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耳かきの必要性

みなさん、大変です。
とてもショックなお知らせなのですが、耳かきってやっちゃダメなことらしいです。



ことの始まりは2年ほど前の夏。
夜寝る前に耳かきをしていたら力加減を間違えて右耳の中を強めに抉ってしまった。
右耳の中に強い痛みがじくじくと残り続け、一晩眠れぬ夜を過ごした。
夜が明けても痛みは引かず、車で30分ほどのところにある耳鼻科へかかった。

耳管(とおぼしきあたり)が腫れ上がって塞がってしまった様で道中明らかに右だけ音が聞こえない。
このまま聞こえなくなったらどうしよう!と一抹どころではない不安を抱えて私は診療所の門を叩いた。


「うわ〜〜〜!!なにこれ!耳の中ぐっちゃぐちゃだよ!!」

とりあえず見ますね、と耳の中を覗いた先生の第一声である。
念の為両耳見せてね、と見てもらったら主訴の右耳だけではなく左耳もぐっちょぐちょ(原文ママ)らしかった。
私が耳鼻科関連で何かあった時にこの先生にかかっているのは先生の語彙が面白いからなのだが「新しいのいただきました〜」と面白がっている場合ではないようだ。

とにもかくにも私の耳の奥は両耳ともにぐっちゃぐちゃで(それ以上の詳しいことは私に伝えられなかった)早急に治療が必要らしかった。

後から調べてわかったことだが、緑膿菌というばいきんが悪さをしていたらしい。
珍しいことだったようで、先生もなぜなのかと首を捻っていた。

とりあえずは医療用の細い耳かきの様な物を使って消毒したり薬を塗ったりなんかやばいもの(膿とか)を取ってもらったりした。
さらには飲み薬の抗生剤を処方されたのだがこの抗生剤が3日分の医療費三割負担で六千円ぐらいするえっぐいやつ。
薬局で診療報酬明細を受け取った時ようやく私は自分の身に深刻な事態が怒っていることを実感したのである。

薬を飲み始めると耳の奥のぐっちょぐちょにたまってたらしい悪いものが出てきたのか、耳穴から謎の分泌液が染み出し始めた。
耳の外にじわじわ垂れてきて気持ち悪かったので綿棒でそっと吸い取ってあげたりしいて対処していたのだが、先生にはそれもお見通しですぐさま「綿棒やめてね」と釘を刺される。

消毒、薬剤塗布、時々経口薬処方。
ほぼ毎日の治療は1ヶ月以上にも及んだ。
無職の私は暇なので毎朝一番に診療所を訪れて受付をして消毒や薬剤塗布などの治療を受け続けた。

(この時意外な副産物としてうれしかったのがそれまでぐっちょぐちょだった生活リズムがめちゃくちゃ整って耳以外もちょっと健康になったことだ)

その時先生から耳にタコができるほど言われたのが
耳かきは絶対にするな
ということである。

「素人の耳かきは危ないから絶対にしちゃだめ!痒くても我慢していたら痒くなくなるし耳のゴミも勝手に出てくるから」

というのが先生の言い分だった。
私にはどんな治療よりもこの一言がつらい告知だった。

私は耳かき大好き人間で、毎日しても足りないぐらい耳かきをする。
痒い所に手が届く感覚がたまらなく気持ちいい。
お分かりいただける方も多いと思うがこれが本当にいけないらしい。
つらい。

また、先生が言うところには素人の耳かきは入っちゃダメな奥の部分まで耳かき棒を突っ込んでしまいがちで繊細な体の部位を傷つけてしまいがちらしい。
さらには耳の手前に溜まっていたゴミを奥に押し込んで取り返しのつかないことになりがちなので絶対やめてくださいね、本当ですよ、絶対ですということだった。

いやだ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!無理、そんなの無理だよ!!!!

というのが本音だが病み上がりの耳を労って私はしばらくは耳かきを我慢した。
しかし誘惑は痒みという形で私に襲いかかってくる。

浅いところだけなら、少しだけならいいんじゃないか。
お気に入りの耳かきが待っているぞ。

どうだい、そろそろいいんじゃないかい。
傷がつかない様に優しくやればいいんだからさ。

だめだ、だめだだめだだめだ!!!
また同じ怪我をして耳の中ぐっちょぐちょにしてしまったらマジで先生に合わせる顔がない!!!!!

先生の言うことが先生個人の見解なのか耳鼻科界隈全体の見解なのかはわからないが耳に優しいのは耳かきしない党の方なのはまあ、あんまり認めたくないけどなんとなくはわかる。

果たして今の私は耳かきをしてしまっているのでしょうか。
それはあなたのご想像にお任せします。

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