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戦うか、逃げるか

はるか大昔、わたし達の先祖が動物を狩りに出掛けた時、天敵に出会してしまいました。

コマンド?

呪文が使えれば良いですが、現実世界ではなかなかそうもいきません。道具を探しているうちに喰われて命を落としてしまいかねません。「どうしよう!」と思っている暇はなく、考える前に攻撃を始めるか、走って逃げ始めなければ間に合いません。そのため、身の危険が感じられた時には、アドレナリンやコルチゾールというホルモンが放出され、戦ったり逃げるために適した身体の状態を作ってくれます。

これは闘争・逃走反応(fight-or-flight response)と呼ばれています。ホルモンの分泌により心拍数や呼吸数が上がり、血圧が高くなります。筋肉に優先的に血液が供給され、消化器系への血液は少なくなります。全身の緊張度が高まり(脊髄反射の脱抑制)、脳も筋肉も危険回避を最優先して働きます。これは、自律神経のうち交感神経系の働きです。

現代の生活では、ライオンやトラに急に襲われることはないでしょうが、違った脅威が潜んでいます。満員電車で知らない人に押されたり、理不尽なクレームを言われたり。そんなストレスが溜まっていくと、精神的な面だけではなく、身体的な面にも影響があります。闘争・逃走反応では胃腸の運動が抑制されたり、唾液や胃液の分泌の低下も起こります。そのため、ストレスを受け続けると胃腸の不調などを感じることがあります。

ストレスに常にさらされ交感神経が優位な状態が続いてしまうと、身体が休まらず様々な不調を引き起こしてしまいかねません。リラックスをする時間をとったり、ゆっくりと深呼吸をしたりするのは、身体を回復させてくれる副交感神経を活発にする助けになります。ストレスに対処するための「どうぐ」や「じゅもん」を上手に使うと脅威のバケツの水位も下がる可能性がでてきます。

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