ささやかなポルターガイスト(ミョーチキリン日記 #131)

ちょっと蒸し暑い深夜のこと。
数日後に控える行事で配布するための冊子作成の作業を同僚たちと遂行していた。

それにしても日をまたぐことになるとはなー。
と机の上で保管用の書類の原本を手に揃えているときだった。
焦点があいまいな左目ギリギリ視界に黒い動くものあり。

まさかゴキブリか?

と思って息をのみながら咄嗟に目を向ける。

スススー…

なんと机の上で書類などをまとめる黒いダブルクリップが右から左へとひとりでに動いている。
しかも見始めてから勝手に10cmほど滑って止まった。

もう一回動かないかな?と思ってしばらく観察したが、以降クリップが自走することはなかった。

不思議なこともあるものだと私は今すぐこの衝撃を伝えたかったのだが、みんな忙しそうだだったのと、これを話した結果みんなが怖がって仕事が止まってもいけないと判断して、沈黙を保ちながら仕事を続行した。

みんなで集中してがんばったかいあって、ようやく冊子が目標部数完成した。
最終チェックも完了!
私は先ほど起こった不思議な出来事を伝えるのは今しかないと思った。
旬なうちに話したかった。

「お疲れ様ー。終わった~。そういえばさぁ、さっき不思議なことあったけど、みんなドタバタだったから言えなかったわ」

「えっ?エツなにがあった?」
「エツくんなになに?」
「エツさんまたなにがあったんですか?」
「エツさん怖い話ですか?」

「そう、怖いというか不思議なことなんだけど…。書類まとめてたらこのクリップが10cmくらいスーって移動したんだよね。たぶんポルターガイスト!」

「気のせいだよ」
「疲れてるんだよ」
「机が斜めってたんですよ」
「エアコンの風ですよ」

みんな怖がると予想していたのに、裏腹にとても冷たい反応が返ってきた。

なので私は
「ちくしょー誰も信じてくれない!えーいレッツポルタ―」
といじけながらダブルクリップを指ではじいて滑らしてみせた。

するとそれが
「エツ!いいねぇ~それっ!!!」
という反応になって、いつのまにか、
「レッツポルタ―!」
と掛け声に合わせて、各々の手元にあるモノを動かすというノリに発展していった。
可笑しなテンションだ。

残業後の未明、みんなが疲れていた。
いや、憑かれていたのかもしれなかった。



文・挿絵:ETSU

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【コミックエッセイ】ミョーチキリン日記(時系列まとめ)

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