「好きな食べ物はなんですか？」
あまり答えたくない質問、第1位はこれです。

大定番の質問だけど、まず「好きってどれくらいから？」のすり合わせができてない状態だと答えづらい。

• たまに人からおすそわけとかでもらう機会があれば嬉しいけど、自分で積極的に買ったりはしない

• お店で見かけたらいつも買っちゃう

• むしろ自分から求めにいっちゃう

などなど、好きにも段階があるから相手がどれくらいの隙を想定しているのかわからないまま答えるのが不安だ。

あとは「好きな食べ物ならどのくらいまで受け入れられるか？」を確かめられないのもモヤモヤする。

例えば私が「好きな食べ物はからあげです」と答えたとしよう。
そう答えた瞬間、質問した人のなかで私が

「からあげと定義されるものならどんな姿でも好きな人」

として解釈されるかもしれないと考えるとちょっと嫌だ。

確かに私はからあげは好きだけど、「お好きでしたよね？」と言われて衣が分厚くてふやけているからあげを出されたりすると悲しい。

鶏胸肉のからあげよりも鳥もも肉のからあげの方が好きだから、もし鶏胸肉のからあげが出てきたらちょっとだけしょんぼりするだろう。

もしかしたらからあげならなんでもいいんでしょ？と鶏肉じゃない何か（たとえばわかめとか）のからあげがでてきたりしたらびっくりする。
（書いてて気がついたけどからあげって鶏肉に限らないのは当たり前か）

こういったことが頭によぎってこの質問をされるといつも言い淀んでしまう。

そもそも食べることは嫌いじゃないけど特定の食べ物への執着ってそんなにない。
まずどの食べ物を選ぶのかから始まって、どんな言い方をするかとか、でも好き度合いでいうとこれくらいで、と言い添えるべきなのか、みたいなことをたくさん考えて返事をするのに時間がかかる。

それならむしろ
「嫌いな食べ物はなんですか？」
と聞かれた方が悩むことなく返事ができるだろう。

私は魚肉ソーセージが大の苦手で、ポテトサラダに刻んだそれが紛れ込んでいるのを見つけただけでもげんなりするぐらいだ。

もしもこう聞かれて「魚肉ソーセージが嫌いです」と答えても「ああ、この人の苦手な食べ物はこれなのね。会食する機会があれば覚えておこう」となってもらえたら大変に助かる。

万が一そう答えた上で相手から魚肉ソーセージの入った料理を振る舞われたら、忘れっぽい人か、たいそう意地の悪い人なのか、はたまた私に全然興味のない人なのかもしれないな、と相手のことを判断する材料になる。

「好きな食べ物はなんですか？」って質問。
もしかしたら人生でたくさんある自己紹介をする機会の中でも最序盤から使われる質問かもしれないけれど、いまだに攻略できずにいる。
もし誰かに初めて会って会話に困ることがあったら私はなんて聞こうかな。