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映画感想文「ゴジラ-1.0」

全米での興行が好調との記事を見て鑑賞。
どちらかと言うと、戦争映画。
シン・ゴジラの時もそうだがゴジラがメタファーとして使われていて、原爆(=核を持つゴジラ)の落とされた人々が家族や住まいや街を奪われる悲しみの描写、それに対して「命を犠牲にせず(=全員が生きて帰ることをミッションに掲げた海神作戦)」解決する方法はなかったのかと問うようなストーリー。

印象的だったシーンを順に。

1.「日本はこれまで命を無駄にし過ぎた」的な話。
戦死者の多くが補給不足による餓死や病死により亡くなったこと。当時の日本の戦闘機にはろくに脱出口なども付いていなかったことが語られていた。「こうすれば日本が戦争に勝てた、という話ではなく、どうすれば犠牲者を最小限にできたのだろうか」という反省に繋げるための回顧と捉えた。

2.ゴジラによる危機が迫っていても国民に避難指示を出さず、「情報統制はこの国のお家芸だ」と語られるシーン。
これは未だに名残を感じるというか、今日の政治やマスコミの根底にある考え方なのだろうと納得。

3.海軍の人が海神作戦を提案された時、「生きて帰れる可能性があるなら戦争中より全然マシだ」的なことを笑って言ってたシーン。
あぁ…戦争あがりの人たちって男も女もみんなその精神が根底にあったから、日本は戦後数十年でこんなにも急速に、豊かで恵まれた国に発展したのだなと。
「長時間労働ぐらい余裕!だって普通に働けば命の危険もないのにお金が稼げて毎日家族と生活ができる。それ以上に望むものある?しかも戦時中は人を殺戮するために用いられていたような技術が、社会貢献のために利用される。こんな喜ばしいことがあるだろうか?」
国民全員にこんなマインドがあれば、敵なんてない。この時代、鬱だとかニートだとか、そんなことを考える経済的精神的余裕なんてきっとなかった。

現代でもまだまだインフラや産業や教育が整わない途上国が多い中で、米国の援助や地理的な優位性や国民性など、日本はたまたまいくつかの条件が揃ったが故のラッキーな面もあったのかなぁと。

悲しいけど、戦争が技術革新を加速させたことは否定のしようがない。そして戦争を生きた人たち、戦後復興に力を尽くした祖先たちのエネルギー、改めて尊敬…と、映画の主題からは少し逸れるかもだがそんなことを考えた鑑賞後でした。

4.「ソ連とアメリカがきな臭いから、GHQとしてはゴジラ駆除には動けない(から、実質民間がやるしかない)」というシーン。
ウクライナ戦争で初めて学んだ。当事者以外の国の姿勢としては、あくまでも当事者国への武器供与に留まり、第三国として戦争へは参加しないこと。このシーンはこれに通ずるものがあるのかなと。結局、自分たちの身は自分たちで守るしかないのだと。

平和ボケしている一日本人として、観てよかった。

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