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コロンビアの歴史


コロンビアの歴史の中で一番衝撃的なことは、虐殺事件(スペイン語ではmasacre)の多さ。Rutas del Conflictoのウェブサイトに、調査文書が公表されているものだけでも、730件。それらを地図上でマッピングしてみると、上の画像のようになる。(出所:Rutas de Conflictoのウェブサイト)

他の情報源では、約1,900件という話も聞いたことがある。とんでもない数の悲しい歴史と、多くの加害者も被害者もコロンビアに今も住んでいるという事実と、今でもこういった事件が後を絶たないということも、頭に入れておかねば、コロンビア研究は進まない。

大学院の授業では、8チームに分かれて、それぞれのチームが2-3件の虐殺事件をケーススタディとして、加害者(主にコロンビア政府)の謝罪・補償について分析し、加害者側・被害者側の動画などを見て、どんな対応がベストなのか、被害者が赦すことができるのか、加害者が被害者の気持ちを理解しようとするのか、などをディスカッションした。

コロンビアの場合、とても複雑なのが、当時、テレビなどのメディアを見ている国民は、皆政府を信じて、政府の活動に異議を唱えなかったこと。それが、今になって、あの時行われていた虐殺事件が、当時はゲリラの犯行として発表されていたけれど、実は政府が仕掛けた戦闘で、無差別に市民を殺害していたという事実が判明してきたこと。

つまりは、国民は、「当時事実を知らなかった自分たちも、加害者なのではないか?」という疑念に苛まれていることが、国民一人ひとりの立ち位置を不明瞭にしている理由。そして、政府への不信感を増している理由だ。

そういった環境で生まれ、育った、コロンビアの若者は、報道を鵜呑みにせず、常に疑うことを習慣としていることは、私としても学ぶことが多い。

だから、ニュースの読み方・見方がとても高度だ。私もクラスメイトに、「どんな風にニュースを読むと、事実が見えてくるかな?」と質問したことがある。そうすると、「いろんな人の意見を読んだ方がいい。コメント欄に書かれている多様な意見を読みながら、自分の意見と照らし合わせていくのがいいよ。」という答えが返ってきた。

確かに、TwitterやFacebookなどのSNSでは、多様な意見を交わしていて、それを読んでいるだけで視野も広がることになる。自分の意見を補強する意見だけではなくて、全く違う意見がどうして出てくるのか、という視点で読んでいくことで、理論的な意見交換ができるようになる。

コロンビアの歴史の捉え方と、現状と向き合う若者の姿勢、まだまだ学ぶことが多い。


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