カザフスタン

カザフスタン

カザフスタンのアルマトイ市に行ったのは友人の結婚式出席のためで、移住は考えていませんでしたが、とても素敵なところだったので、参考までに情報共有させていただきます。
カザフスタンは観光立国ではないので行ったことがある人は少ないと思いますし、私も結婚式がなければ行くことを考えなかった国ですが、行ってみたらとても暮らしやすいところでした。何が驚いたかというと、もっとトルコっぽい雑多な感じを想像していたのですが、街は広々としていて公園や街路樹が至る所にあり、景観が美しいだけではなく、レストランやショッピングモールも洗練されていて、まるで街中が六本木ヒルズのよう。それでいてカザフスタンは人口密度が非常に低いので、どこへ行っても混雑しているということはなく、散策も快適だし、レストランや店が満員ということは一度もありませんでした。去年、今年とインフレが酷かったらしく、物価はトルコ程安くはありませんが、ヨーロッパよりは安く、今の円安(148円)計算だと日本よりちょっと安いくらいでしょうか。おしゃれなカフェやレストランで外食しても一人10ドルぐらいです。もちろんもっと気取らない店はもっと安価です。でもアルマトイで驚いたのは、ほとんどのレストランやカフェの内装はきれいで、アジアによくある外装内装は全くお金をかけてないけど安い、というような店がそれほどみあたらないところです。ショッピングモールも六本木ヒルズや香港のパシフィックプラザみたいな巨大でモダンな高級モールが沢山あり、カザフスタンの建築費、施工費が安いからなのかよく分かりませんが、日本や欧米の地方都市を完全に凌駕しています。そのようなモール内のスーパーではカザフスタンやロシアっぽい商品の他にも欧米のスーパーで売って売るようなものはほぼそろっているので、自炊も全く問題ありません。個人的にポイントが高い点は、カザフ人の容貌が日本人(というかモンゴル人)にとてもよく似ているため、口をきかないかぎり現地人としてすんなりと溶け込め、居心地の良いところです。そして観光国ではないので客引きや土産物屋等の観光客目当てのぼったくり商売も存在せず、とても安全です。又、カザフスタンにはスターリン時代に強制移住させられた朝鮮系の人達が沢山いるため、韓国料理のレストランや韓国食料品店なども多く、普通のレストランにも東アジアっぽい麺類があったりします。カザフスタンはスターリン時代にロシアから政治犯が送られてきたり、様々な民族が強制移住させられたため、異民族には寛容な伝統があり、今でも人々は移民に優しいそうです。友人から聞いた話ですが、当時政治犯が檻に入れられて移送されている際、地元の人々が投石し、政治犯が傷つきながらも石が当たっても痛くなかったので拾ってみると、カザフスタンで食べられている練乳を小石のように固めたお菓子でした。政治犯達はその石(お菓子)を拾って大事にとっておき、過酷な収容所生活を生き延びたそうです。又、カザフスタンは資源大国だからか税金が安く、所得税は10%ぐらいというのも移住したい人には魅力的です。気候は冬は寒くなりますが、私が滞在した10月は、夜は冷え込むものの、昼間は日本の秋そのもので、ちょうど過ごしやすい気温でした。ただ、大変乾燥しているので乾燥が苦手な人はそれなりの対策が必要かもしれません。不動産は今ロシア人が兵役逃れで大量に流入しているため、特に賃貸は高騰しているそうですが、買うならアルマトイの一等地の高級アパートで5000万円ぐらい、郊外なら半値ぐらいだそうです。私は行く機会がありませんでしたが、カザフスタンは天山山脈を有する自然が豊富な広大な国なので、国内旅行は行くところが沢山ありますし、ちょっと隣国(キルギスタン、ウズベクスタン、ジォージア等)に行くのも手軽です。車がなくても市内の移動ならタクシーは安く、ちょっとした距離なら2-3ドル程度、40分ぐらいかかる空港まででも11ドルほどです。もうひとつポイントが高いのは、旧ソ連の伝統か、良質なオペラ、バレエ、クラシックコンサートの上演が多数あり、チケットも安いので(10―20ドルぐらい)手軽に楽しめるところ。私が観たオペラはロシア語と英語のバイリンガル字幕付きでした。あと、これは全く個人的な推しですが、アルマトイのレストランやカフェには様々な種類のハーブティがあり、ティーバックではなくちゃんとしたドライ/フレッシュハーブ。ポットで注文しても2-3ドルで、サジー(沙棘)のような外国では高価なスーパーハーブティも手軽に楽しめます。
一方移住や長期滞在となると一番のネックになるのは何といってもロシア語。観光客相手の商売が少ないので、レストランのメニューもロシア語のみのところも多いですし、ローカルスーパーの商品の表示は全く不明。トルコ語はアルファベット表記なのでまだなんとなく想像がつくところがありましたが、ロシア語となると全く読解不可能なので、牛乳一つ買うにしても、サワーミルク?ヨーグルト?ローファット/フルファット?と一か八か買ってみるしかありません。ホテル等以外には英語はほぼ通じないので自分で語学を習得する以外道はありませんが、ロシア語はハードルが非常に高いと感じます。言葉が通じない所でもしばらくいると何となくよく聞く言葉などが耳に残り、看板(薬局、出口、とか)から単語を覚えていったりするものですが、ロシア語に関してはほぼ皆無でした。又、カザフ人の友人によると医療レベルは高くないので心臓病、腎臓病等の高度医療が必要な人には薦められないということでした。他の都市は分かりませんが、アルマトイは周りを山に囲まれた盆地なので、冬は寒い上、煙突からの煙が停滞するので空気は悪くなるそう。政治的には旧ソ連でロシアとの関係は切っても切れないものがあり、これから戦争に巻き込まれる可能性は無きにしも非ずですが、こればっかりはどうなるか神のみぞ知るところです。
ということで、個人的には移住は考えられませんが、一年数か月を過ごすにはとてもいいところだと思います。遺跡や観光名所というほどの目玉はないアルマトイ(というかカザフスタン)ですが、混雑とは無縁なおしゃれな街並みでゆっくり食事やお茶を楽しみ、ゆっくり散策したりリラックスするには最適な所。世界どこでも人気が出るとすぐ物価が上がり混雑してしまい、魅力が半減してしまうので、カザフスタンの魅力が気づかれないままでいるよう、密かに願っています。

まとめ
プラスポイント
比較的物価が安い
街が綺麗
安全
豊かな自然
人口密度が少ないのでどこもすいている
おしゃれなカフェ、レストラン乱立状態
タクシーが安く安全
モンゴル系民族なので日本人には心安らぐ
税金が安い
オペラ、コンサート等が安価で楽しめる
韓国料理が充実

マイナスポイント
冬は寒く、空気は悪い
ロシア語習得が難しそう
高度医療は充実していないらしい
ロシアリスク有

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