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動いているのは?

電車の中。駅での停車中に窓から外を見ると、隣のホームに電車が止まっている。車窓が動き出したので電車が発車したのだろうと周りを見ると、乗っている電車のドアはまだ開いたまま。あれ?と思ってもう一度窓の外を見ると、隣の電車が発車して反対方向に走っていた。

そんな経験をしたことがありませんか?

視界に入っている物が動いたために、脳は”動いているのは自分”と勘違いをしてしまいます。これは、身体が動くと、それに伴って視野も流れるように動くという経験に基づいています。もちろん、いつも勘違いばかりしていたら困るため、わたし達の身体には視覚以外にも身体の状況を感じ取るセンサー(体性感覚)があります。しかし、目から入る情報を主に使っているという状態も少なくありません。

たとえばヨガやピラティスで身体をねじる動きをする時。うまくできていると思っていたのに「もっと胴体をねじりましょう」と言われたことがあるかもしれません。座っている場合であれば安定している骨盤に対して上半身(肋骨)が回旋してほしいところですが、頭だけ回旋して肋骨がほとんど動いていない場合もあります。やっている本人からすると、見えている視界が90度も変わったし、言われた通り胴体がねじれていると思っています。これは最初の電車の例と同じで、視界が動いたから身体は回旋しているに違いないと思っているのです。

背骨や胴体周りの関節や筋肉には動きを伝えてくれるセンサー(固有受容感覚)があります。しかしあまり使っていないとそのセンサー達も感度が鈍くなってしまいます。そういう時には写真を撮ってもらって客観的に自分の姿を見てみるのも一つの方法。自分が思っていた動きと実際の動きには差があるかもしれません。身体の中から感じる動きと実際の動きの”答え合わせ”をしていくことでも身体感覚は磨かれていきます。

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