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これが「人が欲しがるものを作る」ということか

このnoteを書きましたがやはり少し間違えている部分もあったなと思いました。詳しくは以下のnoteに書いています。

株式会社Rerightの松田です、検索サービスを開発・運営しております。スタートアップの方法論として Y Combinator の「人が欲しがるものを作れ」という教えを知っている人は多いと思いますが、これがシンプルなようで難題でした。

しかしここ数日でいわゆるエヴァンジェリスト・カスタマー(課題を認知し、探求しており、代替案を模索していて、私たち創業者に熱心に沢山のフィードバックをくれ、製品が良ければ周りに広めてくれるような人たち)と呼ばれる人が見つかり、その人が欲しがるものを作り、実際にプロダクトで感動してもらうことができたのでnoteに残しておきます。

ややクローズドで勧めているので具体的なプロダクトの機能や、ユーザーさんからのフィードバックの詳細はお伝えできませんが、こういった教科書通りにいった生の経験は私が知る限りネット上にはほとんど無いので、皆さんの事業開発に活かしていただければ幸いです。

先に現状の進捗

先に現状をお伝えしておくと、そのエヴァンジェリストの方とTwitterのDMで数日スパンでフィードバックを受けつつ、その人が欲しがる検索サービスに改良し‥の繰り返しの毎日を送っています。

まだこのサービスが他の多くのユーザーに刺さったとか、実際に多くの収益を生み出したわけではないので、もしかすると今回の経験は私の勘違いの可能性もあります。

しかし、自分の中で「電流が走る感覚」とまでは行かなくとも、ユーザーが欲しがるものを作り実際に感動してもらえている(価値を生み出せている)ということに私自身が興奮し、また心の中の情熱の火が大きく燃えている状態になっているので、正しい道を進めていると思います!

どうやってエヴァンジェリストと出会ったか

もともとその方は、弊社が過去にリリースしたWhereToSearchのプレスリリースをTwitterでシェアいただいた方でした。その際に、WhereToSearchというプロダクトに対してコンセプトは気に入ってくれつつも、現状の問題点を指摘するツイートをされていた方でした。

上記のリリースからしばらく立って、WhereToSearchからFlashnaviという名前に改名し、いろんな機能を詰め込みすぎて結局どんな価値を提供したいのかぼやけていたとき、過去にTwitterで課題に共感いただいた方にアンケートを取ろうとDMを送りまくっていました。

その際に、その方がアンケート内容を超えてWhereToSearchに対して進んで意見を言ってくれたことがきっかけで、その方にフォーカスしたプロダクトを作ろうと決めたのでした。

ちなみに課題のヒアリングにおいてアンケートは有効な手段ではありません。起業の科学リーンスタートアップなどでも言われますし、実際に自分も過去にGoogleフォームなどでのアンケートを取った経験からもそう思います。ただいきなりTwitterでFF外の人に「Zoomインタビューさせてください!」と言ってもほぼほぼ可能性が薄いので、一旦アンケートでシンプルな質問をした最後にインタビューをお願いする形を取ってます(ただこれも知り合いでないと成功率は低いです‥)

FireShot Capture 280 - Flashnaviアンケート - Google フォーム - docs.google.com

Z世代向けの案と迷う

上記のエヴァンジェリストの方が欲しがっているのは「PCやガジェットの分野で、信頼性の高いレビューにすぐに辿り着ける検索サービス」でした。一方で弊社ではもう1つのアイデアを検討していて、それは「Z世代向けにSNSのタメになる投稿を検索できるサービス」でした。

この2番目の案はこちらのTechCrunchの記事に明文化されているように、Z世代の子達はGoogleでなくSNSで検索することが多く、企業のオウンドメディアやSEO対策したアフィリエイトサイトなどは利害目的の情報発信のために信用できない、という意見を聞いてのアイデアでした。

しかしZ世代の子達に軽くヒアリングしたり、TikTokのコメント欄などを見る限り「現状のインスタ、TikTok、Twitterがあれば課題は解決できているのでは?」という疑念があったため、前者の「PC・ガジェットのレビュー専用の検索サービス」にフォーカスしたのでした。

ちなみに起業の科学でもこの「課題の前提条件を確認せよ」と言われます。僕ら創業者は課題をでっち上げがちだし、課題が存在するとしてもそれがお金を払ってまで(もしくはそれ相応の時間や手間や精神コストをかけてまで)解決したい課題ではないことがしばしばあります。

実際にこれは僕もやっていて感じます。「面白そう」とか「便利そう」とかじゃ全然ダメで(そんなアイデアごまんとあります)、「本当に困っていて何とかしたくて、すぐにでも課題を解決したいんだ」、そんな課題を探せと本では言われます。

ぼくもこんなのが見つかるか半信半疑だったのですが、実際に今回はこのくらいの前のめり感と、「プロダクトに熱心にフィードバックをくれる」という具体的な行為をしてもらえたので、こちらの課題にフォーカスすべきだとの判断をしたのでした。

インタビューはチャットでも可能か?

これも少し話がずれますが、リーン顧客開発などでも「ユーザーインタビューは基本は会う、もしくはビデオで」と言われます。これは実際に過去にインタビューをした経験からもチャットではやはり無理だ(むしろ間違った課題への理解をしてしまうリスクが高い)と実感していました。

しかし今回のユーザーさんはビデオではなくTwitterのDMでしかやり取りはしていません。ただ弊社の事業領域の関係もあり、現在のターゲットユーザーさんはネットやITに対するリテラシーが高く、返信が早く、チャットコミュニケーションに慣れています。そのため、チャットでお互いが基本即レスで、インタラクティブなやり取りが可能でしたので、今回は無理にビデオインタビューはお願いしませんでしたし、チャットで細かなインサイトを探るのは可能だと判断しました。

むしろ、教科書どおりに無理にビデオインタビューをお願いすると、嫌がられてフィードバックの機会を失う危険もありますし。

なので基本は対面やZoomでのインタビューを目指しつつも、ペルソナによってはチャットもありなのではないかと思ってます。あくまで手段にとらわれず、インサイトを得るという目的が達成できるかどうかに集中すれば良いと思います。

フィードバックを元にすばやく試作品を作り試してもらう

エヴァンジェリストの方からのWhereToSearchへのフィードバックを頂いた後は素早く新しい試作品を作り、2日後に提出しました。その結果をみて本製品のUIデザインをAdobeXDで描き、同じく2日後に見せフィードバックをもらい、更に4日後くらいに正式なWebサイトとして公開しました。

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なので初めてDMでフィードバックを受けて1週間くらいでいわゆるローンチしたことになりますが、自分でもこれは時間かけすぎた方だと思います。

上記だけを読むとすごいスピードで開発したように思うと思いますが、今回はiPhoneアプリとかハードウェアとか、店舗や人が絡むようなサービスではないので、現代のいろんなツールやサービスを使えば実用最小限の製品と呼ばれるMVPは1日あれば作れたりします。

今回はGoogleのサービスの一部を使ったことと、もともとWhereToSearchで使っていた Ruby on Rails のコードをほぼ代用できたこと、また AdobeXD のデザインデータも、過去にいろんなテンプレを集めていたり、いろんな試作デザインのデータがあったからほぼほぼ使いまわせました。

ちなみにスタートアップ的なWebサービスやアプリのプロトタイプを作るために役に立つAdobeXDのデザインテンプレートのリンク集ってかなり価値あるので、WhereToSearchやブログなどにいずれまとめたい‥。

他にもLINEの公式アカウントやオープンチャット、Googleフォーム、ノーコードツールのAdaloGlide、LP作成サービスのペライチやコードなしできれいなホームページが作れるStudioなどがあるので、これらを駆使すればノーコード、決済システムなし、メルマガシステムや予約システム不要でいろんな検証が即可能です。

スケールしないことをした後

現在は Y Combinator の教えの中での「スケールしないことをせよ」の段階にいるのですが、これをより多くの人にも刺さるように広げていかねばなりません。

単に人力のサービス提供をITで自動化するパターンが多いですが、検索サービスの場合は対象がとても広く、また人によって出してほしい価値が違ったりします(例えば年収によっても推薦すべきサイトや商品は違うし、ミニマリストかどうかの価値観でも異なります)。

ちょっとだけ今後の方針について漏らすと、おそらく今のエヴァンジェリストの方にとって最高の製品を作ったとしても、それが万人受けはしないはずという仮説をもっているので、今の製品にソーシャル性とカスタマイズ性を持たせ、自分だけのオリジナルのサイト集を弊社プラットフォーム上に持てるようにすることで、上記の万人受けしないはず問題を解決しようと思っています。

Twitterやってます!

普段はTwitterで起業やスタートアップに役立つ情報や、検索に関することをよく発信しています。志や興味関心が近かったりしたら気軽にFF外からコメントなりしていただけると喜びます。



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