組織改革

いかに素晴らしい目的で作られた組織であっても、
それが柔軟性を失い、硬直し始めると、
それは人を幸せにするためには何ら役に立たない。

そのようになってしまった組織には、つぎのような兆候が現れる。

カリスマ的なひとりの指導者が存在する。
自分たちがやっていることを自画自賛する。
指導部に対する批判が許されない。
(批判すれば、必ず何らかの形で制裁による脅しがある。)
常につくり笑顔を絶やさない。

このような組織は、実は社会のどこにでもある。
宗教団体、ボランティア団体、会社… その最たるものは北朝鮮である。
そしてこの構図は実は、何かの信念で凝り固まって、
理性で本当の感情を抑圧している一個人にもあてはまる。
だから、本当は、まず一人の人間が本当の自分を押し殺すことをやめれば、
このような社会的な組織も自ずと変革されるはずなのだ。

ところが、それがなかなか難しい。
このような組織では、いつも、本音を言うことが「悪」だと認識されている。
合わせられない自分が悪い、抑えられない自分が悪い、と思いこまされているのだ。
そしてうっかり本音を言えば、それによって自分の立場や、
ひどい場合には命までもが危うくなる。
だから、よほど勇気のある人でなければ本音を言えないし、
言っても潰されてしまうだけだから、
せいぜい組織から逃げ出すこと(脱北!)しかできない。

けれども、逃げ出してしまったら、いくら外から批判したところで、
本当の変革はできない。
どうしても、中から動く必要がある。
でも、それは「ひとり」では到底無理だ。

そこで力を発揮するのが、「本当の相手」と結ばれたカップルなのだ。
「本当の相手」は真の勇気と、自信を与えてくれる。
二人でいれば、何も怖くないし、何も恐れるものはない。
二人で力を合わせれば、その力は無限大になる。

彼らの持つエネルギーは、とても幸せなエネルギーなので、
冷たい壁を溶かし、人々の心を癒すことができる。
だから、互いに争う必要もなく、硬直した組織は自然と「溶解」するのである。

私がいつも「本当の相手」を強調する理由はそこにある。
社会変革のためにいかに素晴らしい理想を持った人でも、
「本当の相手」と協力しなければ、決して夢を実現することはできない。
「本当の相手」こそが、すべての問題解決の鍵なのだ。

でも、ここにひとつの問題がある。
ある組織の中で、自分を抑圧するのに長けてしまった人が、
「本当の相手」に出会って、その人に惹かれ始めたとしよう。
すると、その人は、「組織」と「自分たち」がますます相容れなくなるのを感じ、
自分たちが異端児になっていくのに気づくだろう。
そのとき、「組織」のほうが正しいと信じ込んでいたとすると、
「本当の相手」を好きになってしまった自分の方が悪い、と思いこんでしまい、
「本当の相手」を遠ざけ、自分の感情をますます抑圧するするようになってしまうのだ。
これこそが本当の地獄、本当の悲劇だ!

「本当の相手」は、いわばこの世の真の変革のために神が我々に使わした救いなのに、
たとえば宗教団体は、その「神」をかたって、「神よりも異性を愛するとは何事か」、
と二人を遠ざけ、自分たちの組織の権威を守ろうとするのだ。

世の中で決して壊してはいけないと思われている組織の中にいる、
「本当のカップル」が直面する試練は並大抵のものではない。
たとえば、皇室の中で苦戦していらっしゃる皇太子夫妻。
どうか、自分たちが本当に幸せになることこそが、
世の中を真に変革することになるのだと信じてほしい。

今、世の中で「本当の相手」に出会う人が、幾何級数的に増え続けている。
彼らが自分に正直になれば、この世は一瞬にして変わる。
どんなに強固に見える組織もたちまち溶解する。

誰にでも、たった一人の「本当の相手(片割れ)」がいるのだから、
誰とも争ったり、奪い合ったりする必要がない。
ただし、自分が相手を間違えれば、玉突き式につぎつぎと相手を間違えて、
たくさんの人を不幸にする。
つまり、自分が幸せにならなければ、誰も幸せにすることはできないのだ。

だから、必要なのは、自分が幸せになる勇気、それだけだ。

「もしも二人が、一つの家の中で平和に暮らし、『山よ動け』と言えば動くであろう。」

(『トマスによる福音書』)

2006年04月08日 09:47:32
(昔書いたブログ記事からの転載)