオさんが
Aさんに悪い態度を取ってしまったとする。
その後、Aさんはヨムオさんの陰口を言うかもしれない。
一方で、Aさんはその日 めっちゃいいことがあって
ヨムオさんに悪い態度を取られたことなんて
すっかり忘れてしまう可能性だってある。

その逆だってあります。
その日、ヨムオさんはAさんにめっちゃ優しくした。
でもAさんは、仕事帰りに同僚と飲みながら
ずーっと昔、
ヨムオさんに言われてムカついたことを思い出した。
その時のことで陰口を言うかもしれない。

人の気持ちなんて100%コントロールできません。
そんなことで悩む時間って100%ムダなんです。

ヨムオ
100%ムダ・・・

ミツ
手術の無事を祈って、
お百度参りするのとはわけが違います。
これは神様に願っているワケです。
いわゆる、運を天に任せるってヤツです。

でも人の気持ちを動かすことなんてできないんですよ。
だったら、会社を出た途端、
考えても仕方ないことはスッパリ忘れて
「今日の晩ごはんは何食べよう」
「寝る前にどんな本を読もう」
「週末はどんなことをして過ごそう」
・・・って、
ワクワクすることを考えた方がイイです。


第4章:他人なんて多くは〇〇キャラ


ヨムオ
そうは言っても、
周りの顔色はどうしても気になります。
逆に、ミツさんがどうしてそこまで割り切れるのか
理由が知りたいです。

ミツ
ちょっと重い話になりますけどいいですか?

ヨムオ
・・・なんですか?

ミツ
9年前、ぼくは母をガンで亡くしました。
母がガンの手術をした時、
一人実家で不安に過ごしてた時、
ぼくは仕事を理由に
ちゃんと寄り添うことができませんでした。

仕事だけの付き合い、
さほど気を使う必要がない相手に対して
神経をすり減らして・・・
母に使うべき時間を使えなかった。

その時に思ったんですよ。
人生で出会う人は大きく2種類に分けられると。

ヨムオ
2種類ですか・・・

ミツ
気を使うべき大事な人
それ以外のモブキャラです。
ぼくにとって仕事上の付き合いの人は、
親身になってくれる一部をのぞき、
ほとんどモブキャラだったんです。

だってそうじゃないですか?

会社の上司があなたの将来まで考えてくれますか?
バイト先の店長があなたの将来まで考えてくれますか?
ママ友たちがあなたの将来まで考えてくれますか?

あなたが気を使うべき相手とは・・・
「あなたの言うことを尊重してくれる」
「無償の愛を注いでくれる(両親や家族)」
「あなたがリスケしてでも会いたいと思う」

そういう人たちです。

たとえ親戚だろうと
「あなたの言うことを軽視する」
「こんなご時世、結婚しない人は一人前じゃない」
・・・なんて言ってくる人はモブキャラです。
あまりに攻撃的な場合、もはや『敵キャラ』です。

ヨムオ
・・・敵キャラ。

ミツ
どうでもいい モブキャラ相手に神経すりへらして
そのストレスを
本当に大事にしなければならない人に
ぶつけるとか最悪です。

RPGゲームと同じことです。
あなたの人生のメインキャラはせいぜい10人。
その他のほとんどはモブキャラ。

ヨムオさんだって、誰かのモブキャラです。
もちろん、ぼくだってそうです。


第5章:空気を読まないと周りが変わる


ヨムオ
(まだ何か迷っているような顔)

ミツ
モブキャラ論をお話しても
まだ迷いがあるみたいですね。

それは仕方ないことです。
ぼくだって割り切るには時間がかかりましたから。

ヨムオ
これまでさんざん空気を読んできたので
今さら、ガラッと変える怖さはあります。

ミツ
今いいことおっしゃいましたね。
そうです、ガラッと変える、これが大事です。
こういう話をすると多くの人って
決まってこう言います。

少しずつ変えます

このマインドでいる限り、絶対に変わりません。
少しずつ変えるということは
少しの反動で元に戻ってしまうってことなんです。
だからどうせ変えるなら思い切って変えた方がいいです。

ヨムオ
そんなこと言われても・・・

ミツ
ぼくがガラッと変えた時の話をしましょう。
ラジオ番組の1コーナーを担当していた時の話です。

ぼくはこの仕事に大きな不満がありました。

『台本の締め切りが異様に速い』
『催促のメールがガンガンくる』
『週末休もうと思って台本を早めに送っても
 直しの電話がガンガンかかってくる』

ぼくは決して手を抜いていたワケじゃありません。
かなり早く台本を送っていました。
それでも相手は空気を読まず、
図々しい連絡をガンガン入れてくる。

ある時、自分の中でプツンと切れて、
こんなメールを送りました。

「あまりにメールがガンガンくるので
 軽くノイローゼになりそうです」

ここから先方の態度がガラっと変わりました。
「こいつ殴りすぎると、めんどくせーぞ」
・・・と思われたのでしょう。

メールでの言葉づかいも丁寧になりました。
「休みの日の電話は勘弁ください」
・・・とメールしたら電話も鳴りやみました。

仕事は格段にやりやすくなりました。

ヨムオ
・・・それは、劇的な変化ですね。
でも、相手は決して良くは思わないでしょうね。

ミツ
その時、ぼくは割り切ったんです。
こいつはモブキャラである、と。
たとえ次の仕事につながらなくても構わないと思って
淡々と自分がやるべき仕事をして、
それでも不満があった時は、
その都度キッチリ伝えました。

確かにやりすぎた感はあります。
でも、ホントにつらい時は、
空気を読まずに
「困ってます」と伝えた方が絶対にイイです。

日本人の悪しき文化
「笑って許してよ」をずーっと許していたら
あなたという存在がドンドン軽視されます。
時々は『シャレが通じない感』を出す。
これが自分を守る方法です。

話がわかる相手なら、対応を考えてくれます。
完全スルーされるような会社、バイト先なら、
「その会社はヤバい」と考えた方がイイです。

ヨムオ
・・・・・・

ミツ
さっきの話は、
『不満を言う』というネガティブな話だったので
もう少し、ポジティブな話をしましょう。

これはラジオ番組の会議でのことです。
その時、会議の流れで、
Aという案にまとまりそうになっていました。
でも、ぼくは内心こう思っていました。

Aという案はこれまでと同じで面白くない

だから、チーフディレクターに意見を求められた時
こう言いました。

Aだといつもと同じで面白くありません。
Bで一度やってみてはどうでしょうか。
うまくいかなかったら、また元に戻せばいいので。

その番組で、ぼくは空気を読むキャラだったので
他のスタッフの中には、
少し驚いた顔をした人もいました。
でも、思っていたことを正直に言いました。

そしたらチーフディレクターが
ぼくの意見に賛成してくれたんです。

この時、思ったんですよ。
日本人ってまわりに合わせる人が多いから
思ったことを空気を読まずに言うだけで
目立つんだって。

ヨムオ
・・・でも、会議って多数決で結論を決めることも
多くないですか?
うちの会社は大体そのパターンです。

ミツ
多数決って言葉で思い出した話があります。
それは、ラジオ番組に赤城乳業の商品開発の方に
出演して頂いた時のことです。

ヨムオ
赤城乳業って・・・。ガリガリ君の?

ミツ
みんな大好き、ガリガリ君の赤城乳業です。
赤城乳業と言えばご存知のように
次から次へと斬新なフレーバーをリリースして
話題をさらっていきますよね。

ヨムオ
コーンポタージュ味とか
正気じゃないなって思いましたね・・・。

ミツ
赤城乳業の会議は、多数決で結論は決めないって、
その方はおっしゃっていました。

あえて少数派の意見を取り入れる。

だからこそ、当たる時はめちゃくちゃ当たる。
たとえ売り上げ的にこけたとしても話題になる。
「さすが赤城乳業!」
・・・と思ってもらえる。

世の中に対して
空気を読まない商品をリリースすることで
赤城乳業は “狂ったオリジナリティ”という
強烈なブランドイメージを保っているんです。

ヨムオ
・・・そういわれると、うちの会社の会議は
あまり建設的な展開にならないことが多いですね。

会議をやる前から結論は決まっていて、
会議はあくまで確認するだけ、みたいな。

若い社員が新しいアイディアを出しても
議論をせずにスルーされて終わることが多いです。
それでやる気をなくしてやめる人も時々います。

ミツ
そういう環境にいると
空気を読まない発言はしづらいかもしれません。

・・・でも、なにかアクションを起こさないと
現状は何も変わりません。
もしヨムオさんが、今の会社に骨をうずめる。
・・・ってこれも もはや死語ですけど、
そういうつもりなら、波風立てない方がいいでしょう。

でも、どうにかしたいと思うなら、
勇気を出して空気を読まず意見を言って欲しいです。

ヨムオ
・・・ちょっと考えてみます。

ミツ
・・・といったところで
そろそろ今回はそろそろ目覚めますか?

ヨムオ
(小さく頷く)

ミツ
それじゃ、また夢の中でお会いしましょう。

(手を叩く)ポン!

次の瞬間、
ベッドの上でヨムオは目を覚ましました。
枕もとの時計は午前5時半。
となりのベッドでは、妻が寝返りを打っています。

「勇気を出して意見・・・」
ヨムオは小さくつぶやきました。


第6章:空気を読まないヤツが強い


ある日の夜、
ヨムオはまた、あの夢の中にいました。
腰が据わったような表情で、静かに佇んでいます。


ミツ
こんにちは。

ヨムオ
どうも、こんにちは。
・・・というか、こんばんはですよね。

ミツ
まあ夢の中ですからね。
ここはこんなに明るいですけど。
・・・ちょっと雰囲気変わりましたね?

ヨムオ
この前、会社で定例会議があったんですよ。
まあ、こんなご時世なので、Zoom会議でした。
・・・で、みんな目の前にいるワケじゃないから
思い切ってイロイロ意見を言ったんですよ。

ミツ
ほうほう。

ヨムオ
まあ、あっさり流されましたけど、
それ以来、
自分の考えが前よりハッキリと話せるようになりました。

意見が採用されることはないんですが、
「ヨムオくんはどう思う?」って
振られることが増えました。

ミツ
ちょっとは風通しが良くなったってことですかね。
良かった良かった。

立ち話も何なんで座りましょうか。

ヨムオ
それなんですけど、
夢だから何でもできるんですよね?

ミツ
もちろんです。

ヨムオ
富士山の山頂でアウトドアチェアに座りながら。
・・・なんてシチュエーションは可能ですか?

ミツ
・・・それ、面白いですね。
では、富士山頂へ、GO!


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辺りの景色がガラッと変わって富士山の剣が峰。
そこにアウトドアチェアが二つ並んでいます。


ヨムオ
うーーん、気持ちいいですね。

ミツ
これまで椅子のリクエストはありましたけど
シチュエーションのリクエストは初めてでした。
こういうのもイイですね。

ヨムオ
風通しが良くなったという言葉を聞いたら
風通しが良い場所に行きたくなりました。

ミツ
他にもなにか変わったことはありましたか?

ヨムオ
在宅時間が増えたのでTwitterも始めました。
今までSNSってあまり見てなかったですけど、
インフルエンサーと呼ばれる人は
ハッキリと自分の意見を言いますね。

ミツ
それは確かに言えますね。
ツイートを見ていて思うのは・・・

空気読まない人が多い
・・・ってことですね。

だから良くも悪くも目立つ
この “悪くも” という部分にビビって
みんな空気を読むけど、彼らはそれをしません。

空気読まないでいうと、
イケハヤさんとかそうですね。
ご存知ですか?

ヨムオ
最近のツイートしか知らないので
そこまで、空気読まない感じはしませんけど、
やっぱりすごいんですか?

ミツ
最近の発言はちょっと大人しいですね。
でも、メルマガは超スパルタですよ。

読者に一切ひよらず、ズケズケ書いてきます。
「自分でググれない人はダメです」とか。

メルマガの最後には
『メール講座が不要なら
 サクッと解約してくださいね!』
とキッパリ。

こんなの空気を読んでいたら書けません。
普通は「解約しないでね」って書きますからね。
でも彼は突き放した書き方をする。
そうすることで『本気の人しか残らない』
その裏には
『本気の人にはセールスしやすい』という狙いも
当然あるワケです。

ヨムオ
どうしてそこまで空気を読まずに
自分の考えをガンガン発信できるんですかね?

ミツ
あの人は、
会社をやめてフリーランスになって10年以上。
ブログ、YouTube、Kindle、メルマガ、
たんたんと積み上げてきましたから。

自分のやってきたことに自信を持っている。
だからこそ強い。
揺るぎない信念をもって
多少の批判にはびくともしない。

その強さと言葉の明快さにひかれる人は多いですね。
デジタルコンテンツのセールスも時々ありますけど、
堂々としたものです。
変にこびることはせず、
必要だと思った人だけ買ってくださーい!
・・・って感じです。

第7章:お金の話も円滑に!


ミツ
いま、セールスの話が出たので
この流れでお金の話もしようと思いますが
イイですか??

ヨムオ
大丈夫ですよ、興味あります。
自慢話ですか?

ミツ
ぼくに自慢するようなお金の話はありませんよ!
これからする話は、
ぼくが失敗したお金の話です。

これまたラジオ番組の話です。
番組内の1コーナーを担当していたのですが、
その時のギャラを『1カ月2万』で受けてしまったんです。

ヨムオ
・・・それって安いんですか?

ミツ
これはあり得ないぐらい安いです。
オンエアは週に1回です。
4週あった場合は、1回あたりのギャラは5000円、
5週あった場合は、1回あたり4000円です。

内容を決める代理店とのやり取りも手間がかかる。
締め切りが早くて、催促のメールがガンガンくる。
収録日にも直しが入って対応にバタバタ・・・
かなり大変な仕事でした。

ヨムオ
台本を書いておしまいじゃないんですね・・・

ミツ
収録にも立ち会います。
収録で話した内容をメモして、
収録時間が大幅にオーバーしている時は、
「ここを切って・・・」
「ここを使って・・・」
・・・と、ディレクターに説明します。

これで1カ月2万円です。
なんとか仕事のクオリティは落としませんでしたけど、
モチベーションを維持するのが難しかったです。

あの時、やるべきだったのはギャラの再交渉。
自分の労力・時給を考えて交渉すべきでした。

ヨムオ
その労力を知って、1カ月2万円を提示する側も
結構ヤバいですね・・・

ミツ
その通りです。
「こいつなら、
 この金額で使い倒しても文句言わないだろう」
きっとそんな風に思っていたんでしょう。
完全にナメられていた、ってことです。

でも、先方にそう思わせた、ぼくの責任です。
この時、ぼくはうつから回復途中にいました。
しっかりと空気を読むヤツでしたからね。

だからこそ思うんですよ。
『正当なギャラを空気を読まずに伝える』
これはあなた自身、
そして大事な家族を守るために大事なことなんです。

いまだにサービス残業なんて悪習が
まかり通っている会社はマジでヤバいと思います。

それはつまり、あなたが雇い主から
「悪条件で使い倒しても こいつは文句を言わない」
・・・ってタカをくくられているってことですから。

ヨムオ
・・・

ミツ
今回の話はちょっと毒が強すぎましたか?
富士山頂の景色は素晴らしいですけど、
そろそろ目覚めますか?

ヨムオ
(小さく頷く)

ミツ
それじゃ、また夢の中でお会いしましょう。

(手を叩く)ポン!

次の瞬間、
ベッドの上でヨムオは目を覚ましました。
枕もとの時計は午前5時半。
となりのベッドでは、
妻が小さくいびきをかきながら寝ています。

そんな妻の頭を軽くなでながら
ヨムオは小さくつぶやきました。
「家族を守る・・・」


第8章:コンテンツ作りも空気を読むな


ある日の夜、
ヨムオはまた、あの夢の中にいました。
そこへ、もやの向こうからミツがやってきました。

ミツ
こんにちは。
・・・じゃなかった、こんばんは。

ヨムオ
どうも、こんばんは。

ミツ
・・・さて、きょうは・・・

ヨムオ
きょうはぼくの会社を見ながら話をしませんか?
雲に乗って空中に浮かんで、
会社の窓から、中の様子をみながら話しましょう。

ミツ
・・・いいですよ。
みなさんが働いている時間でいいんですよね?

ヨムオ
そうです。

ミツ
それでは・・・
ヨムオさんの会社へ、GO!



古びた賃貸ビル(10階建て)の中空。
雲に乗ったヨムオとミツがいる。


ミツ
皆さん忙しそうに働いていますね~。
ヨムオさんってSEでしたっけ?

ヨムオ
そうです。毎日毎日、朝から晩まで働いています。

ミツ
・・・あれ?
仕事中なのに何人か一緒に席を立ちましたよ。
連れションですか?

ヨムオ
(苦々しく笑って)
あれは、タバコ休憩する人たちです。
うちの会社では、いまだにあるんですよ。
喫煙スペースは建物の1階にあるので、
出て行ったら20分ぐらい帰ってきません。

ミツ
昼休みに吸えばいいのに・・・

ヨムオ
みんなそう思っていますが、
あの中には課長もいるので、
怖くて声を上げられないんです。

ちょっと時間を進めてもらっていいですか?
そうですね、夜の10時ぐらいに。

ミツ
OKです。
それでは、夜10時!


真っ黒なオフィスで一人、
机の明かりをつけて
黙々と作業をしている社員がいる。
みたところまだ20代。


ミツ
ずいぶん、熱心にやってますね。

ヨムオ
彼は今年入ったばかりの新人です。
典型的な空気を読みまくる、気の優しい青年です。
近頃は、
みんな彼に仕事を押し付けて帰ってしまうんです。

ミツ
それはなんというか、かわいそうですね。

ヨムオ
働き方改革なんて言われて久しいですけど、
こういう会社って、うち以外にもある気がします。

気が弱い人間に負担を押し付ける。
ここまでくると、
もはや仕事ではなく、イジメです。

ミツ
・・・イイですね。
以前と比べて、
はっきり自分の意見を言うようになりました。

ヨムオ
ぼくも色々考えたんですよ。
いまの会社にとどまり続けるのは危険だと。
だから少しずつ副業を始めることにしました。

・・・で、
コンテンツを作るコツを教えてもらおうと思って
今回、夢の中に呼び出したんです。

ミツ
コツは色々あると思います。

『朝活しよう』
『毎日コツコツやろう』
『小さく始められることからやろう』
『うまくいっている人を真似よう』
『上級者の知識を買おう』

でもぼくが考える一番大事なチカラが・・・
『空気を読まないチカラ』
これはあらゆるコンテンツに通じます。

ヨムオ
コンテンツ作りにも
空気を読まないチカラですか・・・

ミツ
ブログ
YouTube動画
Kindle出版
Brain教材
音声配信

誰しも最初から完成度の高いモノは作れません。

「これをリリースしてバカにされないかな?」
「こんな幼稚なノウハウ、必要とされないかな?」

・・・って、空気を読んでリリースしなかったら
いつまでたっても 実績はゼロのままです。

まずは作ったものを思い切ってリリースする。
これが簡単そうで、案外できない人が多いんです。

ヨムオ
怖いって気持ちはよく分かります。
コンテンツをドンドン作る人って
ホントすごいなって思いますよ。

ミツ
そのためには
自分が面白いと思ったことと心中する覚悟を持つ。
・・・ってことが大事になります。

あなたが「これは絶対伝えたい!」
・・・という太い柱を持つことです。

変にひよって、
Aもいいけど、
BやCもいいよね~、だと伝わりません。

例えば、ワイヤレスイヤホンのレビュー動画。

たくさんの商品を紹介しながら
「自分が一番好きなのはコレ!」
・・・って紹介してくれた方が深く刺さります。

「あれもこれもいいよね~
 自分に合ったのを探して~」という内容だと
概要欄に商品リンクを貼っても買ってくれません。

Kindle出版も「お金が儲けたいだけ」で
始めると挫折します。

人気があるテーマ
Kindle出版・お金・人間関係・健康について
大して詳しくもない
これを伝えたいという情熱もない

それなのに無理やり書いても
決して良いコンテンツにはなりません。
結果、誰にも読まれず、お金も稼げなくてやめていく・・・

人気ジャンルを書くのは全然OKです。
大事なのは「伝えたい!」という内容と
人気ジャンルをうまく合致させること。

『Kindle出版のやり方』をテーマに書くにしても
原稿の書き方、
アップロードの仕方について書かれた本は
死ぬほど出版されています。

今さらそれを書いても埋もれるだけです。
ならばどうすればいいのか?

例えば『表紙の作り方』に特化した本を作る。
これは実際に書いた作家さんがいて、成功しています。

つまり自分の得意分野を生かした
『一点突破型の本』を書くことが大事なんです。

その内容を変にひよらず、空気を読まず、
「このやり方が素晴らしい!」とハッキリ伝える。

それが結果的に『強いコンテンツ』になります。

ヨムオ
空気を読まない。
一点突破型・・・

そう考えると自分が作るべきコンテンツが
見えてくる気がします。


第9章:最初はみんな怖い


ミツ
いまはたくさんコンテンツを作って
バリバリやっているインフルエンサーたちだって
最初の一歩は怖かったと思います。

「こんなの作って意味あるのかな?」
「誰も見てくれなかったらどうしよう?」
「かけた時間がムダになるかも・・・」

そんな恐怖を超えて作業をして
勇気をもって「えい!」っとリリースしたと思います。

神ブロガーのマナブさんって知ってますか?

ヨムオ
・・・時々インフルエンサーの人の
ツイートに出てきます。
『あの人はすごい』って。

ミツ
マナブさんだって
全然ブログが読まれない時期があったそうです。

それでも信じて書き続けていたら
ある時、1人の読者から
「素晴らしい内容」とメッセージが届きました。

そこからエンジンがかかってコツコツ積み上げて
圧倒的な結果につなげました。

インフルエンサーも最初はみんな凡人なんです。
一握りの勇気をもって、
最初の一歩を『空気を読まず』に踏み出すか否か。
それが、その後の人生を決めます。


第10章:プライドは邪魔


ヨムオ
・・・

ミツ
まだ怖いですか?

ヨムオ
・・・そうですね。
どうしても考えてしまうのは、
『失敗したら恥ずかしい』
『悪いレビューがついたらどうしよう』

ミツ
それを克服するマインドは
前にもお話しました。
「人がどう思うかなんてコントロールできない」

つまり考えるだけムダ。
最初からうまくいくなんて虫がイイ話です。
良いレビューがガンガン付くとかないです。

あなたのコンテンツを他人がどう感じるかなんて
あなたがいくら考えても、
祈っても絶対にコントロールできないのです。

まずは恥ずかしい思いをしたくない
・・・というプライドを捨てて、
空気を読まずにリリースしましょう。

(ヨムオの目を見て)
最初はカッコ悪くてもいいじゃないですか。

ヨムオ
・・・!

ミツ
本当に大事なプライドは
「あなたが本当に伝えたいことと
 心中できたかどうか?」
「3年後に自分のコンテンツを見た時、
 自分にウソをつかずに作れたと
 心の底から思えるかどうか?」

この2つです。

ヨムオ
・・・やってみます。
空気を読まず、やってみます。

ミツ
(親指を立ててgood!サイン)

ヨムオ
・・・あのぅ。
いいおっさんがキモいんで、それやめて下さい。

ミツ
ひど!
そこは空気読みましょうよ。

ヨムオ
(笑っている)


次の瞬間、
ベッドの上でヨムオは目を覚ましました。
枕もとの時計は午前5時半。
となりのベッドでは、妻がもぞもぞと起き出し

「どうしたのこんな朝から?」
・・・と眠そうな声を出します。

ヨムオはそんな妻をいきなり抱きしめると
「オレやってみるよ」

寝ぼけていると思われたのか、
「ハイハイ、頑張って頑張って」
・・・と頭を撫でられるのでした。


最終章:勇気を出して


あれから1カ月が経ちました。
ヨムオさんはどうなったのでしょうか。

ちょっと彼の会社をのぞいてみましょう。

あの若手社員の席のそばで
何やら周囲に対して言っています。

どうやら、
みんなが若手社員に押し付けていた
仕事を元に戻していますね。

周りの社員は「正義の味方かよ」
・・・という顔で自分の書類を受け取り、
自分の席に戻っていきます。

ヨムオさんの後ろで
若手社員がペコペコ頭を下げています。
彼の肩をポンと叩いてヨムオさんが何か言っています。

若手社員の肩が小さく震えています。
その足元に、ポタリと一粒 涙がこぼれました。

どうやらヨムオさん、
空気を読まずに頑張っているようです。

時刻を進めて退社時刻です。
付き合い残業をする同僚を置いて
ヨムオさん、堂々と定時退社しています。

うらめしそうにしている同僚の視線なんて
どこ吹く風、颯爽と出ていきます。

その後を追いかけて
あの若手社員が出てきました。

どうやら2人で軽く飲みにいくみたいです。

ヨムオさんが若手社員に何か言っています。
若手社員はしきりに恐縮しています。

一体どんなことを話しているのでしょうか。
ちょっと聞いてみましょう。

若手社員
いえいえ、おごってもらうのに悪いです!

ヨムオ
いいのいいの気にしないで

若手社員
ホントにいいんですか?

ヨムオ
家でやりたいこともあるでしょ?
だから、
帰りたくなったらすぐに言ってよ。

空気なんて読まずにさ






おしまい



おわりに

こんな長い話を最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。

ちょうどこの原稿を書いている時に、
ネットフリックスで『浅草キッド』を観ました。

その中で、
柳楽優弥さん演じる若き日のたけしさんが
一世一代の大勝負に挑んでいたんです。

空気を読まずに。

それはツービートとして活躍しはじめた
たけしさんが、初めてTV出演にのぞむ場面でした。

あの頃のテレビは生放送の番組ばかり。
たけしさんが出演する番組も、
お笑い芸人たちが、
生でネタをやって勝ち抜いていく内容です。

しかし事前のリハーサル。
2人のネタがあまりに過激過ぎたため
プロデューサーからは
「こんなの放送できない。
 テレビで放送できるヤツを頼むよ!」
・・・と言われてしまいます。

舞台のソデで2人は
「あーでもない」
「こーでもない」
・・・と相談します。

本番直前、最後のCMに入った時。
柳楽さん演じる若きたけしさんが、
お笑いの師匠・深見さんから
教わったタップを踏み始めます。

自分を鼓舞するように一心不乱です。

とまどう相方のきよしさん。

タップをひとしきりやった後、CMが終わり
いよいよ出番です。
その時、きよしさんに向かってこう言います。

「このままでいく」(ネタは変えない)

この一言にはホントしびれました。
もしもあの時、たけしさんが、空気を読み
当たり障りのないネタをやっていたら、
その後の活躍は きっとなかったでしょう。

元気が出るテレビも
お笑いウルトラクイズも
キッズリターンも、きっと生まれなかった。

これは本当に勇気ある決断だったと思います。

ぼくも26年間、テレビ業界にいたので
この時の、決断の凄まじさが少しは分かるのです。

もしウケなかったら一体どうなっていたか?
おそらく、
ツービートは、業界から「干されたでしょう」

「干す」という悪習は今もあります。
のんちゃん(元 能年玲奈)が
いまだにテレビに出ないのも
元スマップの皆さんがテレビから遠ざかったのも
すべてこの、おぞましい悪習のせいなのです。

たけしさんの時代は、
今よりもっとテレビの力が強かった。
“一生テレビに出られない”
なんてことが起こったかもしれません。

芸人として、まさに生きるか死ぬか

その一世一代の大勝負。
空気を読まず挑む姿に、ぼくは心を揺さぶられました。

いつの時代も、
空気を読まずに勝負した人に幸運の女神は微笑みます。

ぼくも手を止めず、
空気を読まずに、文章を書いていこう。
そう強く思いました。

一度しかない人生です。
あなたも空気を読まずに勝負しませんか?



令和4年1月の良い日

ミツ



















これでまた、栄養(本やマンガ)摂れます!