見出し画像

映画「オズの魔法使」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第21回

「黄色いレンガの道を進め」
1938年公開映画「オズの魔法使(The Wizard of OZ)」
文・みねこ美根(2019年1月21日連載公開)

あけましておめでとうございます。こちら「みねこ美根“映画の指輪のつくり方”」でございます、本年、大人気となる連載・動画でございます、何卒よろしくお願いします。

 第19回の冒頭で、「卒業式の袴を準備していない」と書いた。なんとか卒論も無事に終え、卒業できそうだなと確信したため、レンタル予約をしに、大学の生協へ向かった。この時期、生協の一画にレンタルショップのブースが設置される。ショップスタッフのおばさま方が、毎年、近くを通りすがる生徒全員に「4年生ですか!?」とかなり積極的な呼び込みをする。“かなり積極的”というのは、人見知りの私の苦手とするところなのだけれど、今回ばかりは自ら飛び込まねばならず、意を決して、ビュンと入ってみた。すぐさま、5人のおばさまに取り囲まれ、秒で背負っていたリュックと上着を引きはがされた。ピンク色の着物をごりごり勧められたが、黒い生地のトンボが飛んでいるカッコいいのにした。トンボは勝ち虫という。いろんなものに勝つ、それが2019です。写真撮影もあるのだけれど、この手の写真の背景が大嫌いだ。あのよくある、もやぁ~とした背景が嫌で、成人式の前撮りは美術館でやった(レトロに素敵に撮ってくれるところがあるのだ!)。私の時だけ背景をネオンサインの街とかにしてくれよ。

1939年公開「オズの魔法使」はジュディ・ガーランドの歌う「虹のかなたに(Over the Rainbow)」でも非常に有名だ。ドロシーがとにかく可愛い。アニメっぽいリアクション、というか、はっ!と気が付く動作がすごく好き。面白いんだけれどとても自然で驚く。

 「オズの魔法使い」は、絵本で読んだり、「ウィキッド」を観たり、ピューロランドでキティちゃんがやってるのを観たりと、いろんなところであらすじに触れてきた。竜巻で家ごと飛ばされ魔法の国に来てしまったドロシーは、家へ帰る願いを叶えてくれるという、オズの魔法使いに会いに行く。旅の途中で出会う、かかし、ブリキ男、ライオン。特徴的で面白いし、「北の魔女、西の魔女」が出てくるのだが、そこから子どもの私は方角を覚えた。

「やっぱり家が一番だわ」とジュディが言うシーンは感動しちゃう。結局、オズは魔法使いではなかったし、気球で一人飛んで行っちゃうし、題名のわりに、“オズの魔法使い”の重要性が低くて驚くけれど、今見ても、扉を開けた瞬間からカラーの世界に切り替わるシーンや、楽曲、豪華すぎるセットは素晴らしい。あと、黄色いレンガの道の始まりを、渦巻き模様にした人は天才だと思う。ドロシーが歩き始めるあのシーン好き。

 かかし、ブリキ男、ライオンが欲しがった、脳みそ、心、勇気。彼らはそれをもうすでに持ち合わせている、ということが分かる描写も良い。欲しいと思う物は案外身近にあるかもしれないし、それが自分の良さかもしれない。「家が一番だ&欲しいものは自分の中にあるかも」というメッセージとともに、「このメッセージは、冒険をしなければ知り得なかった」というのもミソだと思う。

 いざ、行かん! 冒険へ。行く先で見つけたものも欲しいし、行く先にいる自分も知りたいのでね。

*****************
モチーフ:ドロシーのルビーの靴、かかしの靴と藁、ライオンの前足としっぽ、ブリキの足とハート、オズの気球、悪い魔女の帽子、ケシの花、黄色いレンガの道、エメラルド
音楽:「Over the Rainbow」Harold Arlen  オルゴールver. cover

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?