短歌「夏、宵闇」連作10首

世界とは苦楽混じったモザイクで私の中に地獄があるだけ

みんなから忘れられてもどうでもいい この苦しみを終えられるなら

目に映る光の数だけ私よりまともな暮らしがあるので憎む

次の夏にも僕はまだ変わらずに醜く生きているんだろうか

膿むように褪せる紫陽花追い越した夏が夜明けを追い立てている

くだらない吐き気に駆られる毎日を水に沈めて夏を始める

つまらない不安ばかりが積もりゆき正しい行為が遠くに消える

湿度まで私の首を絞めて来る 腐る傷口抉り取りたい