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今日も一人、明日もまたひとり。

ある金曜日のこと。
定時で仕事を切り上げ、急ぎ足で職場を出る。

映画は夜に観るのが好きだ。取り立てて理由はない、ただ何となく。
けれどレイトショーを見て翌朝仕事に行くのはちょっと億劫だから、金曜の夜、次の日が間違いなく休みの日に映画を観に行く。

先月も、シンウルトラマンを観たくて公開初日に急いで職場を出ようとしたら、同僚に何か用事?って聞かれた。
「映画観に行く」って言ったら、「へぇ、誰と?」だって。

映画を観る=誰かと一緒って方程式、まだ健在なんだ。

「一人!お疲れ様!!」

といって振り返らず職場を飛び出す。

私にも、一人で何かをするのが躊躇われた時期があった。変に周りの目を気にして、踏み出せない時期があった。実際やってみると、あまりにも呆気なくて。私以外の人は、私が一人でいることをそこまで気にしていないことに気づいた。事実、自分自身もお一人様を見ても何とも思わないもんな。

ひとり行動に慣れた私は、今日もひとり映画館へ行く。

映画館の、カーペット敷きの床が好き。家や職場の椅子よりふかふかで安心して背中を預けられる椅子が好き。映画館でしか食べないポップコーンと、ペプシコーラが好き。それを独り占めできるあの時間が好き。

思いがけず、頬を伝う涙の暖かさが、何とも言えず心地よくて好き。    

感情を揺さぶられる、あの何とも言えない感覚が好き。


好きがいっぱい詰まった場所。だから私は今日もそこへ行く。

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