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群れを好み、権威を好み、たたき上げのスキルだけが彼女の武器だ ~コルブと経験学習~

「経験」ってなんだろう?

前回の記事で 「おとなには経験という武器がある」と書きました。

経験の奥深さ、複雑さを改めて実感しています。

あのひとは恋愛経験が豊富だ、

先輩は自分より経験が多いから敵わない、

などなど経験に左右される場面ってすごく多い。


今期の授業では「成人学習理論のテーマごとにわかれてグループプレゼン」という課題がありました。

先日ちょうどうちのグループのプレゼンが終わったばかりなのですが、

私はまさに experiential learning 経験学習 のグループでした。


なぜこのグループにしたかというと、私自身看護師として「経験」にものすごく振り回されていたからです。

看護師をしていたとき、「群れを好み、権威を好み、たたき上げのスキルだけが彼女の武器だ」とどこかで聞いたことあるようなないようなフレーズのような方がたくさんいました。

大門先生のようにすかっと群と権威を嫌ってくれればいいんだけど笑

「経験値」だけにとらわれている先輩ってきっとどこの組織にもいると思います、絶対!!!

だからすごく興味があったんです。特に、技術職が強いとどうしても経験学習が関わってくるなぁと。


前置きはこのくらいにして、今回はコルブさんの登場です。

コルブのラーニングサイクルとは

experiential learningといっても、本当にたくさんの理論が複雑に絡まり合っているので関わっている理論家は無数にいます。

そのなかでも経験学習といえばコルブ!という印象があるので、今回はそちらを5分で紹介します。

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(画像:https://educationaltechnology.net/kolbs-experiential-learning-theory-learning-styles/)

David Kolbさん。1939年生まれで現在もご健在です。

計算してみたら今年で80歳!

彼がなぜ有名になったかというと、なんといっても

Learning cycle ラーニングサイクル です。

コルブさんは経験学習をこちらの図で表しました

画像2

(Kolb Inventoryより画像引用)

日本語では、

経験→省察(振り返り)→概念化→行動

いやいや、わかりやすいってゆーてたやん!

省察とか概念とかわかりにくいんですが!

というつっこみがあるかもしれませんので、ここでは「寺本流」の和訳でいきますのでご了承くださいませ。

経験が学習につながるためには、まずはconcrete experience 具体的な経験そのものからスタートします。(赤いところ)

そのあと、一度立ち止まって、「あれ、さっきの経験ってどういうことだったんだろう?」と振り返ります(黄色いところ)

振り返りを通して、「ああ、これってこういう意味か!」と意味づけをしたり、おおよその意味内容を理解します(青いところ)

そして、それがまた新しいチャレンジにつながります(緑のところ)

そしてそのチャレンジした結果得た経験が赤いところに戻ってくる、というサイクルです。


なーんだそれだけ?


そうです、それだけです。

でも、コルブさんは Learning is best conceived as a process, not in terms of outcomes 学びは結果そのものではなく、プロセスのなかで最も得ることができる、というめちゃくちゃ重要なことを述べています

そして、すべての学びはrelearning 再学習だともいいました

わたしたちは日々学びをアップデートさせ、過去の経験に紐付けて新しい学びを得ている、ということです


この、学びはプロセス という考え方はとても大事で、要は「経験値」の量ではなく、いかに振り返り、意味を見つけ出し、新しいチャレンジを試みることができるかどうかが学びの量を決めているのです

私の大好きなドクターXの大門みちこは「たたき上げのスキル」だけでなく、その何百のオペや症例から「学びを得ていた」からこそ、「私、失敗しないので」という自信を裏付けていたのかもしれません。


Learning Style Inventory (LSI)とは?

もうひとつ、Kolbさんが大きな影響を与えたのが

Learning Style Inventory の開発です。

先ほどご紹介したLearning cycleをベースに、「あなたの学習スタイルは?」というものが数十個の質問によってアセスメントされるツールです

Kolbさんが定義づけた4つの段階のうち、

どの段階が自分の強みなのか、というのは人によって異なります。

経験を積むことが得意な方もいれば、振り返るのが抜群にうまかったり、意味づけに長けていたり、新しいチャレンジを恐れずに行動にうつせる方など様々です


授業内で受ける機会があったので、わたしの結果をご紹介します


でーーーーん!!!!!

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(Learning style inventory 筆者の結果より)

みなさまお気づきの通り、もんんんんのすごい極端な学習スタイルをもっています、わたし。笑

本来は全体的に広がってkite (凧)のような形になるはずなのですが、

三角形じゃーーーーん笑 ってなりました。

数十ページにわたってこのグラフのひとの学習スタイルの特徴が記載されているのですが、めっちゃ要約すると

経験大事!どんどんチャレンジしたろ!!!

てきなかんじです。

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このLSIは9つのブロックにわけられて、わたしは左上のinitiatingに分類されるそう。

どれがいい、どれが悪いとかはないです。

ただ、自分は4つの段階のうちのどこが強くてどこが弱いのかがわかると、自分の好む学習スタイルがわかる、というツールになります。


ちなみに、最後にこのグループのひとはこんな職種がおすすめ、みたいなことが書いてあって・・・

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おおおお!!!!Nursingがはいってるー!!!!!!

「経験大事!どんどんチャレンジしたろ!!!」なひとは看護師向きだそうです笑

もちろん、この結果をもとに ああ、振り返りと意味づけ頑張らなきゃ、、と課題を発見することができたので、今後向き合いたいとおもいます。


Korn Ferry社のものを授業では使いました

もちろん$35,学費にプラスして自費で払っております笑

すべて英語ですが興味のあるかたはぜひ!


参考文献

Kolb., D. A. (1984). Experiential learning; experience as the source of learning and development. Englewood Cliffs.

S. B. Merriam., & L. L. Bierema. (2014). Adult learning linking theory and practice. Jossey-bass. Experience and learning p.104-126.

職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門  – 2011,
松尾 睦, ダイヤモンド社



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