ゲーミングUMPCの発熱のこと

 あんまり見ないUMPCの話題『発熱』

 世間では・・・というか、私が関心のあるニッチな世界では、ゲーミングUMPCが花盛りです。
 GPDに端を発し、One-NetbookやAYANEO、それについに中堅どころのASUSまで発売にこぎ着けていますし、基本はどれもAMDのプロセッサを使用したもので、細かい仕様でそれぞれが独自の味付けをしてきます。
 スライド式キーボードが素敵なGPD WIN4、基本はタブレットスタイルながら磁石でキーボードを装着出来たり、ゲーミングに当たるコントローラ部が着脱出来たりするOneXPlayer、独自路線で高級感を演出するAYANEO、そして最後発ながら手堅くまとめてきたASUS・・・というイメージでしょうか。

 それで、いろんなサイトや動画サイトでレビュー記事を見ます。
 そんなのを眺めながら『どれがいいかなあ』とか悩んだりするのもまた一興なわけなのですが・・・

 『意外と言及されていない』と思ったのがお題のとおり、熱問題です。

 レビューサイトなどでは結構なベンチマークソフトの実施結果などが上げられているのですが、体感として発熱具合について言及しているところが少ないなあと。

 私個人としてはGPD WIN MAX2とAYANEO2くらいしか語れないのですけど、そこで感じたのはAYANEO2の発熱・・・ハッキリ言えば熱さに関する気づきです。
 GPD WIN MAX2は意外と・・・というか、全く熱を手に感じたことがありません。
 いや、正確には多少は無いわけではないのですけど、デジタルガジェットを扱う上で『ほんのり温い』程度なら気にする必要はないと思うんです。
 でも私が期待したのはAYANEO2のオーバクロック耐性といいますか、公式が設定出来る『バッテリー出力33W運用』が可能であるという前提でした。

 しかしこれはアッサリ裏切られます。

 確かに設定は出来るし、3DMarkくらいなら完走出来ます。
 でも、ゲームをするとなると話は別です。
 15分もしないうちに手のひらに不安を覚えるような熱を感じるんです。

 AYANEO2は横並びに見れば・・・ファンの付いているのがプロセッサ側で、センターにSSDを挟んで、その反対にバッテリーが乗っています。
 で、ヤバいのはプロセッサ側の表面、液晶付近と、バッテリー側の裏面の温度です。
 100歩譲ってプロセッサ側にはサーマルスロットリングというフェールセーフがあります。
 実際、30分も遊んでいたら必ず発動すると思います。

 でもバッテリー、お前はダメだ。

 実際、『大容量の電源』をフル活動させたら発熱しないわけがないんです。
 それをこのコンパクトな筐体に押し込んで、『プロセッサ』と『M.2 SSD』という『2大発熱源』に隣接して置くというのは、正直かなり怖いです。

 というわけで、33Wは『張り子の虎』状態です。
 だから・・・『常用出来るのはどこからかな?』と思い、探り探りワット数を下げながらちょこちょこ遊んでいたんですが・・・

 実は、25Wでもプロセッサ側でサーマルスロットリングがかかります。
 本当はバッテリーの持ちを度外視して『どうせゲームを遊ぶなら!』と28W運用を考えていたんですが、それより気持ち下げたワット数でも常用はNGでした。
 それなら22Wなら?
 実際これはAYASpaceで『ゲーム』の設定にされている公式数値です。

 結論、『ファン設定次第で可能』でした。
 ファン速度を温度に比例して回転数を上げるようカスタム設定する際、少し早めに100%でぶん回すようにしておけば何とか使えそうでした。

 そりゃ確かに『公式設定が使えなきゃ話にならないでしょ!』と思うのですけど、実は初期設定のままだとやっぱりサーマルスロットリングがかかります。
 つまりファンの回転数を『基本よりも上げ気味』にするのはゲーミングUMPCとしてのAYANEO2の『生命線』です。

 実際、AYANEO2は公式でDIYの放熱キットが販売されていますが、詰まるところこうした温度管理の問題が残っているからなんだろうなと。
 それで、実際に導入された方からは『本体が暖かくなった』という話も聞きました。
 でも、多分これはシール状のグラフェン素材が本体にそれまで籠っていた熱を逃がすからだと思うんです。
 で、それが何の熱であるかと言えば『バッテリー』なんだと思います。
 実際、取り付け動画を見る限りグラフェン素材が接触しているのはバッテリーなんですよ。
 だからそれまで樹脂素材で阻まれていた『放熱のリアル』がグラフェン素材を通じて手に伝わりやすくなるが故に暖かくなる、と。

 これ、結果的には良いことだと思います。
 リチウムイオンバッテリーがアチアチになるのは危険だと思うからです。
 でもそうして考えると現在のUMPCの限界も見えてくるなあと。
 
 プロセッサ、バッテリー、SSD・・・使っているものは各メーカーで基本的に大差がないはずです。
 そうすればこれらをあれらの『小さく狭い体積』の中に詰め込むわけですから、どこかにしわ寄せが当然来るはずなんです。
 それで個人的にはAYANEO2の運用は15Wがベストだと感じています。
 他のUMPCでも同じような感じじゃないかなと。
 でも先の『サーマルスロットリングの発生』とか、そういう『実際的な運用の話』ってレビューサイトではホント見ないので、誰かの参考になればと思って今日ここで書きました。

 ・・・本当はGPD WIN4の2023モデルが少し欲しかったんですが、トランジスタの微細化と引き換えにメモリクロックが上がっていたりするので、結果本体内部の発熱は2022モデルと比較してもトントンかそれより少し高くなることを個人的には見込んでいることから、スルーすることにしています。

 誤解してほしくないのは、AYANEO2は大好きなんです。
 本当に良いマシンです。
 でも、想定していた『レビューサイトで書かれているベンチマーク結果』を『日常の運用』で見ることが出来ないのは少しさびしいなあと。
 つまり『あの結果が常用出来る』と思ってはいけないということです。
 あれは『ちょっぴりならごまかしつつこんな感じで動作可能』という程度でしかありません。

 で、この放熱・発熱の問題は他メーカーでも・・・例えばASUSのALLYではMicroSDカードスロットの破損というカタチで顕在化しているし、また多分・・・これは必要以上にオーバークロックした結果だと思うのですが、どこかでちらっと見た『GPD WIN4のキーボードが熱で溶けた』とかいう件にも繋がると思うんです。

 ゲーミングUMPCって本当にロマンを感じるんですけどね。
 実際好きなジャンルです。
 でも放熱の面まで考えれば結局GPD WIN MAX2くらいのサイズが欲しくなるし・・・。
 うん、意外と『安全、鉄板運用』ということを考えれば、今のところベスト機体はGPD WIN MAX2なのかも知れません。
 今後プロセッサ関連でもう少しプロセスの微細化が進み、発熱が抑えられるようになれば、もっと電池持ちも良くなるだろうし、理想にまた一歩近づくような気がします。

 そういう意味ではこのジャンルはいつだって過渡期。

 こう語っておきながら逆説的ではありますが、意外とだからこそロマンを感じるジャンルなのかも知れませんね。

 まとめ

 ・ゲーミングUMPCはロマンがあってステキだ。
 ・でも常用するなら2023年現在は夢を見すぎない方が良い。
 ・レビューサイトのベンチマーク結果は信じちゃいけない。
  犯罪ドラマの『見せ金』と同じで使えない。
 ・参考にするなら15W運用のベンチ結果がベスト。
  これはきっと他メーカーでも同じだと思う。

 ついでに

 今度のAYANEO KUNは・・・個人的にはヤバいと思います。

 なにがって!
 ゲーミングUMPCで!!
 バッテリー最大出力『54W』って!!!

 今度の本体サイズは確かに相当大きめですが、AYANEO2の出力33Wであの熱さなら、例えどんな優秀な放熱ユニットを備えていたとしても・・・ちょっと・・・手に持つことに恐怖を感じてもおかしくないような・・・(汗

 どこかで可能であれば、最高設定で30分くらい連続で遊んでみたいです。

 ・・・どのくらい熱くなるんだろう・・・(滝汗


 あと、GPD WIN4をお持ちの方は2022モデルでも2023モデルでも、実際の発熱具合を教えていただけると嬉しいです。
 MotionAssistantで28W運用が出来るみたいですが、『AYANEO2よりも小さいボディでそれって可能なのかな?』と思ってみたりしたもので。
 やっぱり常用はキビシイ感じですかねえ・・・?

 


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