見出し画像

何でもない日                   日常と、ELLEGARDEN

rockin'onに音楽文というサイトがあったのをご存知だろうか。

「音楽文 powered by http://rockinon.com」は、音楽を愛する書き手と読み手が出会うサイトです。

あったのを、と過去形なのは、音楽文はすでに役目を終えたからである。
名も知らぬ人たちの、数えきれないほどの思いがこもった音楽文はもうすでに閲覧が不可能になっていて、惜しいサイトが終わったものだと落胆したものだった。
かつて私もそのサイトにELLEGARDENについての音楽文を投稿したことがある。思ったよりもたくさんの人に読んでいただいたみたいで、とてもうれしかった。その文章も、音楽文の終了とともに永遠に消失してしまったものだと思っていた。

しかし、昔使っていたPCの中にその時の音楽文のバックアップを発見した。せっかくかつての私が書き連ねた文章である。
読みづらさはあるが、供養の意味も込めてnoteに投稿したい。


タイトルおよび以下すべて、私の音楽文から引用である。




ELLEGARDENが復活した5月10日。8月8日の新木場から始まるツアーの知らせ。私は、最高の夏になると思った。想像の中でしか行けなかったエルレの復活ライブに行ける。夢にまで見たエルレがついにこの目で観れる。私はそのとき、確かに浮足立っていた。

8月になった。気づけば、ツアー初日の新木場は数日後に迫っている。
私は、チケットを取ることができなかった。
一次先行、二次先行、一般。全滅だった。リセールは、クレジットカードを持ち合わせていなかったため、応募ができなかった。一般がラストチャンスだった。意に添わず、後には落選のメールだけが溜まった。
なんだかんだ、チケットがどこかで当たるのではないかと思っていた。ELLEGARDENを知ったときから、何度彼らの復活を思い浮かべただろうか。何度彼らの音楽に助けられただろうか。私は、ELLEGARDENが活動していたころを知らない。だから、10年も復活を待っていない。しかし、彼らの音楽が本当に好きだった。愛していた。この気持ちはだれにも負けてないと本気で思っている。信じ続けていれば、絶対にチケットが取れると、安易に考えていた。
現実は残酷だった。チケットが当たるか外れるかなど、所詮は運でしかなかった。
転売目的でチケットを当てた人。ELLEGARDENのことはよくわからないけど、なんとなく抽選を申し込んだら当たった人。たくさん見た。
10年間彼らの復活を待ち望んでいた、ELLEGARDENが本当に好きな人。そんな人が、チケットが取れなくて涙を飲んでいた姿も、たくさん見た。
私も、チケットが外れるたびに涙を流した。私のほうがチケットを当てたこの人よりもエルレのことが好きなのに。なんで当たらないのだろう。なんであいつがチケットを当てているのだろう。羨ましさから妬みが私の中に生まれていた。
この感情とは裏腹に、エルレのことが本当に好きなのだろうという人が、チケットを当てているのを見るのは素直に嬉しかった。なんのためらいもなく、おめでとうと言うことができた。チケットが欲しいという気持ちは、私自身、痛いほど知っているつもりだったからだ。チケットを当てた時のその人の気持ちを想像すれば、私も嬉しくなった。ただ、そこには少なからず悔しさもあった。私は、その人とは違って、ライブに行くことができないのだから。
ELLEGARDENの公式物販が発表された。いよいよ復活が間近なのだと、実感させられる。復活ライブのチケットを持っている人はどのような面持ちでライブ当日を待っているのだろうか。物販でどれを買おうかワクワクしているのだろうか。来るべきSupernovaから始まるライブに備えてエルレを聴き込んでいるのだろうか。私もその気持ちを分かる側になりたかった。今でもライブを完璧に諦めることはできていない。本当にライブに行きたい。彼らのライブを全身で体感するまで、絶対に死ぬことはできないと、そこまで本気で考えている。
私は、復活ライブに行く人は、心の底から、全力で、死ぬ気で、最高に楽しんでほしいと思っている。そのあなたが手にしたチケットは、きっと、多くの人が喉から手が出るほど、焦がれに焦がれたチケットだ。そのチケットが手に入れられなかった人のためにも、その人たちの分の気持ちも抱えて楽しんでほしい。エルレを好きな人がチケットを当てて、私が嬉しくなるのは、私の分までその人がライブを楽しんでくれるのではないかというような期待からかもしれない。独りよがりで申し訳なく思う。それに、チケットを勝ち取ったのはあなただ。そのチケットをどう使うかは勝手だとは思う。しかし、チケットのサイトから、○○の当落によりこの日はサイトの混雑が予想される、や、○○の転売対策について、などのトップの見出しが出たバンドが今まであっただろうか。こんなに復活したことにおいて日本中が沸き立ったバンドがあっただろうか。それほど、ELLEGARDENの復活は特別なのだ。きっと、私にも、ほかの誰かにとっても。だから、その特別なバンドの復活ライブは、その場にいる全員が、特別な、至福の時だと思うような空間であってほしい。
これを書いている今日も、私の心は晴れていない。私はELLEGARDENを観れるのだろうか。不安である。バンドは生き物だ。バンドはいつか終わるし、私だっていつ死ぬかわからない。エルレが活動休止していた10年間で、エルレの復活を楽しみにしていたにも関わらず、思い届かず亡くなってしまった人だっているはずだ。直近の1年間でも、バンドのメンバーの死、脱退、バンドそのものが解散してしまったというのも少なからず見てきた。10年経ってもまだ同じ姿で観れるなんて奇跡である。

全員笑顔にすっかんな

5月10日、細美さんはブログに確かにこう綴った。
今回、涙を飲んだ人だって、笑顔になれる日が来るはずだ。私も、ELLEGARDENのライブに行くという夢が叶い、笑顔にさせてもらう瞬間を待っている。
今年2018年8月。ELLEGARDENが復活する。最高の夏だ。


この記事が参加している募集

私のプレイリスト