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月刊MJ 2023年3月号

こんにちは。
3月号で新しい企画を始めてみました。
文化やデザイン、食に携わる方々にインタビューし、仕事との向き合い方や考え方などを教えていただこうという思いでスタートしました。

初回は弊社のある名古屋市の那古野というエリアで茶房と古民家ホテルを経営されている元花千佳さんにインタビューさせていただきました。
プロデュースという視点で、人やモノ、町を繋げていく視点がとても参考になりました。

MJの3月号のデータはこちらからどうぞ。

誌面の都合で掲載できなかった部分がありますので、インタビュー記事をこちらでまとめさせていただきました。

那古野で茶房を始めるに至った経緯を教えてください。

元々、フリーランスのウェディングプランナーとして全国で仕事をしていました。徳島の式場に伺う期間が長くあり、お世話になっていた女性の社長さんが 企業を経営していく上でいかに社会貢献できているか ということを常に大事にされていたことが強く印象に残っていました。
その頃は地元の名古屋を離れ外に出て行った方が頼られたり、求められたりすることが多く、20代の私は愛知や名古屋という地元にあまり興味が湧いていなかったですし、社会貢献ということもあまり考えられなかったです。ウェディングプランナーとしての仕事を通して充実した日々を過ごせていました。

30歳を過ぎた頃、ふと女性社長の言葉を思い出すことがありまして、自分自身は社会に貢献できているのかを考えるようになったんです。そう考えが変わってきたことで、地元名古屋に戻って社会に貢献し、誇れる仕事をしていこうと決意して名古屋に戻ってきました。
名古屋に戻って何をやるのかということについては、自分がブライダルで培った能力と何かを掛け算して、人のライフスタイルの中で幸せな時間をプロデュースすることをしていきたいと考えました。場所の候補には、有松と白壁、那古野の3エリアが最終的に残り、有松は直感的に自分と合うのかなという不安がありました。白壁は行政が入っているので、自分のスピード感と合わないだろうなと思い、那古野が町の雰囲気も良かったのと飲食店が増えていて自分のやりたいこととマッチする場所だと思い、那古野で仕事をしていくことに決めました。
ブライダルはハレとケを行き来しているような仕事だと思っていまして、那古野の町にもハレとケが混在していると感じました。小さなレストランが点在していて、どことなく非日常的な雰囲気もありつつ、円頓寺商店街や日々の散歩も楽しめると思うので気に入りました。

エリアを那古野に絞って見ていると、喫茶店はいくつもあるんですが、お茶というコンテンツがなかったので茶房をつくることを思いつきました。基本的に名古屋人はお茶することは好きなんだと思いますが、日本茶は外で飲むものではなく自宅で飲むものというような意識があるのではないか思い、改めて日本茶にスポットライトを当ててみたらどうなるんだろう?という考えもありました。あと、30代になったら着物や日本文化にも興味が出てきたので着物のサロンもやりたいという思いもあったことが日本茶を選んだことにも通じたと思っています。

日本茶に改めてスポットライトを

始めてみて、苦労したことを教えてください。

ブライダルのプロデュース業は当日の企画や演出を考え、サポートしていただける人を見つけ、その日1日の幸せな時間を運営していくので出来ていました。
飲食店を経営するのは、イベントのプロデュースと全く違い、人の雇用のことや経営面、事業をどのように大きくするか、どうしたら社会貢献できるのかなど考えることが多くて、日々難しさを感じています。正解がないというのも難しいですね。
外観や内装など魅せる部分はプロデュースできるんですが、どのように運営していけば良いかというノウハウがなかったことも苦労している点ですね。
オープンが2020年でコロナのタイミングと一緒になってしまったことも大変でした。

ブライダルの仕事を通して、細部までこだわる美意識を養えたと思っています。
器の色の組み合わせが合う合わないの感覚も人によって違うので、その美意識の共通認識を持つということも難しいですね。

茶房 花千花

日頃から美意識や感性を磨くことで意識していることはありますか。

最近は忙しくしているので、なかなか行けてないですが、旅をすることはよくしていました。旅をする上でも見るポイントは変わりましたね。
ブライダルをやっている頃は、建物や内装をどのように仕立てているのかという外側の部分を意識していましたが、茶房を始めてからは働いている方々の動きや仕草などが気になるようになりました。
instagramでいろんな画像などの情報は入ってきますが、今は運営や演出を学びたいという思いもあるので、できるだけ現地まで行って自分の中で答え合わせするようなことはしています。
あと、ハイグレードなものから庶民的なものまで幅広く見るようにはしています。

たまに、フェリーに乗るんですけど、飛鳥クルーズはよかったです。
なんとなく、” おかえり・Welcome Home ”という感覚があり、スタッフの方々の温かみを感じられるのが嬉しいですね。ぜひ乗ってみてください。
高級ホテルでも綺麗で品格があるのも良いと思うんですが、かしこまっていて怒らせないようにという接客にはそこまで感動は覚えないですね。


全ての軸はプロデュースということでしょうか。

私にできることといえば、冒頭の方でもお話ししましたがライフスタイルの中での幸せな時間をプロデュースするということだと思っています。
古民家を改装したホテルをオープンさせたのも、那古野に来ていただいた方々にできるだけ多くの時間を過ごしてもらいたいという思いがあってのことでした。
この花千花もホテル和紡も、そして近隣のレストランも喫茶も那古野で過ごしていただくためのコンテンツのひとつで、いかに充実した時間を那古野で過ごしていただけるかということを考えています。

愛知県の陶芸家さんとコラボし始めたのも、ギャラリーに行かないと買えないというのではなく、もっと裾野を広げるという意味でもより日常に近いところで接点を持ってもらいたいと思いでお店で使わせてもらっていますし、お店で買えるようにしています。
愛知県、東海圏は土が豊かで良い作家さんがいるにも関わらず、私もそうだったように地元の人の方がその価値を見過ごしているという思いがあったんですよね。なので、間口を広げ、敷居を低くして、まずは使ってもらうことで良さを感じていただける場所としてお店をプロデュースしているつもりです。


元花 千佳さん

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
誌面に掲載できなかった内容、いかがでしたでしょうか。
元花さんのお店だけじゃなく、町全体を考えたプロデュースという広い視点はなかなか持てることではないという風に感じました。
また「こだわり」ではなく「美意識」という言葉の使い方も勉強になりました。
ぜひ、花千花さんで美味しい日本茶とお菓子を召し上がってみてください。

最後にインタビューの中でのちょっとしたやりとりを紹介させていただきます。
花千花さんのお店の雰囲気を感じていただけると思いますので、そのまま載せさせていただきました。

ちょっとしたやりとり

デザイナー 本名
最初に伺うまでは、敷居が高いお店かなと思っていました。お抹茶飲む時の作法とかちゃんと知らないといけないのかなとか。
元花さん
そうなんですね。自分たちが思う以上にお客様は気を遣われているんですね。
本名
でも、お店に入ってお茶をいただくと、ここから腰を上げたくないなと思うぐらい居心地が良くて、なんか暖炉の前に座っているような感じでした。
元花さん
本当ですか!すっごい嬉しいです。
本名
居心地が良いといってもリラックスし過ぎる感じではなく、器や内装など見るものは元花さんの美意識で選択されたものばかりなので、非日常というか、特別感も感じられて、バランスがとても素敵だと思いました。


株式会社メイワ
愛知県名古屋市西区那古野1-37-10
TEL:052-565-1722 / E-Mail:mw@maywa.com
www.maywa.com


茶房 花千花|HOTEL 和紡


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