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長女のバレンタイン

父ちゃん、ヤバいこと話していい?と前置きをして、長女は私に話しだした。

ピアノ教室に向かう夜の道。近所だけど暗いので、いつも私か妻のどちらかが付き添って通っている。

片道10分もない道だけど、夜の道を歩く高揚感もあってか、いつも付きまとってくる次女もいないからか、ここでは長女がいろんな話をしてくれる。

3月にある初めての発表会が不安なのか。ピアノを習い始めて1年間の集大成の場となる。そこに向けて大詰めの時期なので、緊張してきているんだろう。

それとも引越しすることが不安なのか。終業式が終わったら2年生から福岡の小学校に転校となる。これまでにできた友達と離れてまた一から人間関係を作っていかないといけない。

いろいろありすぎて不安になって当然の時期だ。でも今長女の中で一番ヤバいと思ってることってなんだろう。ドキドキしつつ、なに?と聞くと長女は「私、T君のこと、好きかもしれない」と言った。

そうだった。今日長女はバレンタイン用にチョコチップマフィンを作ったんだった。誰に渡すの?と聞いたらよく登下校で一緒になっている同じクラスのT君と、モス(飼い猫)の保護がきっかけで仲良くなった同じマンションのY君の名前を言っていた。どちらも仲が良い男の子だとは思っていたけど、そうなのか。T君にはLOVEだったのか……!

朝から長女を小学校まで送っている時に私も何度かT君を見かけたことがある。ばったり会うと嬉しそうに長女にかけよりカービィの話をしていた。

たった今まで学校行きたくないとグズグズ言いながらだらだら歩いていた長女がT君に会うと、コロっと「あとは私たちだけで行くから。じゃーね!」と元気になっていた。それで長女が去年の誕生日にカービィのゲームを欲しがったのもT君の影響だったということがわかったのだった。なるほど。やはりあれはLOVEだったからなのか。

「そうかT君かあ。でもパパは学童で一緒のR君のほうがちょっと髪長くて美形でかっこいいと思うけどなあ」と言ったら「R君はないないないない。父ちゃん趣味悪い」とバッサリ言われてしまった。見た目で判断しないのが素晴らしい。

長女は14日の下校時、T君をマンションのエントランスに待たせてマフィンを家に取りに帰り、手紙と一緒に渡す計画なのだそう。これから転校することが決まり、長女は今どんな気持ちなんだろうなと思う。これからT君とは離れ離れになってしまう。小1の恋心とは親の都合に簡単に壊されてしまうものだ。ただただ申し訳ない。

甘さと苦さがマーブルに私の胸に広がる。せめて長女がT君にちゃんとマフィンを渡せるといいなと願っている。

※2/14追記
長女、ちゃんと渡せたみたい。よかった!

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