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【 第39回 】学校事務職員さんへの想い(2)

◆学校事務職員の厳しい現実

「第13回日本スクールビジネス研究会シンポジウム」では、名城大学大学院教授の木岡一明先生による基調講演があり、昨年末に出された中教審の答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」を読み解き、わかりやすい解説をお聞きすることができました。

その中では、「学校事務職員」という職域について、かなり厳しい見通しが示されました。
今後は、予算縮小の方向性がさらに強まり、教育現場(学校)では人員の増員などは夢のまた夢な話となります。そうかと言って、業務内容が劇的に減るわけでもありません。
とくに、「教員以外」の部分では、その影響をもろに受けることが予想されるので、学校事務職員の仕事は、より効率化を求められるようになるでしょう。
最近話題の「10年後には消える職業」に、もしかしたら入ってしまうかもしれないという悲観的な見方もできる、というお話は、参加者の皆さんにとっても強く印象に残ったと思います。

◆学校事務職員のポテンシャル

シンポジウムや、その後に開催された懇親会などで、たくさんの学校事務職員の皆さんとお話をさせていただくことができました。
そこで感じたことは、「学校事務職員という職域は、ものすごいポテンシャルを秘めている」ということでした。
たしかに、現状のまま手をこまねいているだけでは、環境の改善は厳しいでしょうし、今後の見通しは暗いものなのかもしれません。
しかし、中教審の答申に見られるように、文科省は「チーム学校」の取り組みに力を入れようとしています。
この「チーム学校」を考える上で、学校事務職員が担える役割は大きい、ということに気付きました。

◆「チーム学校」における学校事務職員の役割

これまで、当コラムでも何度か話題にしてきた「チーム学校」ですが、それは大きく2つのチームを示しています。

○学校の教職員やスタッフの「チーム学校」
○学校と家庭や地域をつなぐ「チーム学校」

これらのそれぞれに、学校事務職員がキーパーソンとして関わることができると思うのです

○学校の教職員やスタッフの「チーム学校」

これは大雑把に言えば「職員室の中を一つのチームにする」ということになるでしょう。
学校は、学年別や教科別、また分掌別などで、たくさんの小さなチームを作り、活動しています。
それぞれが連携しながら機能的に活動しつつ、全体でも有機的にまとまって、学校という大きなチームになるのが理想なのだろうと思います。
小さなチームと大きなチームが混在して活動していくとき、個々の状況を把握し、全体のバランスを広角で見ることが大切です。
こう考えると、その要になる役目は、管理職の役割のように思えます。もちろん、管理職が全体の方向性を決めることは必須です。
しかし、私は学校事務職員がこの要の一翼を担えるのではないかと思うのです。
学校事務職員の皆さんは、教職員やスタッフのさまざまな情報を持っています。そして、管理職や同僚の教員とはまた違う立場で、職員室の皆さんと接することができるでしょう。
そうした立場を活かして、情報収集し、管理職とともに分析すれば、学校経営でも十二分に活躍していただけると思うのです。

○学校と家庭や地域をつなぐ「チーム学校」

こちらは、文字通り、学校をひらき、家庭や地域と連携して、子どもを育てていくためのチームになることですね。
先の答申が出されるずっと以前から、「学校をひらく」ということは語られてきて、多くの小中学校で「家庭や地域との連携」は教育目標などで示されています。
ここがうまく機能するかどうかのカギは、双方をつなぐ役割をする人にあると言っても過言ではないでしょう。答申の中でも「学校に、地域連携担当職員を置く」ということが示されていますが、これまでの経緯を見ても、この役割は教頭(副校長)が担われることが多いでしょう。
学校の中で、校内をまとめることはもちろんのこと、渉外的なことも一手に担当されている教頭先生は、とにかく多忙です。ですから、その負担軽減を考えると、スタッフの中で役割分担をすることが求められます。
私は、ここでも学校事務職員の皆さんができることは多いと思っています。
学校事務職員には、児童生徒の情報もたくさん集まりますし、お金のことだけでなく、施設や備品などの情報も集まります。そこに地域のニーズなどの情報も加われば、双方をうまくつないでいくことができるのではないでしょうか。

このように、学校事務職員は、さまざまな場面で活躍することができると思うのです。
「10年後には消えてしまうかも」と暗い気持ちになってしまう厳しい現実を乗り越えて、学校事務職員の皆さん自身がそのポテンシャルに気付き、学校を支える一員となっていただきたいなと願っています。

(2016年5月2日)

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2013年4月~2018年3月まで、5年にわたり寄稿・掲載された教育コラムの原稿集です。

保護者の視点で考えていた教育のこと、また先生方へのエールなど、自由に書かせていただきました。


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