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オンラインでのことばの支援③_難聴がある子とのレッスンの様子

聞こえ方はそれぞれ

難聴がある子の聞こえ方は1人ずつ異なります。

裸耳(らじ:何も装用していない状態)や補聴器などを使っているときの聴力が似ているからといって、同じような聞こえ方をしているわけでもありません。

ですから、難聴の有無や程度のみでオンラインが「できる・できない」を判断したことはなく、実施を前提で、1人ずつ、情報保障の方法を考えています。

情報保障の方法もそれぞれ

情報保障というと、音声の文字化、いわゆる字幕や要約筆記を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

私は、幼児さんや小学生が相手であっても、ウェブ上の字幕機能、アプリを使ったリアルタイムの字幕機能について、デモンストレーションを見せ、触れる機会はもちます。

知っていることは、必要になったとき、選択肢に入りやすくからです。

けれども、幼児さんも、小学生も、読むことについては、まだまだ発達途上です。リアルタイムの字幕も情報源にして、相手が伝えていることを捉えることは簡単なことではありません。

要約して短く提示された方がよいこともあります。字幕の提示方法も、目的に合わせて、その子に合わせて、が基本だと思います。

結果、情報保障の方法も、絵やイラストを多用したり(子どもによっては情報過多にならないように制限します)、キーワードは必ず文字で提示したり、いろいろです。

下記のシートは、小学生とのセッションの一部です。字幕は使わず、お互いに文字であれこれ書き込んでいます。このようなときもあります。

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そして、マスクが必須の今は、口元や表情を見せることができるオンラインは貴重な時間だと考えています。マスクが必要な生活はしばらく続きそうですので、情報保障の観点からも、難聴がある子への支援は、オンラインとの併用が望ましいのではないかと、私自身は考えています。

生活音への気付きと把握

私がオンラインのセッションでも大切にしていることの1つに、生活音への気付きと把握があります。音に気付くだけでなく、何の音なのか、その音はどうして起こったのか把握することまで含まれます。

あらゆる音は、状況理解、いわゆる、場の空気を読むときの、手がかり1つになっていきます。

「音+音源+その背景にある(人の)動き」のように、いくつかの情報を統合させることが、聞こえにくさゆえに支えが必要な子どもたちには、音に注意を向けて、音源の背景にある人の動きを想像する活動を取り入れています。

たとえば、焼きたての音がするということは、何かが焼きたてになっただけでなく、誰かがその何かを用意したわけです。

見て分かることだけを表現することが多くなるのか

聞いて、音の背景も踏まえた表現も加えてのやりとりが生まれやすくなるのか。

コミュニケーションの質が異なってくることは想像に難くないと思います。

(Instagramか別のSNSに、これまで撮りためた生活音をアップロードしようと計画したまま、まだ、止まっています・・・。)

以下は、難聴がある年長さんとのセッションで使ったワークシートです。

ご家庭へ訪問したときに、いくつか一緒に取り組んで、そのあとはホームワークとして取り組んでもらったり、オンラインでは画面越しのやりとりで取り組んで、残りはホームワークにすることもあります。

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※記事の最後に「ことばIROIROシリーズ_きいてみよう_生活の中の音_1-100シート」ということで、100枚のシートへのリンクがあります。

下のワークシートの右側に、短い縦の線が3本入っていると思います。これはご本人がこの用紙にステープラーを使ってみたときの針です。

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