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3月9日_あの頃求めていたもの

今日の札幌の最低気温はー8℃。
春はまだまだ先だけれど、スマホが頼んでもないのに表示してくる「あの頃」の写真では、もう桜が咲いている。

まだ東京に住んでいたころ、日曜日になると妻と二人で当時住んでいた西日暮里から千代田線に乗って北千住に行き、荒川の河川敷を散歩した。

16年前の3月9日の写真がでてきた。荒川の写真があるということは16年前の今日も日曜日だったということだ。私は東京にいたころは土曜日は100%仕事をしていたから土曜日ではなく日曜日だ。それにしてもなぜフィルム写真の今日の写真が出てきたのか不思議だ。右下に表示されたデート(日付)をAIが読み込めるようになったのだろうか。アナログの情報まで教えてくれるというのは便利を超えて大きなお世話な気がしてくる。

あの頃。
まだフィルムカメラしかなかった、なんてことはなく、もちろんデジカメもあったけれど趣味でフィルムカメラを持ち歩いてあちこち写真を撮っていた。日付が表示される機能が好きで日付が表示できるフィルムカメラをいくつももっていた。フィルムにアナログ的に日付を感光させる形で焼き付けられる日付はカメラによって特徴があって、トップの写真や上の荒川の写真はドッド風に日付が焼き付けられるリコーのGR-1の日付。ポップな感じで私は特に好きだった。ニコンの日付はもっとべったりして実務的だったし、京セラのコンタックスの日付はもっとスッキリして高級感を漂わせていて、日付一つとってもメーカーやカメラの特徴があった。

今は何でもデジタル化、クラウド化して、情報は何でもネットの中だけれど、あの頃の私はそういう手触りの無い情報ではなく、もっと実体のある、手に触れられるものを求めてフィルムカメラで写真を撮り、フィルムに焼き付けた光の粒に意味を求めていた。自分が確かに生きていたという記録をフィルムに焼きつけ、色々なカメラでいろいろな形の日付を残す、そんな風に生きていた20代の日々。

あの頃切実に生を求めていた 
そんな記憶が
今もフィルムの右下に
オレンジ色の粒で刻まれている。


流れる季節の真ん中で
ふと日の長さを感じます
せわしく過ぎる日々の中に
私とあなたで夢を描く

3月の風に想いをのせて
桜のつぼみは春へとつづきます
溢れ出す光の粒が
少しずつ朝を暖めます

レミオロメン 「3月9日」







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