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フロリダディズニー旅行 -チップ編-

海外旅行に行くと、その国ごとに多少オリジナルの慣習や風習に出会いますがそれもまた興味深いものです。相手の国にあくまでもお邪魔する身としては、基本的なスタンスとして自分たちのアイデンティや大切にしているものを阻害しない限りは訪問国に合わせておくことがマナーかなと思うのですがみなさまどう思われますか?今回は、そんな日本にない慣習やシステムの代表とも言える独特のお作法、アメリカのチップ文化について私なりの考え方をお話ししていきたいと思います。ちょっと長めですが、本題のディズニーワールドのチップ関連のお話は最後にありますので、読みたい方は目次からどうぞ!

チップという文化を考えたとき

最近はもうこういったチップジャーじゃなくてデジタルになりつつあるけれど

まずは接客業にチップなアメリカと、理解できない日本人

私がチップという文化に出会ったのはアメリカに住んでいた高校生の時だったと思います。家族でよくご飯に出かけると、父親がお会計のレシートのチップ額を暗算で計算して、よしっ、これくらいだなっと書き込んで支払います。当時は、算数が大変くらいの印象でしかなく、それが何なのかまでは全く理解していませんでした。

私がチップを人に初めて払ったのはそれからしばらくしてからです。それは大学2年生の夏休み、友人と2人でアメリカの長距離列車、アムトラックでアメリカの東海岸側を2週間ほど旅した時のことでした。アメリカに住んでいた経験もあったことからチップを払う必要がある認識はありましたが、それをあげないことは人をかなり不快にさせトラブルになることを次の経験で知るのでした。

一緒に旅をした友人は高校時代に留学経験のあるお嬢様でした。これは旅を通して知ったことでもありますが、オブラートに包まずいえばお金にうるさく、人のお金やモノを容赦なく使います。当然、チップを払うのは気乗りしません。ただ、留学経験がありアメリカ人の彼氏もいたような子ですから、語学面はそこまで問題はありません。そして人様に何かを注文する英語は人並みに話せるので、荷物をここにもってこいだの、部屋をもっとこうしてほしいだとホテルのフロントにリクエストを申し出ることはします。結果、幾度かポーターの方から手をスススっと前に出されることがありました。「あんなのシカトすればいいよ、だって仕事でしょう?日本だったら普通だよ?」と彼女は一切払うことがありません。最終、はっきりと不満そうな顔をして部屋のドアを閉めようとしないドアマンに気が付きました。雰囲気的に身の危険を感じ、焦ってよくわからないまま2ドルくらいを渡したかと思います。結果、彼はそのチップを見て舌打ちをして何やら不満そうに消えていきました。私の中でこの意味が理解できるようになるまでには、またしばらく時間がかかることになります。

彼らの基本給はチップを差し引かれた額で構成されていると知る

基本的に接客業の中でも、飲食店のテーブル担当やホテルのドアマン、バレットパーキングなどの担当者、そして荷物を運ぶポーター業務など、彼らの基本給が会社からもらう額では完全体にならない仕組みでお給料が構成されています。簡単に言えば、お客様からチップをもらうことを前提として給与構成がされている職業です。なので、基本給だけでは本当に僅かな収入になる職種ということになります。

こういった職業に就くのは基本的に学が低い人と日本では決めがちですが、そういうことでもありません。自ら接客業のプロとしてこういった職場に身を置く人も少なくはないのです。例えば5スターのホテルなどはこの基本給というものが高く、その代わりに求められるスキルも非常に高いものになります。一般のいわゆる高学歴で高収入のオフィスワークの方ができないこと、知らないことに彼らは精通しています。だからこそアメリカではそういった一流のサービスをできる人に対して、それ相応のチップで対価を支払います。つまり、特別な能力を評価した値の額のチップを支払うわけです。ここで行き来するチップは最低でも100ドルくらいになるそうですから、正直、日本の新卒が1日泣きながら仕事をして貰える額を彼らは一人のお客様から、しかも一度のサービスで受け取るだけの能力を持ち合わせているということになります。

こういった仕組みを知るようになったのは社会人に入ってからだったかもしれません。そうなると、友人がチップを相手に渡さないという行為はとても相手の能力を侮辱した行為になるわけです。あなたが一生懸命やったお仕事に1円の価値も私は感じませんでしたよ、というメッセージを送るわけになるわけですから、アメリカの常識から考えると非常識なアジア人、サービスをして損をした、2度としてやるものかとなるのも頷けます。ちなみに次の日にタクシーをお願いしたところ最高に悪い態度で電話を受けられましたし、下に降りるとタクシーが来ていませんでした。そしてもちろん、もう一度お願いして流しのタクシーを手で呼んで対応されました。こういう酷いお客様はスタッフの間で秒殺で共有されるので気をつけたいものです。特にアジア人は目立ちますからね…。(マンハッタンでのお話でした)

日本の間違った接客業に対しての大きな期待

お客様は無条件に神様になれるわけではない

「お客様は神様だ」という言葉が昔からよく使われます。これはそもそもどこから来た言葉なのでしょうか?みなさまの中で三波春夫さんという演歌歌手をご存知の方がどれだけいるでしょうか。「こんにちは、こんにちは、世界の国から〜」という歌が私が唯一知っている歌になりますが、この名言は彼が観客の前で歌うときの心構えとして以下のように言われたことが元になっているそうです。

「神前で祈るときのように、雑念を払い、真っ新(さら)な心にならなければ完璧な藝を披露することはできない」とする心構えを語ったことが元とされています。

鎌倉投信さんの記事より抜粋

全く違う意味で話された言葉が右葉曲折でおかしな方向に解釈され、現在に残ってしまった言葉のようで驚きですね。彼が生まれたのは1927年ですので、実はこの言葉自体が生まれて100年も経っていないのです。一時の流行語がまるで日本の接客文化かのように解釈されている、これは日本人でも知らない方が多くいるのではないでしょうか。

日本のオーバーサービスに疲弊する接客従事者

私自身、接客業に新卒で身を置いた経験と、企業で B to C ビジネスをした経験が幾度がありますので経験をベースにお話ししていきます。

日本はなぜかどうしても接客業従事者に対し、必要以上の期待を寄せる傾向にあるように思います。もう少し具体的にお話しすると、接客業従事者の本来の仕事を超えた無償の特別扱いを求める嗜好が強くあるということです。
そして社会全体が競争化社会の中でこういった無償の付加価値をセールスポイントにして同業他社との差別化を図ろうとします。これを上手い言葉でブランディングと言います。その競争文化を生み出した結果が、サービス提供者が絶対的に、そして無条件に弱い立場に追い込んでいるように感じます。

人には職業に向き不向きがありますよね。小さい頃から人と話すことが得意な子どももいれば、何かに集中して物作りをしたい子どももいます。中学高校に入れば、小難しいことを言うことが好きな子もいれば、体を動かすことが好きな子もいます。こう言った性質に合わせて、自分に向いている職業に本来は人は就いて生計を立てていくことで、人が1箇所に集中することなくいろんなサービスやシステムが世の中を網羅するようになるのです。

正社員として接客業に自ら志願して従事する人のほとんどが、人と関わることにストレスを感じない人が多いでしょう。数字を細かしく動かしたり、技術者として何かを探求するよりも、人を喜ばせたり、人と関わる中で何かを生み出したいと言う人もいますし、人の口に入る嗜好品を調理したりすることが好きで接客業に入ると言う人も少なくありません。正直、接客業という能力が身についている人がこの世にいなければ、この世の中にあるサービス全てが淘汰されてしまいます。会社員が会社に行って働くように、接客業の人は自分の職場が一般客を直接相手するだけなのに、ここに大きなサービスという壁を作って無償でも私たちに従事しろ、お客様は神様だ。と言っているのが日本のオーバーサービスの現状と言えるでしょう。なので、こう言った考えの方が、全く違う感覚で接客業をしている海外の文化に入り、オーバーサービスを要求したり、無償でのサービスを享受できることを期待してはそれは理解し合えるはずがありません。

実際に意味不明なクレームや、特別扱い、意味のないブランディングに伴うオーバーワークが原因で、接客業の多くが無駄に残業を強いられプライベートな時間を奪われている。これを見て多くの人が、接客業は底辺の仕事だと思うのかもしれませんが、そもそもこう言った無駄を排除できないのが日本の良くないところですね。謝るべきところと、ここからは私たちでも無理だというところの線引きが、多少昨今できる企業も増えてきました。そういった意味でお客様は神様という幻の日本文化が消えゆくことを願います。

日本にも実はある、チップ文化

心づけという文化

接客業に無償のサービスを求めがちなのはここ最近の過剰なブランディングによるものですとお話ししましたが、日本の文化には心づけというチップに似た文化が存在していることも書いておきたいと思います。実は日本には接客業に対して心付けを渡す文化が明治・大正期まではあったことが記録や随筆、文学上の表現に残っています。高級老舗旅館などで心付けを渡す文化はいまだに残っていますが、大体かかった費用の10−15%を心付けとして渡す文化があり、それを含めて収入を見込んでいる文化があったようです。こういった文化は戦後の復興活動とともに消失していったと言われています。ですが、引越し業者、冠婚葬祭関係者にはまだ心付けを渡す文化が日本でも残っていますよね。これは何%というよりは具体的に3000円、1万円といった風に暗黙の了解として決められていて、必須ではないですが渡した方が
常識人だと判断されるといった傾向のものです。特に若い世代の方がこれから出会う方として考えられるのがウエディングプランナー、介添人、司会者などがこれに該当しますね。こういった行為は日本のチップ文化の名残りですので納得が行きます。

アメリカのチップ文化から見えるもの

チップは能力に対しての評価、目安は%で決まっている

先にも述べた通り、海外の接客業のチップの考え方として近しいと考えられるのが、基本給➕チップが彼らの給与として考えられる、いわばチップはコミッションのようなものです。最近は、日本でもコミッション(出来高制)という考え方が営業職には浸透しています。自分がした余剰の労働に対しての対価がチップであるということです。
この余剰がどういった計算式のもとに対外的に評価されるべきなのかというところについてはなかなか難しいところもありますが、アメリカでは明確に自分たちが食べた食事代に対しての%でこの能力を評価する場所を設けていると言った感じです。要するに、私たちが払う食事代はあくまでも食事代であり、サーバーの私たちへ行う一連のサービスの労働代が加味されてないので、あなたがその人の能力を評価してチップとして支払ってくださいという方程式が成り立っています。私たちが彼らのサービスを評価する権利をお客様として有しているといった構図です。

これを2023年のアメリカでは調べる限りだとレストランサービスにおいては18%以上が好ましいとされているようです。

<レストランサービス>
18%:あまり驚きもしない普通のサービス
20%:気持ち良い平均的なサービス
22%:大変満足なサービス

と考える傾向にあり、感動したなどとなると25%、30%と上乗せする富裕層の方も普通にいるそうです。"Thank you very much Sir!"などと声をかけてもらっている人は彼らを高く評価したチップを渡していたりするのかもしれないですね(マンハッタンで何回か見たことがあります)。バーテンダーなどはカクテル1つに対して1ドルすでに入っていたりしますし、コーヒーショップでも1杯に対して1ドル渡すというのが一般的とされているようです。最近流行りのUber Eatsなども15-20%が相場だそうです。今回、私もここら辺については明るい方ではなかったので少しリサーチしました。チップの%は上昇傾向にありますので、その時代に即した%を都度アップデートしておくことは必要なのかもしれません。

アメリカ人のチップに対しての考え方は実は様々

日本人が同じでないように、実はアメリカ人もチップに対しての感じ方は異なるようです。具体的にいうと、育った地域、環境、ご家庭、最後に階級によってもチップに対しての向き合い方が変わってきます。実際、アメリカ人でもチップをケチる人はいます。払わなくていいものは払いたくないという人もいますし、払えないという人もいるでしょう。払えないというのは困窮している状態なのでまた別として、ご自身がどういう社会的地位にいたいかを少し考慮する必要がある話を次はしていきます。

一億総中流社会の日本、階級社会のアメリカ

「どの社会的立ち地位にいたいのか?」と言われると私たち日本人はかなりの違和感を覚えます。というのも、私たちの国は、公平であり平等であり、皆国民は同じであるべきだと社会から教えられてきたからです。最近こそ、年収1000万が云々、カーストがあるなどと言うようにはなったものの、それが社会的にはっきり区切られて区別する世界には暮らしていません。

一方、ホワイトカラー、ワーカークラスなど、自分のいる階級が人やサービス、義務教育の内容すらをはっきりと区別するのがアメリカ社会です。だからこそボランティア(施し)の文化が発達しており、弱いものを強き裕福な者たちが広い心で無償で助け、名声を得るという形が国に定着しています。これに対して不平等だと言えど、歴史的にもアメリカは人種や肌の色、宗教などを通して多くの区別が差別として行われてきたため、声はあげても根本的なところは変わりにくいといった印象があります。ただ、アメリカをはじめとする多くの国は超資本主義です。自分の階級に見合った常識を身につけて、お金がある人は恵まれない人に施すことで自分の立ち位置をより明確にするといった文化は驚くことではありません。

チップの歴史はイギリスであり、区別するために利用された

チップの歴史はアメリカではなく、実はイギリスであると言われています。アメリカが植民地だった頃、ヨーロッパからの旅行者によってその文化が伝達され、ヨーロッパ貴族の行為を模倣する形で始まりました。チップ制度はしばしば階級を区別するために使われました。これらは社会構造のヒエラルキーを明確にする手段であり、非民主的だという意見が国内でもしばしば怒ったことから19世紀末〜20世紀初頭にかけてはチップへの反対意見が強まった時期があります。しかしながら1920年になると、アメリカに禁酒法が発令、法の目を背くようにお酒を提供してくれた店に対してチップの文化が盛んになります。賄賂のようなものですね。第二次世界大戦後、心付けの文化が淘汰された日本と相反するようにアメリカではチップの文化が定着します。経済が急激に成長したことによりホテル産業をはじめとした第三次産業が発展したことがその大きな理由になりました。1960年には、アメリカで正式に「チッピングクレジット」という制度が導入されます。これは雇用主が最低賃金以下の給与を従業員に支払うことを許容する制度であり、従業員が受け取る給与が、最低賃金基準を満たさなくてもよいという特例を雇用主に提供して雇用の促進を促します。その代わりに、従業員はチップによってその差額を埋める権利が与えられます。この制度は今のアメリカでは一般的になってはいますが、一部の州では、最低賃金基準が連邦法よりも高いため、チッピングクレジットの適用が制限されていることもあります。固定給よりも出来高制の方が従業員が個人努力とサービスの質に対する報酬を受け取ることができることを良いとしているので、ここがチップに対しての考え方の基軸になると考えるのがいいかもしれません。

チップは相手側へのサービス努力であり、正当な報酬である

こう考えた時、自分の階級を尊重し、敬意を払い、最高のサービスをしてくれたサーバーには、富裕層である権力を示すことも含めてチップを加算する文化が一流店舗では頻繁に行われます。これはマンハッタンやハリウッドなどのセレブが住まうエリアでは日常茶飯事なことです。
私が一昔前に宿泊したマンハッタンのブライアントパーク脇の古びたホテルは、日本で言えば施設は3流以下ですが、その立地の影響か宿泊費が1泊5万円ほどが最低価格の相場でした。今ではもっとすると思いますが、本当にただ寝る場所で、毎朝毎夜パトカーのサイレンが鳴り続けるような場所です。しかしながら、そう言ったところに宿泊しに来る客はハイヤーでホテルの脇につけ、スーツケースを5個ほど下ろします。家族連れの旅行でしょうが、その荷物を少し手伝ってくれた男性に20ドルを掴ませます。"Thank you Sir!" 黒人の大きなガタイの良い男性が白い歯をニッコリ見せました。彼はこれからも彼ら家族を進んでサービスしてくれることが確約されたことになります。チップというのはそういう効力を持っているということです。

日本でも世間体を気にする、自分がどういう階級かを人に知らしめておきたい人ほどチップ文化を重んじるのはいうまでもありません。こう言った具合の感覚は、日本の富裕層でもあることです。お礼と言ってお釣りを受け取らない、多めに払うなどをする方がいますよね。何かにつけてポチ袋を持っており、お金を包んでお礼をするなんていう方もいます。そういうお育ちがチップ文化に似ているところはありますが、私のような一般家庭に育ったものはそういう文化には精通していないのでこういう勉強をするとなるほどなと思うのです。

チップ文化への向き合い方

私たちが行くアメリカは大都市が多く、富裕層サービスも充実

私たちがアメリカに行くときに選ぶ場所の大概のところは大都市となり、富裕層が多く住まう土地です。よく聞くのはニューヨーク、ロサンゼルス、ラスベガス、ハワイなどでしょうか。ニューヨークの物価は目立って著しく高いですし、国内旅行者の多くは富裕層です。また、ビジネスの中心地ですから世界中から有名企業の人たちが集まりますので、ラーメンが一杯30ドルですなんてこともザラにあるのです。ハワイについては、アメリカ人の避暑地であり、バカンス地です。ここにくるアメリカ人の多くもまた富裕層が多いでしょう。今回私が訪れたディズニーワールドはフロリダ州に位置しています。フロリダというのはアメリカ人富裕層の避暑地であり、あの有名なトランプ氏が大きなゴルフ場を保有して住処とするなど、ゴルフとエンターテイメントが盛んなビーチ都市です。ただし、エンターテメントは世界中の人が好むもの、オーランドにあるディズニーランドやユニバーサルスタジオには南米諸国の人も気軽にアクセスしてきます。よって移民も多く、スペイン語話者が多い場所でもあります。西のエンタメがラスベガスなら、東のエンタメはフロリダかもしれません。そんな金銭の余剰を使う場所には様々な階級の人が集います。余剰の枠は人それぞれ、ディズニー側もそれを承知していますから、その人のクラスに応じたホテル、レストラン、そしてサービスを細かく分けて提供し、サービスの棲み分けをしています。

日本人は無理をしてでも富裕層サービスを利用しがちである

ここで心得ておきたいのは、日本人旅行者の多くはその富裕層が過ごす施設を利用しがちだということです。「せっかく海外に来たのだから少し贅沢をしましょう」といった具合にランチやディナーを良いレストランで食べている事が多いです。こういった場合、自分たちの常識を相手の文化に踏襲してしまうことは、時として相手の常識を逸脱してしまい、結果的にとても恥ずかしい行為をしている事があります。それが基本的なチップマナーになることが多いような傾向です。「日本ではそういうのはないから」と突っぱねる行為をよく見るのはハワイです。ハワイは日本ととても親睦が深く、親日家が多くいますが、今では日本はとても他の諸外国に比べて貧しい旅行をするようになり煙たがられ始めていると体感します。無料で安いもの、お得なものにたかってしまう、雰囲気だけのハワイを楽しみたいとしてしまうことで、良いレストランに行っても一番安いものをオーダーして何人かで分けてみる。チップは払わない。英語も喋れない。それに比べると、中国人はマナーは悪いがお金払いは良いと思われるようです。
自分の身の丈に合う場所を利用するのが一番ですが、背伸びをすると決めたのであればそこは痛い出費ではありますが、そのレストランで提供されるサービスをきちんと堪能できるだけの予算を保有してチップを払うのがマナーなのかもしれません。

ディズニーワールドでのチップの考え方

良いホテルではサービスが良くなるので意識しておきましょう

テーブルレストランは書いてあるものに従って基本はやり過ごすが吉

ディズニーワールドでは、ほぼ全てのテーブルレストランにて目安のチップ額がご丁寧に書いてあります。でもこれはディズニーワールドに限ったことではなく大抵のお店で導入されている制度になりました。テーブルレストラン以外でもお会計の際にチップを選んでみたいな画面が出てくるお店も増えています。アウラニのディズニーもフロリダも基本的にレシートの形式は一緒です。全ての食べた食事の金額、タックス、小計がまず書かれます。その下に "Suggested Tip"という表示で、チップの目安の額が18% 20% 22%の3択で表記されています。前述した通りこのチップ%には意味があります。

<レストランサービス>
18%:あまり驚きもしない普通のサービス
20%:気持ち良い平均的なサービス
22%:大変満足なサービス

というものでもちろん感動すればそれ以上に上限なくチップを渡すことができます。通常のサービスを受けたのにも関わらず、18%以下のチップを記入した場合には「どうしてこんなにチップが少ないの?私何かあなたに対して気分が悪くなるようなことしたの?」というようなクレームが直接ウェイターから来てもおかしくないはないので、そういった額にチップを設定する場合はそう言ったシチュエーションを想定しておいた方がいいと思います。一般的な大衆レストランは15%でも良いとされる地域もあるようですが、要は15%以下に設定した場合は彼らの給与を割り込むようなサービス評価ですので途端に最後の挨拶が雑になったり、嫌な態度を取られることはあって普通ということになりかねません。こういった基本的なことを理解していないチップ文化に疎い日本人をハワイなどの人は理解しているので、最初から雑なサービスをしたりする人もいます。また、良いレストランでは積極的にサービスにつきたくないと思うサーバーもザラにいるというのは悲しいですが事実です。円安の今、なかなか太っ腹にはチップをお渡しはできないけれど、お互いに気持ちよくなれる18-20%くらいの間でキリよくチップを渡して店を去りたいものです。

ホテルでの荷物にまつわること

ホテル宿泊でよくあるのが、荷物を部屋まで運んでもらったという場合です。ディズニーワールドではホテルに階級があります。

デラックスホテル:1泊500ドル以上
モデレートホテル:1泊350ドル以上
バリューホテル:1泊200ドル以上

と言った具合で分かれているのですが、このデラックスホテルに泊まる方には荷物を運んでもらうサービスがついてくる可能性が大きいので注意が必要です。まずホテルのエントラスから様子が変わります。常にバレーサービスの場所に人が立っていたり、ドアを開けてくれる人がついています。この人たちがサービスをする理由は、それくらいの階級の人たちが自分たちのホテルに宿泊してくれるということで求められているサービスレベルが高いことを熟知しているからと言えます。

荷物を部屋まで持っていってくれるという行為

これは明らかにチップが必要な案件になります。よくあるのが荷物をまずタクシーから引き上げてくれて台車に乗せてくれるといった行為です。これにチップを支払うアメリカ人は普通にいます。もちろん、この後部屋に運んでくれるまでがセットです。どのタイミングでチップを渡すのかは私も難しいなと思うところではありますが、一連の動作を同じ人が担当してくれるのであればその人が荷物を置いてくれた時に渡すがいいと思います。荷物1つに対して1ドルー2ドルが相場です。もしくは運んでくれた荷物の個数の10%が目安とされています。

単純にカウンターで一時的に荷物を預かってもらうという行為

この場合だと基本チップを払う人はいたりいなかったりです。アメリカ人を観察していましたが、私のみる限り渡している人はいませんでした。というのも、担当した人は自分の任されたカウンターから離れることはなく、私たち自身でそのカウンターに荷物を運び入れているからではないかと考えられます。だからもし、ホテルの部屋にわざわざ荷物を預かりにきてくれて処理してくれたなどの場合は、余剰のサービスになりますのでチップの対象になるでしょう。ディズニーホテルは冷蔵物を預かってくれるのですが、もし仮に本来では預かるサービスはやっていないのだけれど特別に冷蔵庫で冷やしておくね。みたいな通常にないサービスを提案した人がいる場合には余剰の気の利いたサービスに対してチップの対象になるかと思います。サービスチップは預けた荷物の個数に比例して良いのではないかと思いますが、1個の場合は1ドルだと寂しいので2ドルくらい渡してしまうかもしれないです。

正直言って、こういったことを気にしたくない場合には自分の荷物は全部自分で預け入れて、受け取って持っていくことを心がけておくと良いと思います。彼らの持ち場を彼らが離れない限り、ディズニーに関してはチップを払う必要もない印象がありました。

お部屋の掃除(ハウスキーピング)

基本的にはベッド1台に1ドルです。そこにタオルを増やしてほしいとか、もっとこうしてほしいとかの要望をつけた場合にはチップを増やしておく事が望ましいですが、たまに受け取らない人もいます。そして受け取っておいて掃除をしない人もいますね。このサービスレベルはお国柄や人に任されてしまいます。気持ちよく通路で「今から出ていくからよろしくね!」などと会話をして中にいる人と接点を持った瞬間に、しっかりクリーニングしてくれるといったこともよくあります。特にディズニー系のホテルだと、タオルをミッキー型にしてくれたりするサービスを日本ではしてくれたりしますよね。アメリカも同様で、気の良い方はしてくれます。ただチップを置いていないと基本的にはしてくれないような、でも置いたところでしてくれるとは限りません。私たちは何度もお部屋に掃除に来てくれて、まだお部屋にいてみたいな時に少し多めにチップを残して、尚且つ声がけして謝ってからパークに向かった日がありました。その日は本当に綺麗に掃除をしてくれていて可愛いタオルアートがお迎えしてくた事があります。やはり資本主義とはいえ、人と人、気持ち良いコミュニケーションは大事だなと感じました。

バスやフロントデスクの人へのチップ

基本的には必要はありませんが、荷物を運び出してくれたりすることへチップを渡すことは悪いことではないようです。渡しているアメリカ人もいましたし、渡さない人もいました。特にこれは空港からホテルまでのバスに限ったことで言えることです。チップはあくまでもその人の仕事ぶりに対する自分の感動度合いに応じて変化して構わない評価の形ですので、自分があげたい分だけ上げて拒否されることはほとんどありません。

過去に見た事があるのはハネムーンか何かでホテルに来て、フロントで何か特別な演出があったようなカップルがいました。彼女は感動していて、その流れの後にそっと男性側がフロントの方へチップを渡していたなんてこともあります。これは日本でいう心付けというやつですね。別にそういった使い方もなくはないのですが、一般的な海外旅行ではなかなかそういう機会に出くわすこともないでしょう。

アメリカに限って言えば「ハネムーン・マジック」はとても強いものです。アメリカではなぜかハネムーンは一大事でお祭りごとで、ハネムーンなら最高なものにしてほしい!と血を騒がせる文化があるように感じます。アニバーサリーよりもハネムーンの方が部屋の装飾が豪華になったり、下手するとお部屋がアップグレードされたりします。そうなった場合にその感動度合いでお手伝いしてくださった方にチップを渡すことは別に不思議なことではないということみたいです。が、基本的にはフロントの方やバスの運転手の方など、持ち場で仕事をされている方にチップを渡すシチュエーションはそう多くはないように思います。

ということで、チップに対しての感覚がよく掴めない方、抵抗がある方、よくわからないでいたけれど払っていた方などの参考に少しでもなれたら嬉しく思います。学校の教科書のようなマニュアルがないぶん、わかりにくい部分もあるチップ。どういう判断でどう渡すのかの根本的な部分がなんとなく掴めると怖がらずに済みそうです。


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