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創作怪談

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創作怪談、ホラー小説です。 ホラーが好きなので自分でも書いてみようと思い書いています。 なるべくリアルで、ありそうな怪談を目指しているので、創作と言いながら、実は1部実際にあった… もっと読む
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記事一覧

創作怪談 『森の誘い』

大学のサークルで仲良くなったメンバーとキャンプへ行くことになった。
目的地は有名なキャンプ場だ。
美しい自然が広がり人気の場所だが、その一方で、数々の怪談話がある。それが相まってさらに人気があるのだが……

参加したのは、私、繁先輩と、その彼女の遥香先輩、後輩の大翔だった。

到着した初日、オフシーズンだったこともあり、人はまばらだ。
早速テントを張り、散歩に出かける。
木々が生い茂る森の中は静寂

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創作怪談 『合わせ鏡』

大学生の私と友人たちは、心霊スポット巡りや降霊術など、ネット上で見つけた眉眉唾物のそういったことを試すのが趣味だった。ひとりかくれんぼやこっくりさんなど、色々やり尽くしてしまい、もう新しいことが見つからなかった。

心霊スポット巡りをしたり、降霊術を試したりしても、それらしいことが起こることはほとんどなかった。それでも、何か起きないかと期待して、色々試す日々だった。

ある日、何か面白そうなものは

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創作怪談 『旅行写真』

気の知れた友人達との旅行、出だしは最高だった。
至る所で写真を撮って撮られて、スマホで撮影していたのだが、きっととてつもない枚数になっているはずだ。

みんなで撮った写真をSNSに投稿しようと、フォルダを開く。
ベッドに寝転んで、今日撮った写真を眺める。
先程、部屋に入ってすぐにみんなで撮った写真を投稿する事に決めて、改めてその写真を見てみると、黒い何かが写っている。
そして、その黒い何かは、人影

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創作怪談 『何処かで聞いたような話』

何処かで聞いたことのあるような、ありきたりな話でつまらないのだが、私が唯一経験したことのある心霊体験だと思われる出来事の話をしようと思う。正直に言うと、あれが本当に心霊体験かは分からない。怪談話で似た話聞いたことがある気がするので、勝手にそうだと思っている。

本当によくある話の導入なのだが、私はその日会社で残業をしていた。終業間際、急に明日の朝までに終わらせろと、言われてムカつきながらも作

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創作怪談 『置き手紙』

心霊スポットへと行こうと言ったのは、誰だったか、長期休暇中にダラダラと友人宅で過ごしていたのだが、いつの間にか友人の車に乗せられ、廃墟へと連れて行かれた。

その廃墟は、結構大きめの洋風の一軒家だった。
外観は周りに生えた木の葉や、ツタで覆われていてあまりよくみえない。
扉のノブに手をかけると、あっさりと開いた。どうやら鍵か壊されているらしく、心霊スポットとして色んな人が来ているのだろうという事が

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創作怪談 『些細な事』

私は「不良」と呼ばれるような、多少やんちゃなタイプだった。あの日は、同じようなやんちゃな友人達と一緒に、夜中にバイクを乗り回して、隣町の廃神社へとやってきた。ここで変なものを見た、という噂を聞きつけ、面白そうだと肝試しにやってきたのだった。

廃神社は草木が生い茂り、狛犬や石灯籠が崩れ、鳥居も朽ち果てていた。そんな荒れ果てた様子に驚きつつも、当時の私たちは逆にそんな雰囲気に胸を躍らせていた

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創作怪談 『シミ』

天井のシミがなんだか顔に見える。
シミュラクラ現象とか言うやつだ。

私はソファーに横になって、昼寝をしていた。
ソファーに寝転がると丁度シミが見える。
特に気にもとめず、休みの日は毎回ここで昼寝をしている。

だが、ここ最近シミが段々と大きくなっているような気がしていた。
最初は、10円玉ぐらいの大きさの楕円形のシミが3つ並んでいたはずだ。
それが一回りほど大きくなっている気がする。
気のせい

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創作怪談 『伝染る』

休日、特に予定もなく家でスマホをいじりながら、ぼーっと過ごしていたのだが、流石に何もせずに終わってしまうのは良くない。
そんな気分になって、散歩をする事にした。

外は快晴で気温も調度良い、散歩日和だ。
歩いていると、どこもかしこも桜が満開でピンク色に染まっていた。
昼時でお腹も空いてる、どうせならとコンビニでおにぎりや飲み物を買って、近所の公園のベンチに座り、花見をすることに決めた。

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創作怪談 『行列』

久しぶりに会った友人との飲み会帰り、2人でぺちゃくちゃ喋りながらブラブラと、歩いて30分位だという友人宅へと向かっていた。
元々、終電が無くなる前には、お開きにするはずだったのだが、久しぶりなこともあって、かなり盛り上がってしまった。
居酒屋を出てからも店前でぺちゃくちゃと喋っていたらかなり遅い時間になった。
街の灯りは、ほとんど消えている。
どこか24時間営業のファミレスかカラオケ店で

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創作怪談 『深夜のテレビ』

その日は疲れていたのか、ソファーで寝てしまっていた。
適当に買って食べたコンビニ弁当の空いた容器は、テーブルに放置されていて、余程ぼーっとしていたのか、ペットボトルのお茶の蓋も閉めずにそのままだったらしい。
テレビもつけっぱなしで、放送されていない時に出てくるカラフルなあれが映っていて、ピーッと音が鳴っている。
あれ?今番組やってないのか?これって今もあるんだなんて思っていると、急に真っ黒な画

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創作怪談 『深夜のドライブ』

車の免許を取ってから、時間があればドライブをするようになった。
車も買った。
そんなにいい車種という訳では無いが、結構気に入っている。
目的地を決めて、友人は恋人を乗せる時もあれば、1人で気ままに走らせる事も多い。

その日も1人で車を走らせていた。
休みの前日、結構遅い時間だったが、急に思い至り深夜のドライブを決行する事にした。

窓を開け、風を感じながら運転をしていた。
空気が気持ちいい。

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創作怪談 『隣の部屋の子どもたち』

仕事が終わり、ヘトヘトになって自宅アパートへと帰ってきた。
残業続きで、最近まともに自炊できていない。
新社会人として新生活が始まり、気合を入れて色んな調味料や調理器具を買ったはいいものの、宝の持ち腐れ状態だ。

今日も疲れてコンビニで適当に弁当を買ってきた。
せめてスーパーの安い惣菜でも買えれば、節約にもなるのだが、今の時間までやっているスーパーがあるのは、正直面倒だなと感じる距離でなかなか足が

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創作怪談 『夢』

夢を見た。
その夢の中で、私は見知らぬ部屋にいた。
至って普通の部屋、リビングのようだ。
私はそこで随分とリラックスしている様子で、ソファーに座りテレビを見ながら、のんびりと晩酌をしていた。
どうやらここは私の家のようだ。

かなりリラックスしていたのだが、突然

ガチャ

と玄関の扉が開く音がして、夢の中の私は、かなり驚いている。
玄関を開きっぱなしにしていたのだろうか?
そんなことを、夢で考え

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創作怪談 『覗き見る』

寝室の襖がゆっくりと開く音が聞こえる。

なんとなく眠れなくて、その日は寝返りを打ったりしながら過ごしていた。
もうこのまま寝ずに過ごそうかと、ぼーっと天井を見つめていると。
グッと身体が固まった。
金縛りだ。

こんなに急に固まるものなんだなと妙に冷静に、どうにか身体を動かせないかと、試行錯誤していると、襖の開く音がした。
ゆっくり、ゆっくり、スゥー……と開く音だ。

まるで私に気が付かれな

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