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母が行う命の洗濯

学生時代の夏休み、母の実家に行くことがとても楽しみでした。

母は、私と共に実家に帰省すると、1か月は家に戻りません。

何故か、母専用の万年床が、冷蔵庫の前に敷かれます(笑)。

帰省すると、すぐさま布団に潜り込む母。

「あんた育てるのに、疲れたわ!」命の洗濯を開始する母(笑)。

本当に、一日中、布団の上にいるのです。

食事の時間になると、ばあちゃんがご飯を母の枕元に運びます。

布団の上に座り、のっそりと食事を開始する母。

「お母さん、ヒマやないんかなぁ?」実の娘に呆れるばあちゃん。

ちなみに、ばあちゃんは働き者で、きちんとした性格です。

もちろん、ご飯はちゃんと、食卓で食べます(笑)。

ばあちゃんがこのような不出来な娘に注意が出来ないのには訳があります。

ばあちゃんは、かつて赤子の母を手放してしまいました。

それにも関わらず、母は父と結婚するまで働いて、貧しい両親の家計を助け続けてきたのです。弟の学費を出したのも母でした。

ばあちゃんは、母に対して罪悪感を抱いていました。それ故、少々の事には、目をつぶっているのでした。

「お父さんを1か月もほったらかして・・・。」ため息をつくばあちゃん。

大丈夫です。父は自走できる人です(笑)。

それにしても、大変なのはばあちゃんでした。

いきなり手の掛かる母と私が現れて、そのお世話に追われます。

じいちゃんも自走しません(笑)。

かつては、不幸な人生を送っていた母でしたが、結婚した途端幸せになったのでした。母の親戚一同を見渡しても、母程幸せになった人はいませんでした。平凡な幸せというものが、如何に難しいことか・・・。

ばあちゃんが、私に言います。

「あんた、お母さんみたいな人生を夢見とったらあかんねんで!」

「きっと、不幸になるわ!」なんか、やけくそです(笑)。

なんともありがたくない予言をされて、幼い頃から人生の厳しさを教えられるのでした(笑)。


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