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人語の一口話(90) モネ展観賞

 現在、大阪中之島美術館で『モネ 連作の情景』が開催されています。
 2月には前売り券を手にしていたにもかかわらず、なかなか足を運ぶ機会を作ることができていませんでした。

 黄金週間の終了とともにモネ展が閉じられることは知っていました。私の心の中に少し焦燥感が芽生えてきたこともあり、2時間程度の時間を半強制的に確保する必要があるなと考える状況になっていました。

 これまでは、ぽっかり空いた時間を有効活用しようと考えていた節がありましたので、そのような目論見を捨て去ったうえで、今月27日から始まるゴールデンウィークの過ごし方とあわせた行動計画案を練りました。

 先日、計画通りに観賞する時間が確保できる状況になりましたので、躊躇なく行くこととなりました。

 入場するまで少しばかり館内で待つことになり、その盛況ぶりに驚かされましたが、いざ入場すると、人の多さはほとんど気になりませんでした。

 いや。正確に記しますと、他の事象を目にしたことにより、大いに驚いたので、人の多さを気に掛けなかったのだと思います。

 そんな事象とはいったい何だったのか。

 それは撮影可能な絵画に群がる人間模様でした。

 まるで有名モデルの写真撮影会かと思わされる雰囲気に驚いたのでした。

 驚きの感情が収まるまで、私は絵に近づくことなく、しばらくその模様を眺めていました。そして、作品と向き合う心構えが再び構築できたことを確認してから、人波の中に身を置き直しました。

 「撮影が可能なこの展示ブースは2周すればいいじゃないか。」
 そんな言葉を自らに掛けて、自らを説き伏せたのです。

 1周目は絵と向き合うことだけに専念し、2周目は絵を撮影することだけに心を砕きました。

 「モネの絵を観賞しなくていいの!?」

 絵を撮影したことに満足してその場を離れる人を横目に、そんな気持ちになったことが思い出されます。

 人それぞれの楽しみ方があっていい。
 でも自分とは違っている。

 私は自らの楽しみ方を貫くことができてよかったと思います。

 『時間の余裕が心のゆとりにつながっている。』

 さまざまなことに気づけた有意義な時間になりました。


   

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