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【読書感想文】共有地をつくる

久しぶりに1冊読み終えました。
以前いつ読書感想文を書いたかなと見返すと、2月の『その農地、わたしが買います』でした。

それまでも何冊か本は読んでいるんですが、途中で止まっていたりして。

今回読み終えたのは、平川克美さんの『共有地を作る』です。

まえがきにこうあります。

本書の中心的な課題は「私有」を批判的に検証することなのですが、だからといって清貧を礼賛したいわけではなく、私有財産を捨ててシンプルライフを取り戻せというような断捨離の思想を説きたいわけでもありません。
「私有」の反対は、私有をやめて無一文になるということではなくて「共有」ということです。


競争社会を駆動している無際限な私有化をやめて、本来、社会の共有物であるべきものを元のとおり共有物に戻すということです。だからといってすべてを共有化せよなんて言いたいわけではないのです。


 この社会を安定的に持続させてゆくためには、社会の片隅でもいいから、社会的共有資本としての共有地、誰のものでもないが、誰もが立ち入り耕すことのできる共有地があると、わたしたちの生活はずいぶん風通しの良いものになるのではないかと考えているのです。

誰のものでもあり、誰のものでもないというところが勘所です。
国家のものでもないし、「私」のものでもない。
その場所では、誰もが、次の誰かが使うかもしれないことに配慮している。
「私」が自分一人で生きてゆくのではなく、かといって誰かにもたれかかって生きているわけでもない場所。国家の権力と、「私」の自由の交わるところにある空間。

わたしが目指している『長屋的コミュニティ』に通ずるものがあるなと思い読ませていただきました。

その中で、面白いと思ったところは、戦後の高度経済成長が終わり、総人口か減少するという停滞の時代を迎えてなお、なぜ、経済成長のための方法を模索し続けているのかというところでした。

もう経済成長の時代は終わったのに、これまでの成功体験を活かした方法、戦略がいまだ取られているような気がして、『いやいや、もうそういう時代は終わりましたよ。そろそろプランを変えていきましょうよ。』と思ってしまう。

まさに、「土の時代から風の時代に変わったのに」という話です。

占星術の世界では、わたしたちが生きているこの地球は「水・火・地・風」の時代で1サイクルとなり、それは約800年周期で起こっているとのこと。

水の時代:論理や理性よりも「感情」を重視する時代
火の時代:貴族や王・皇帝など一部の人々が強い権力で支配
地の時代:物質的な豊かさを求める時代
風の時代:独自の個性を前面に出して、生きていく時代

高度経済成長で、物質的な豊かさはもう満たされ、今は風の時代となり、個性を生かし、自分軸で生きていく(活躍していく時代)となりました。

ただしこの「個」というのは、「孤独」ということではなく、個々が自立しつつも、お互いの個性を生かしながら、多様性を認めながら繋がっていくという社会なのではないかとわたしは思っています。

例えば、美味しいスイーツとコーヒーまた紅茶が飲めるお店に、これからは芸術がプラスされて、絵画に囲まれたカフェとか、楽器や歌の演奏がある音楽に包まれたカフェなど、個の才能が1+1=3もしくはそれ以上になるような世界が広がっていくとすごく楽しいなと思います。

わたしがもし、なんでも夢を叶えることが出来るなら、例えば、行政が誤ってわたしの口座に何億も送金してくれたら、こんなことがしたいなと思うことがあるんです。

広い土地を買って、そこにコの字の長屋を建てます。
長屋には様々な業種の人が間借りしていたり、曜日や時間でシェアしていたりして、食べ物のお店や、手作りの服や雑貨、音楽家、絵を描く人、陶芸家、お花屋さん、、、様々な業種の人が混ざり合って、なんとも言えない不思議な空間を生み出します。

コの字の長屋の中心は広場になっていて、食事をしたり、お茶を飲んだり、ライブイベントがあってもいいですね。

そんな「みんなのもの」である自由な空間が作れたらいいなーと夢見ています。

ただし、行政が誤って送金したお金を使うと逮捕されちゃうそうなので、皆様くれぐれもご注意くださいませ。

ちなみに作者は、資金を集めるに際して色んな方法を検討しましたが、最後は「喜捨」を募る「勧進」という方法を取られました。

喜捨・・進んで金品を寄付・施捨すること 。(本来は仏教用語)
勧進・・寺院の建立や修繕などのために、信者や有志者に説き、その費用を奉納させることをいう。そのことにより人びとを仏道に導き入れ、善行をなさしめるのが元来の意であったが、のちには寄付を集める方法として興行を催し、観覧料の収入をもってこれに当てるという意味としても広く用いられた。(出典:Wikipedia)


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