「ヴァンサンへの手紙」とは何か。
あるレッスンの場でろう者や聴者が集まってお互いに目で語り合うように交わしながら、手話で、音声で、歌い合っている。
それぞれが歌い終わる瞬間の歌い手の目や表情から感じる、何とも言いようがない高揚感と密接な一体感のある空気。
手話の歌い手であるろう者のレベントも最後には微かに微笑んだように口角をあげるけれど、やはりどこかある一種の寂寥感を漂わせてもいる。
そんな風景に触れていると、突然真っ暗になり、”稽古をする人々の話し声”という白く無機質な文字列が無慈悲に流れた。
これは、フ