生活でリハビリをする

 今回は、回復期リハビリテーション病棟・退院後の生活を踏まえ、私が思う「生活の中でリハビリをする」ということについてお伝えしたいと思います。
 ところで、皆さんはリハビリを理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がするものだと思っていませんか?

答えはNOです。リハの専門職は、自分で行うための「お手伝い」をしてくれます。どのように自分で行えるようになるのか、代替え手段はないのか、支援者はいないのか、それを探すお手伝いをしてくれます。

 という私も、入院中は「なんでリハの時間、今日は無いの?良くならないじゃん。」と療法士に言っていました。大抵の人は、「ごめんね。」と言いますが、私の担当の人は「リハビリは自分でするんだよ」と言ってくれました。この時は、「そんなこと言ったって…冷たいな…」とこの人に対してネガティブな印象を持っていました。今は、この言葉の意味が分かります。

 入院中は、専門職に依存しがちでした。退院し、社会復帰をすると自立が必要になります。生活の場所は、医療から離れていくのです。無論、通院治療をする時は医療施設に行くことになりますが、生活の場は社会になります。

 そうなると、自立とはいったいどのような状態を言うのか?依存とは何か?

という問いが、私の中で生まれるわけですが、答えはいまだに見つかっていません。

 回復期リハビリと生活

 リハビリでは、動作を細切れで再習得していきます。歩く、座る、立つ、考える、話すと言ったことを、社会生活とは異なり分断しながらじっくりと再習得します。その分断を、「繋げて生活に繋げる」ことをするのが、看護師です。

 私のリハビリでは歩行を理学療法士と共に習得しながら歩いて歩行することもリハビリでは行いました。そして、リハで習得した動作を、入院生活で生かすために看護師が歩行見守りという形で食事などの場所へ向かいました。これを退院後は、歩きながら周囲の障害物に注意し安全に歩く、というように難易度が上がります。つまり、入院中は安全な環境下(バリアフリー下、他人の目がある)で生活をしますが退院直後は外出して歩くのも怖かったです。
 また、服薬管理も看護師管理が最初は行われていましたが、一日分の薬毎を自己管理、数週間の薬を袋管理というように変化していきました。これに関係し、言語聴覚士との認知訓練(高次脳機能などの訓練)や、作業療法士との計算訓練、理学療法士との歩行をしながら計算をする訓練、道順を覚え目的地へ行く訓練等を組み合わせて行っていました。
 このように、療法士が基本的生活動作面を改善し、看護師が生活でどのように用いるのかということを連携していました。
 こういった中で私は、歩く練習をひたすら病棟内を行い、計算練習などを行っていました。
 さらに、退院前には「今日は何をやる?」と療法士から聞いてきてくれました。「筋トレ」と答えると、器具を使わないでもできるプランクを教えてくれました。また、食事を配膳するときにこぼさないように、食事を運べるようになるためのリハビリも行いました。その時に教えてくれたのが、「運動学習」です。
 
 退院し療法士が身近にいない今は、教えてもらった「運動学習」を自分で調べつつ、筋トレの本や計算問題、要約をしつつ、外来リハビリの担当者と自己練習や生活面の相談をしながら、いかに生活の中にリハビリを落とし込めるのかをやっています。

 そして、リハビリを生活の中で行いながら、健康管理にも気を使っています。健康管理は、入院中であれば看護師や医師が行ってくれますが、退院すると看護師や医師はいません。自分が看護師や医師の働きもするのです。私は、大学で看護の勉強をしていたため毎日の血圧や体重、筋トレ、歩数、自覚症状などをエクセルで記録し、医師に外来受診で見せています。主治医からは、「セルフコントロール出来ていていい傾向。順調に、患者さんを卒業している」と言われました。

 このように、リハビリは「あなた」(自分)が主体となって行うものだということに気が付くことができました。

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