冥嘴

めいし、です。 映画を観がちなアラフォーL。元一次創作者/軽微な物書き。猛禽と烏が好き…

冥嘴

めいし、です。 映画を観がちなアラフォーL。元一次創作者/軽微な物書き。猛禽と烏が好き。文化人類学をかじっている。 好き:ホラー、デル・トロ監督、白石晃士監督、雨宮監督作品。嫌い:余命。 「細かすぎて伝わらない映画モノマネ」レパートリーに“ペイルレディの初動”があるヒョロガリ。

最近の記事

映画『陰陽師0』ーー“呪術ブーム”の中、敢えてこう描いた意図は?(ネタバレ有感想そのほか独り言)

※はじめに 私は民俗学・文化人類学をややかじっており、原作小説を途中までと、野村萬斎氏主演の映画、稲垣吾郎氏主演のNHK版を鑑賞済です。 そのため、呪術ありきの感想や原作との比較を含めての感想が含まれますのでご了承下さい。 フィルマークス投稿に加筆修正。 ※映画の全体的な見せ方や雰囲気、描き方に触れていますので、まだ観てない・前情報無しで観たいという方は閲覧をお控え下さい。 更に警告文を挟み、より映画の内容・描写に細かく言及するネタバレ有感想となります ■『陰陽師0』あら

    • 映画『変な家』を観たので個人的に一番好きな雨穴さん作品『怪』の話をする

      映画『変な家』、公開初日に観てきた。 平日午前でここまで満員に近いって滅多にないな、という観客の多さ、特に春休みだからであろう、若者、特に映画館の使い方をよく分かっていないような中高生くらいの集団が多かった。 私は原作者の雨穴(うけつ)さんのファンだ。 黒い布らしきものに全身を覆われ、顔には白い仮面、CV:他者 とされる女性か子供か、またそれ以外の何かかのような可愛らしい声の怪人物だが、うさぎと和菓子がお好きらしい。 YouTubeチャンネルのヘッダーが後ろ向きのうさぎなの

      • 『君たちはどう生きるか』の感触と雑談

        ※アニメとスタジオジブリ作品が苦手な私が『君たちはどう生きるか』を二回鑑賞した走り書き。 始めに言っておくと、考察がどうとか、私は宮﨑監督のメッセージが汲み取れたとか、そういう文ではないです。 フィルマークス投稿文に加筆修正。 作品のあらすじや内容に触れての記述があります。ネタバレ注意! 戦災に傷つき、親族や学校といった環境に馴染めぬ少年。 庭の禁足地の秘密、そこへ誘う一羽の“アオサギ”…… 始めに書いてしまうと、私はアニメ(アニメーション技法としてではなく俗語的に「ア

        • 映画『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』の語る妄想に驚いた話

          『クレヨンしんちゃん』の映画が大人からも凄まじい支持を受けている、とは聞いていた。 一応子供の頃にはクレヨンしんちゃんが人気だった世代ではあるが、私が唯一観たことのある映画の『しんちゃん』は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』だけであり、しかも観たのは30過ぎてからだ。 この作品は、『しんちゃん』がPTAに敵視され子供達の支持を得続けた“コミカルで下らない笑いや言葉遊び的なギャグ”をしっかり踏襲しつつ、子供向けとは思えないハードなシナリオで、子供だけでなく

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          アニメーション『カクレンボ』ーー子供達は、美しくおぞましい闇を駆ける

          U-NEXTを物色していたら、ふと不思議な絵柄のサムネイルが目にとまった。 『カクレンボ』。 たった25分のアニメーション映画だ。 狐面をつけた八人の子供達。 その装いは和風にも、アジアの他国の様相にも見える。 普段アニメーションを観ない(苦手)な私だったが、この独特の雰囲気と、始業までの30分で観られる短さに惹かれて、恐る恐る再生してみた。 ※簡単な冒頭のあらすじを書いた後、警告文を挟んでネタバレありの考察・感想となります ■あらすじ 「鬼が出る」と噂される町。 暗

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          怪奇の時間、狂気の主観!映画『ボーはおそれている』の話(ネタバレ有感想・考察)

          私は一体、何を見せられているんだ? 個人的にこう感じる映画体験はそれほど少ないわけでもない(B級~Z級を練り歩いてるとまあ日常茶飯事)。 しかし全国規模の公開作品で、しかも三時間に渡りこう感じ続けたのは生まれて初めてではないだろうか。 映画『ボーはおそれている(原題:Beau Is Afraid)』。 最凶最悪のストーリーが観る者を苛む『ヘレディタリー 継承』、そして雰囲気と展開のあまりのギャップから注目を集め、更には半ば面白半分の悪趣味ブーム的にミーム化した『ミッドサマー

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          怪作!映画『みなに幸あれ』……荒削りだからこそ尾を引く猛毒(微ネタバレ考察・感想)

          節分も終わればもうじき三月三日、いわゆるひな祭りですが、雛人形が元々どういうものだったか知っていますか? 知らないの? あなた、頭の中がお花畑なのね。 ……なんて言葉を突然かけられたら、あなたはどう思うだろうか。 いや、何でもない。映画の話をしよう。 角川ホラー大賞を受賞した短編を長編化した映画『みなに幸あれ』を観てきた。 予告編の段階から異質な怖さ不気味さを放っていた本作、やはりとも、意外だとも思ったが『エクソシスト』や『リング』のような万人ウケするホラーエンタメではな

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          「大手Jホラー疲れ」の話とそこから解き放ってくれたクセ強2023年Jホラーの話

          いきなりこんな事を書いて良くないとは思うんだけど、ここ数年、“ホラー映画好き”としてはJホラーを追うのはほぼ惰性じゃないですか? 私はそうです。 日本のホラー映画のメインストリームが時代とともに変わったのを受け入れられず、その諦めの悪さで未練がましく『女優霊』から『呪怨』初期4作の頃の雰囲気をひたすら懐古して 「今年のJホラーも観てみよう、面白いかも知れないし」 とか 「この監督だからワンチャン昔みたいな雰囲気の作品かも!」 とか、(どれだけつまらねえか観てやるぜ、ではなく

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          『チャリチョコ』は無関係!映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の話

          映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり(原題『Wonka』)』、結論から言ってしまうと近年のファンタジー映画の中ではトップクラスに感動した素晴らしい快作。 だが、これから観に行く人も、観て想像と違いびっくりした人も、まずはこれを見て欲しい。 上部のキャッチコピーに注目。 この『チャーリーとチョコレート工場』であるが、これはジョニー・デップ氏がウィリー・ウォンカを演じた、ティム・バートン監督による2005年の映画『チャーリーとチョコレート工場(以下「チャリチョコ」)』

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          『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』に触れての長い話

          まさかここまでの人気になるとは……! 11月中旬、映画館にとある洋画を観に行った時の事。グッズ販売のパンフレットリストに「売り切れ」の貼り出された作品があった。 てっきりゴジラかジブリかなと思ったのだが、見てびっくり、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』だ。鬼太郎や目玉おやじのぬいぐるみがあった棚を見てみれば、グッズも全く並んでいない(追記:2023年12月29日時点で再販分が並び始めたのを確認)。 私はその前の週、公開3日後くらいの11月20日頃この作品を観ており、その時はパンフレッ

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          映画『ゴジラ -1.0』ーーゴジラを掘り下げず国家を掘り下げない「ゴジラ」

          公開から四日目、月曜日の平日の早朝。 混雑を避けて落ち着いた環境で観たいと思い観てきました『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』。 事前情報では ・山崎貴監督作品 ・戦後間もないゼロの日本をマイナスにするゴジラの襲来 との事と、筋肉モリモリマッチョマンのゴジラデザインくらいは押さえていた。 私は小学生~今までで一応全てのゴジラ作品を観てきている。 恐ろしい初代『ゴジラ』から、子供向けの怪獣対怪獣やおもしろ要素満載の昭和ゴジラ、キャラクター性とファンタジックな雰囲気に満ちた平成ゴ

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          これが新しいタートルズ!映画『ミュータントタートルズ ミュータントパニック!』(ネタバレ有感想)

          2023年に“TCRI”って映画館で聞くと思うか!?ニック世代でイーストマンの名前出してきちゃう(喜)!!? 私が唯一追いかけてるアメコミシリーズにして子供の頃から大好きな「ニンジャタートルズ(TMNT:ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ)」の新作映画 『ミュータントタートルズ ミュータント・パニック!(原題:TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES: MUTANT MAYHEM)』 遂に公開! 私はこれまで、父に突然買い与えられた『激亀忍

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          開かれる肉体、内なる美……映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(ネタバレ有感想・考察)

          クローネンバーグ作品に触れたのは、確か小学生の頃だ。 大好きな『ミュータントタートルズ』に登場するキャラクター、バクスター・ストックマンの元ネタ映画『ザ・フライ』のテレビ放送だかレンタルビデオだかを親が観ていて、 「これがハエ男か!!」 となった恐怖と衝撃を覚えている。 『ビデオドローム』をはじめ、監督を意識して作品群を観始めたのは20代になってから。 映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』、予告編とフライヤーを目にした時から楽しみにしていた作品。 第一印象は 「何だあ

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          映画『X エックス』に感じる退廃とパンク~『Pearl』に繋がる呪縛~

          『Pearl パール』を観てきた。 私のA24関連の映画ベストはこの夏『マルセル 靴をはいた小さな貝』に塗り替えられたが、それでも僅差で二位なのが『Pearl』の前作であり、三部作構成の一作目となる『X エックス』だ。 人によっては下世話に映るのは承知の上で言うが、私にとっては悲しく美しく、パンキッシュな力強い作品である。 (なので『X』を観て、性描写が多くて嫌だったとか、ホラー映画としては後半しか楽しさがないとかの感想を持った人には、このnoteは合わない記事の可能性があり

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          ガワはプー、中身は…『プー あくまのくまさん』という映画の“ぬいぐるみ”感

          先日『リトル・マーメイド』の実写版を観たのだが、物語の作り的な「?」を感じつつ映像やキャラクターに関しては普通に楽しめた。 これはまあ、アニメ版をきちんと観たことがないから、個人的に公開前の騒ぎとかアニメ版と比べてどうこうとかの感情の起伏や興味が無かったためというのが大きい要因かも知れない。 “原作愛”というのは、その作品絡みの派生作品や二次創作的な番外編、正統であれど続編等が出てきたとき、期待を押し上げるエンジンにもなれば失望に似たブレーキにもなる。 私は子供時代にディ

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          人形キャラホラー+ロボ怖SF!『ミーガン』の話

          ブラムハウス作品が好きです。 ジェームズ・ワンが好きです。 『マリグナント』が好きです。 そんな私が心待ちにしていた『ミーガン』、遂に公開。 世の中では『ミーガン』に含まれる上記成分によるホラー映画としての話題性よりも“くねくねダンス”で幅広い人々に大人気で、その影響か、平日の洋画ホラーとしては(老若男女のうち)若男女で映画館もそこそこ人が。洋画ホラーとしてはなかなか珍しい客層だった。 でも結論から言うとこの『ミーガン』、ホラー要素無関係のダンスのミーム化に正直首を傾げてい

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