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感覚神経の様々なタイプ

先週は神経には運動神経と感覚神経があることをお話しました。今日は感覚神経の様々なタイプを見ていきます。

"かっけ"の検査で膝のお皿の下を叩かれると反射的に膝が伸びるのは、筋肉の中にあるセンサーである筋紡錘が関連しています。そして筋肉を骨へと繋ぐ腱にはゴルジ腱器官と呼ばれるセンサーがあります。筋紡錘は筋肉の長さやその変化率を、ゴルジ腱器官は筋肉の張力を感じとり、このようなセンサーからの感覚情報は感覚神経を通じて脊髄から脳へと伝わります。

筋紡錘やゴルジ腱器官からの感覚神経はtype Iやtype IIとされており、筋肉にまつわるセンサーからの情報を伝えるものとして良く知られています。type IIにはパチニ小体やルフィニ終末と呼ばれるセンサーからの線維も含まれています。しかし、このtype Iとtype IIは感覚神経の中でもわずか20%しかなく、残りの80%ほどはtype IIIとtype Ⅳと呼ばれるタイプとされています。こちらは温度や化学刺激、痛みなどに関するセンサーからの神経が含まれています。

筋内膜や筋周膜などの筋膜組織にあるセンサー(受容器)からの情報はtype IIIとtype Ⅳの感覚神経を通って脊髄へと送られます。このようなセンサーは温度や化学刺激だけでなく張力や圧力などの機械的な刺激にも反応をします。こちらの神経伝導速度は筋紡錘などのtype Iやtype IIに比べると遅いですが、閾値が低いため”絵筆を用いたような”軽い刺激でも反応するとされています。そのため、運動をしている時に軽く触れられるだけで動きが変わったり、軽いマッサージでも変化が起こることがあるとされています。

これまで見てきたように、感覚神経は運動神経よりも約3倍多く、感覚神経の中では一般的に良く知られているtype Iやtype IIよりもtype IIIやtype Ⅳの方が数倍多いとされています。このことから、このような感覚がわたし達の身体において重要であるとも言えるでしょう。また、ゆっくりと伝わる内受容の感覚は脳へと感覚情報が送られる時に一次運動野ではなく島皮質と呼ばれる感情や情動に関わる部分に伝達されることも興味深いことです。

<参考文献>
Schleip, R. (2003). Fascial plasticity – a new neurobiological explanation: Part 1. Journal of Bodywork & Movement Therapies, 7(1), 11–19.

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