5決断してくれて

自分の言葉を自分のために使う_5

Vol.5 世界はやさしい

松本さんのセッションの中で、投げかけてくださる言葉の一つに

「世界はやさしい」というものがあります。

そのたびに、肩の力が抜けて開放されるような気持ちになる言葉。

大好きな言葉です。


最初にその言葉を投げかけてくださった情景は、今でも鮮明に残っています。

はじめて松本さんにお目にかかった日は雨でした。

土砂降りでこそありませんでしたが、その時季には珍しく本格的な雨。

足元が濡れる雨は嫌われるものですが、松本さんは

「今日は雨でよかった」と。


穏やかな笑顔で「雨でよかった」と言われると

ほんとうに雨降りの天候に感謝したい気持ちになったことを

はっきりと覚えています。

その後のお話しの中で、松本さんはこうお話ししてくれました。

世界は、私たちが思う以上に自分たちが幸せであれるように

心穏やかであれるように、いろいろなバランスを取ってくれています。

世界は、私たちの味方。

その感覚があるかないかでは、生き方、日常の過ごし方が変わります。


松本さんは、カウンセリングの勉強をされる前に大きな交通事故に遭われています。

そうした大変な事態ですらも、松本さんは「世界はやさしい」と言うのです。


事故に遭遇したのは、会社を辞めてカウンセラーの養成学校に行くかどうか迷っていた時期でした。

天職だと自分でも思っていた現場監督の仕事。

けれど、「今、人の話を聴く力を身につけたい 」という気持ちが勝っていたのです。


退職届を出すも受理されず、どうしたらいいかと思いあぐねていた時に

早朝、現場へ向かう道中、交差点で大型トラックに突っ込まれたのだと。

ICUで目覚めて、まず松本さんが思ったことは

「あっ、儲けた」だったと笑い話のように語ってくれました。

天職とも思える仕事でかつ、恩義を感じる会社を辞めるには、そこまで圧倒的な出来事でなければならなかった・・・と。


入院先の先生も、松本さんの次の目標にとても好意的で

最低でも1か月は入院してほしいという期間を3週間で退院許可してくださったそうです。

そして、養成学校でかかる費用や大阪に通学(のちに転居)する費用も事故の保険金で賄えたと言います。


世界がバランスをはかっているとはどういうことなのか

そして、 「世界はやさしい」の真に意味するところが伝わってきたエピソードでした。


ちなみに、この体験を通じて、「今後一切、自分や家族、大切な人とお金を交換しない。」ということは心に固く決められたそうです。

次回はいよいよ最終回

松本コミュニケーション研究所は、人との対話を通じて自分の言葉を聴き、自分への理解を深めることで、目をつむりがちな日常にひそむリスクにいち早く気がつき、ひとつでも多くのリスクを回避いただけることを目的に活動をしています。いただいたサポートは、目いっぱい大事に活かします!