見出し画像

【本】山口 周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

Audibleで読了、もとい聴了しました。
※2024/4/20現在、聴き放題で聴けます。

時代の変化が激しく、ルールの制定が追いつかない現代で、イレギュラーなことが起こったときに判断のよりどころとすべきは、その人が培った真善美であること。

また、偉大なアイデアは直感や美しいと感じる感覚から産まれるものであること。

だからこそ、美意識を鍛えることが重要になっていることが、豊富な先行文献や事例とともに語られている本で、非常に説得力がありました。

これからの判断のよりどころは真善美

論理や理性から生み出されるものは答えが同じになるので、答えが同じなら、速く安くたどり着いたほうが勝ちとなります。

働き者で貨幣価値も低かった、つまり速く安くできる日本が急成長できたのには、そんな背景もあります。

ですが、時代はそこから変わろうとしています。

収益性の悪化をひたすら件数でかせごうとしてカバーできる時代ではもうないのです。

Googleの企業行動規範にかつてあった「邪悪になるな」という真善美のスタンスは、これからの社会にこそ必要だとこの本は説きます。

白か黒かはっきりしないグレーの領域の仕事を、美意識をもたずに論理で行なうと、最初こそ白よりだが、収益性に影響され、グレー寄りになっていくものだそうです。

そういうときこそ、真善美での判断が重要になるのです。

偉大なアイデアは美意識から

「美しいと感じられるとき、それは何らかの目的にかなっている」といいます。

将棋の打ち手の「美しさ」もそう。

結果的に正しく効率的なものだけれど、それは論理から導けるものを大きく超えているといいます。

iMacの5色は緻密なマーケティングの結果できあがったものではなく、ジョブズの直感、美意識から。

ウォークマンを産んだSONYの土壌は、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」とある設立趣意書から。

論理的な思考は、緻密に積み上げていく同一線上にあるけれども、直感、美意識からのアイデアは、確かに、羽がはえて常の世界を超越している気がします。

さいごに

『鬼時短』で、著者は、電通で働き方改革をすることになったのは、社長のこんな思いからだったと記していました。

いま、このタイミングで「時短すら」達成できないようでは、未来にわたって電通は「ダサい会社」だと言われ、避けられる。「あの山本さんが社長だったのに」ダサいまま変わらなかったと言われ続けてしまう。
 それは何としても避けたいというのが「社長の本当の私欲」であり、それがタテマエでもなんでもなく、そのまま社員にも伝わったのだと思います。

これこそまさに、「美意識」。

きっと、「かっこ悪いことなんてやりたくない」という価値観が持て、それをもとに判断できれば、粉飾決算などの世の中の不祥事には、減るものもあるのではないでしょうか。

自分軸で判断できる、感覚を鍛える。

観察力を鍛えるのが自分の課題のひとつなので、今後さらに意識していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?