見出し画像

第ⅲ者

劇団ポポポ第13回公演「第ⅲ者」
11/9〜11/12 @北池袋新生館シアター
無事終演しました。

ご来場頂いた皆様、応援をしてくださった皆様
支えてくださったスタッフ様、12人のキャストの皆様、見守ってくれた演助の出口ちゃん、そしてさいけさん。
皆様のおかげで駆け抜けることができました、本当にありがとううございます。

今回がっつりな会話劇、ポポポ名物(?)のパフォーマンスも最小限。
「第三者」たちのお話。
お客様方の感想をX(旧Twitter)などで拝見しまくったり、友人や過去の共演者の皆様の意見等をいろいろお聞きしたりして…本当に三者三様な感想を頂きました。
その中でもよくお聞きして嬉しかったのが「登場人物が嫌い」
当事者が一切出てこないお話の中でみんな好き勝手に話したり行動したりして、身勝手な第三者たちがあの場で生きていたんだなって嬉しくなりました。
「当事者にならないこと」が最初めっちゃ大変だったので、やったね!ってガッツポーズしてた、嫌われて嬉しい作品もあるんだな。


和治役 田島謙太さん

あいきち

旦那。実はご一緒にお芝居するのは初めて。
いつも演助として私たちを見守ってくれてた田島さんが今回ど真ん中で動き回ってくれてました。同じ板上にいても演助席で前から見守ってくれた時と変わらず支えてもらいました。先輩として引っ張ってくれて、けど踏み込みすぎたりはせず、めぶきがしんどい時とか答え出すまで待っててくれた気がします。
優しいんだけど結局責任は負わないあいきち。責任負わなくせに傷付いてるからどんどん愛おしくなっていって、ラストシーンの裕子はいつも肩の力が自然と抜けてました。田島さんのあいきちとご一緒できて本当に良かった。
投げたらこっちを見てくれるし、こっちにも優しく投げてくれる。田島さんの優しさがお芝居にもめちゃくちゃ影響してて、私は裕子として遠慮なく接することができました。懐が深い、情に厚い、だから甘えることもできたし寄り添いたいって思えた。私の裕子は田島さんのあいきちだったから出来上がりました。ラストシーン、一つとして同じ日はなくてそれはあいきちが毎回きっと抱えたものを隠さずに教えてくれたから。
ありがとうございます。本当に本当にたくさん助けられました。


きよみ役 小嶋美奈子さん

きよみさん

みんな大好き美奈子さん。
劇中の大根は本当に美奈子さんが稽古のときから作ってくれてました!佐藤さんの美味しい大根も修さんの普通の大根も、ちゃんと二つとも味が違うんです。本当にすごい。めちゃくちゃ美味しくて稽古後とか終演後はみんなで大根の取り合いしてた。
きよみさんはすっごい勝手なのに可愛くてむかつくのになんか笑けてくる方。美奈子さんは本当に素敵な女性で、それがそのまんまきよみさんに乗っかってました。毒気もなんかキラキラして見えちゃう、噂話してる時の笑顔がめっちゃ可愛いんだ…。あのゲストハウスにきよみコーナーを勝手に設置してるし、カフェだって言ってるのに焼酎入れてる。細部までしっかり作り込まれてました、凄い。身勝手なのに本当に憎めない。
大根の煮付けに対しての思いとか、本当に色々苦労したんだなって透けて見える気持ちが時に辛い。町のみんなのことも分け隔てなく付き合ってるんだろうなってその分悪口とかも言ってるだろうけど。悪気のない二面性が見えるのがめちゃくちゃ面白かった、裏表があるっていうよりももしかしたら素直すぎるのかなとか思ったり。


修役 多賀啓史さん

修さん

お義兄さん、あいきちの兄。
多賀さんには稽古の最初から本当に色々お世話になってしまってました。一番最初のシーンが全くうまくいかず、それでもずっと付き合ってくださってた。最後の最後まで模索し続けて…やっと私の中にも落とし込めた冒頭。多賀さんが最初にあの言葉と視線を投げてくださって心を揺さぶってくださったから裕子として存在できました。
修さんがいるといないとじゃ作品の色が全く違っちゃう。さいけさんも言ってたけど悪い人じゃない、可哀想な人でした。別に悪気ないのに悪口言われちゃうし、嬉しいことがあって喜んでただけなのに冷たい目で見られたり。ちょっと魔が悪かったりデリカシーない部分があったり…そのあたりはやっぱりあいきちと兄弟なんだなって思います。多賀さんの修は本当に面白おかしくて、いるいるこんな人!っていう絶妙な線をいくの本当に流石でした。めちゃくちゃ勉強になった、ご一緒して同じ現場にいられたことが幸せです。
完全に嫌われてるわけじゃないけど面倒な人、いるよなこういう人。善意がお節介になったり、別に悪いことしてないのに無礼に見えちゃったり、一番人間臭い人かもしれない。めぶき的には修さん大好きなんだけど、きっとこれは「第三者目線」だからだろうな。実際に側にいたら町の人たちと同じ気持ちになりそう。


沙織役 岩澤繭さん


沙織さん

稽古を進めていく中で裕子と沙織さんの関係がどんどん生まれていきました。繭さんが色んなものを投げてぶつけてくださって、裕子と沙織さんの関係が出来上がったからこそ私は「佐藤」という存在をしっかり認識できました。
ご近所のママ仲間。台本では「裕子さん」と呼ばれていたのを稽古で「裕ちゃん」と呼ばれた時、一気に何か生まれたなって瞬間があったの覚えています。きっと一緒に喜んだり悩んだり愚痴ったり、たくさんの話をしてきたんだろうなっって。あの町の人たちとは基本距離は近い人ばかりだけど、沙織さんが唯一友達に近い人だったんじゃないかって気がしています。
以前ご一緒した時からバケモノみたいな、とんでもない女優さんだと思っていたけど本当にとんでもなさすぎた。あんな手を伸ばせば気軽に触れそうな身近な存在だったのにいつしか手を伸ばすことも出来なくなって、存在してるのに消えそうで。いつも本番中正面から繭さんの沙織さんを見ていたかった。
愛の人、夫の佐藤が大好きで子供の柊くんも宝物で。その愛で身体中がいっぱいだなって感じてました、繭さんの全身が愛で満たされてた。


石丸役 中沢徳人さん

石丸さん

代打で急遽参加、スケジュール等大変だったはずなのにお役所仕事対応の勝手極まる石丸さんとして一緒に駆け抜けてくれました。
私がいただいた感想の中で一番「むかついた!」の言葉が多かった石丸(褒め言葉)。徳人さんが本当に他人のことよりも重要視している自分のものをぶれさせない石丸を作り上げたんだなって、何故か私が誇らしかったです。「めぶきめ偉そうに」って言われそう。
久々の共演、過去延期になった「ソノゴノセカイ」に出演する予定でしたがそれ以来?一緒にあーだこーだと話し合ったり考えたりする時間が本当に楽しかった。
自分の責任とか負い目を人に乗り換えさせるのが本当に上手な上に周りもそれに従っちゃう、自分のせいだって自覚がありながら他人に押し付ける石丸。器用に見える姿は徳人さんの石丸だからなんだろうなって。器用に見えて裏では色々やらかしてるでしょ、徳人さんの石丸って思うと愛らしく見えてくるから不思議。
徳人さんの笑顔がこんなに憎らしく腹立たしく見えるなんてって思ってた。神妙な顔も全部全部、あんな空っぽな言葉を吐けるんだって。石丸、本当に嫌だったな。腹立つとかムカつく、というより嫌だった。褒め言葉。



西田役 朴贊革さん

西田さん

いや語り尽くせない。
朴さんとは以前ポポポに出演していただいた時は逆班だった上に感染症対策のために稽古も本番も完全すれ違いの日々を過ごしていたので実質初めまして。たくさん可愛がってくれたし、おふざけにも付き合ってくださいました。
西田さんは本当に残酷、悪い人じゃないし優しい人であることには間違いないんだけど裕子からしたら本当に残酷なことをしてくれたなって。そんな西田さんに裕子も責任押し付けるからおあいこか。
二人のシーンは悩まなかった、朴さんがいっぱいいっぱい引っ張っててくれました。お父さんのことを話すシーン、私がお父さんを想う表現をしなくても朴さんがいてくれたからあの空間に気持ちが存在できたなって思います。すっごい優しい顔で笑ってくれるの朴さん西田さん、朴さんが稽古に合流して二人のシーンをやってから徐々に道が定まって行きました。本当に本当に大好き、感謝しかありません。
西田さんを通して見えるお父さんが愛おしくて、お父さんのモノマネも面白いし笑っちゃうのに嘘はないんだけどやっぱり寂しくて。裕子が何を大切にしているかもわかってくれてたからお父さんへの思いを抱え続けられてた。
けど冒頭、裕子の悪口を石丸と話すときのあの「良い顔」忘れないですからね!


モコ役 ゆいゆい

モコちゃん

ゆいゆいとは二度目まして。けど今回めちゃくちゃゆいゆいのことが大好きになりました。
お芝居がっつりしているところを見るのが初めてだったけどめちゃくちゃ自然で、出てくる言葉に嘘がなくてすごくスッと耳に入ってきて気持ちよかった。あと本当に表情が素敵、作ったものじゃなく感情が目に見えるようになっただけって感じで…。写真のこのシーン、脚本上は石丸とモコが逆の立ち位置だったんだけど、この時のモコちゃんの顔が見えるようになって大正解だったと思います。泣きそうで追い詰められてしんどくて、でも反論も抵抗もできなくてどうしようもない、葛藤が見てる側を刺してくるような感覚。超絶魅力的でした。
モコちゃん、可愛くてけど生意気で。生意気なのもあの町の人たちとの距離の近さからくる甘えだと思ったらとっても魅力的で。若いのにあの中に馴染めるゆいゆいのモコちゃん、すごかった。なんで若い子が仲良さそうに輪に入ってるの?って違和感が全くない、あの場にいるのが自然だった。
今度はもっともっと絡みたい。負けない。


遠山役 大倉安奈ちゃん

遠山さん

何年振り!?な共演、あの頃とはきっとお互いに全く違う姿での再会でした。
何度か一方的にあんちゃんのお芝居は拝見してて、本当にこの人もバケモノだと思ってましたし今もそう思う。本当に同じ人間なのか?ってくらい内から湧き出るもののパワーと質量がえぐい方。
本番終わるまで大根を一切食べなかったり町の人たちとも稽古場では距離を取ってたり本当にストイックな方、だからこそあの説得力なんだなって思います。
芯があってブレなくて、それがまた苦しそう。絶対に大切なものがあったから、その為に行動しただけで悪いことをした訳ではなかったのに。あの怒りは本物だったし、人を大切にでいる人だからこそ人のために怒れるんだろうなって。だから康介に対して見せる表情が柔らかかったりいたずらっ子みたいに可愛かったりすると安心しました。遠山も緩める場所があるんだなって、人ごとだけどほっとしちゃったりして。遠山もあんちゃんも好き、溢れ出る魅力が本当に強くて憧れる。
今度はもっともっと絡みたい。ちゃんと私は遠山を怒らせられてたかな。


康介役 林田雅樹さん


康介さん

初めて見るリンダさんだ!って思いました、康介。稽古場でも遠山への寄り添い方とか想いが見える瞬間とか人気でした。
遠山に対してはめちゃくちゃ優しいし大切にしているのに、非常識だったり人を傷つける人たちに対しては鬼のように怒る。怒るって言っても激昂するだけじゃなくて静かにふつふつしてたり様々で…けどやっぱり根っこは優しい人なんだろうなって、町の人たちに対しての立ち振る舞いを見て感じてました。
リンダさんはいかついというか、ツンツンした役をしているのをよく見ていたので本当に新鮮だった!わんこみたいでなんか可愛くて、けど頼り甲斐もある素敵な康介。優しい声色はいつも裏で聞いてて心からほっこりしたし、包容力抜群な眼差しも初めて見るリンダさんのお芝居だった。すごく好き、リンダさん康介。
あと稽古後に色々話してくれて、私が気付けていないことを教えてくれる。劇場入ってからもどうだろうかって不安なところをちょこっと聞きに行ったりして。
今回裕子としてもめぶきとしてもリンダさん康介を結構頼りにさせてもらってました、感謝。

倉本役 北川トモミさん

倉本

やっぱりトモちゃんは凄いとばかり思ってました。遠山の友人、いや本当になんで来たの?って突っ込ませてくれる身勝手な人。
本当に美味しそうに大根食べるから、大根食べたいって感想が多かったのはきよみさんの大根が本当に見た目も美味しそうなのに加えてトモちゃんの食べっぷりも絶対影響してると思う。
こんなに舞台上で自由に動けるんだって本当にびっくりする、稽古場に持ってくるものも全部全部面白くて魅力的でけど丁寧に作られてて。尊敬する女優さん、こんなに身近にいるのが贅沢すぎる。見に来てくれたお客様もみんな倉本のことは好きなんじゃないかなと思います。大根も食べるし、というか店の冷蔵庫勝手に開けて食ってるし、勝手さで言えば上級クラスなのに町の人たちの中にも一番溶け込んでた。みんなで話してたけど、倉本はまたあの町に遊びにくるんじゃないかな。田舎の空気とか気に入ってそう。
板上で生きるとか居る、ってことをトモちゃんを見てたくさん学びました。追い付きたい。あと楽屋が初めて隣になったんだけど楽しかった、次もとなりにならないかなあ。


裕子役 笠原芽吹

しんどかった!!!!!!!!!!!!
超絶難しかったです、もう芝居嫌いになるかと思った!何度枕を濡らしたか
、逃げたかったです。正直。
なんでか全く上手くできなくて、考えれば考えるほど沼にハマり身動きができなくなり…を繰り返してました。本番間に合わないってマジで思った。
表現をするんじゃなくて存在するって顔合わせの時にさいけさんが話をしていて。ガジラの鐘下さんも講義で話していた存在派と表現派のお話。頭では理解しつつ表現してしまってて。そんな時にさいけさんとお話しながら言われたのが、「自分で表現しなくても周りがやってくれる」って言葉。最初聞いて衝撃と納得が同時に来たんだけど、落とし込むのは簡単じゃなかった。けど本当に共演者の皆様のおかげで段々見えてる景色が変わってきて、それがモヤモヤばっかりだったのがクリアになっていって。小屋に入ってからは舞台上に立つのが楽しくなったし、変な緊張もしなくなった。一瞬一瞬が楽しくて面白くて、お芝居やっててよかったなって思いました。
また舞台に出る時はしんどいもうやだとか言いそうだけど、もっともっとやれることできること増やしたい。もっともっと成長したいって思った。



ラストシーンの稽古

たくさんのことを学べた作品でした。
それは共演者の皆様のおかげだし、稽古からも、劇場入ってからも見守ってくれてたスタッフの方々がいてくださったからだし、この役を与えてくれたさいけさんのお陰でもあるし。つくづく私は皆さんがいないと何もできないなと思います。
情けなくもあるけど格好つけてもしょうがないので、しっかり格好がつくように頑張っていきます。



本当に本当にありがとうございました。
皆様にちゃんと今度こそ何かをお返しできるように精進していきます。


「第ⅲ者」

笠原芽吹

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?