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スマートなシステム

レストランへ行ってメニューが500個もあると、嬉しい反面、選ぶのに迷ってしまいますよね。視覚、聴覚、触覚など全ての感覚情報を合わせると、毎秒4千億bit、つまり50Gbも脳へ流れこんでいるそうです。感覚情報も、多すぎてしまうと選ぶのに困ってしまいます。そのため、神経系は状況に応じて必要なフィルターをかけてくれているそうです。

前回見たように、神経を伝わっていく情報はどんなものも”活動電位”という形で伝わっていきます。この活動電位という情報は、一つの神経上では信号は減衰せず、同じ状態で伝わるとされています。感覚情報は指先などから末梢神経を通り、その情報が脊髄に入り、視床を経由して大脳皮質へと伝わっていきます。すべての感覚情報が減衰せずに同じ強さで大脳に届くと、情報過多で混乱してしまいそうですが、神経系にはスマートな仕組みがあるようです。

感覚神経は、大脳へ伝わるまでに2回神経を乗り換えます。神経を乗り換えるところ、つまり神経と次の神経をつなぐ部分はシナプスと呼ばれます。伝えている感覚情報が重要な情報であれば、その情報を次の神経へ伝えやすくしているのに対して、必要のない情報にはフィルターをかけているようです。これはシナプス前抑制と呼ばれています。このようにフィルターをかけることで、必要な情報をさらに取り上げやすくしてくれる仕組みが備わっています。

ピラティスなどの運動を行う時、その動きの質を変えたい場合には、感覚情報を変えてあげることで変化が起こりやすくなります。それは、異なった感覚刺激を加えることでもできますが、どんな情報をどのように使うか、つまり気づきによっても変化を促すことができます。”注意を向ける”ということは必要な情報を取り上げやすくするきっかけにもなるでしょう。

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