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ブログはどこへ消えた?それでもnoteは盛り上がる理由

ブログ飯なる言葉も登場した2010年代


2010年代前半くらいは、ブログブームがすごかったんですよね。ブログ一本で生計を立てるというブログ飯なるワードも登場して、毎日大量のブログ記事を書くインフルエンサーが登場し「とにかくブログを書け」とネットで先導して、ブロガーになるために大学の進学を止めたとか会社を止めたというニュースも耳にしました。

同時に論考的なブログも盛り上がりを見せ、ブログプラットフォームBLOGOSというサイトもありました。
こちらは、いわゆるオピニオンと言われる専門家の人たちや、無名ではあるけれどもするどい視点を持ったブロガーの人たちが活躍していました。社会派ブロガーとして有名なちきりんさんなど、有名なオピニオンブロガーも誕生しました。

ブログはどこへ消えた?


それから約10年が経ち、ブログ飯を推奨していたブロガーたちの姿はめっきり減りました。そして、オピニオン系ブロガーもあまりブログを更新しなくなり、BLOGOSは昨年サービスを終了しました。
明らかにブログのトレンドが縮小しているのですが、ブロガーたちはなぜブログを更新しなくなり、ブログはどこへ消えたのでしょうか。

ブログがなぜ消えたのかを考えるには、インフルエンサーが先導していた「ブログ飯」系ブログと、「オピニオン」系のブログに分けて考える必要があります。

ブログ飯は消えたけど、noteは盛り上がっている理由


まず、ブログ飯系ブログはどういうコンテンツを提供していたかというと、次の2つに分かれます。

A.ブロガーやインフルエンサーになるハウツー

B.投資などの特定領域のハウツー

ブロガーやインフルエンサーになるハウツーについては、いわゆるツルハシビジネスというやつで「ブロガーになりたい」と思っている若者に「こうすればブロガーになれるよ」というハウツーを提供するものです。

投資などの特定領域に関するハウツーは、投資であったり不動産であったり、特定のジャンルにおける攻略法を提供するという内容です。

当時のインフルエンサー系ブロガーは「とにかく読者の課題を解決する、役に立つブログを書け」と言っていて、それを集約するとこの2つになるのです。

この2つのブログは、課題解決という軸では同じなのですが、もう1つの軸が違います。もう1つの軸は「当事者であるか」どうかです。自分がその領域を深く体験している、あるいは専門家であることが当事者である条件です。当事者であることの反対側は、自分が体験していないことなので俯瞰した視点になります。

課題解決かエンタメか、当事者か俯瞰か、この4軸でブログ飯系ブログにおける2つのジャンルを整理するとこうなります。

■ブログ飯系ブログ
〇当事者×課題解決(4マスの右上)
・ブログ飯A. ブロガーやインフルエンサーになるハウツー
〇俯瞰×課題解決(4マスの左上)
・ブログ飯B. 投資などの特定領域のハウツー

で、ブログは消えたとか言ってるわけですが、noteは非常に盛り上がっています。なぜnoteは盛り上がってるかといえば、この4軸で整理するとこうなるからです。

■note
〇当事者×課題解決

「あれ?ブログ飯系ブログと条件が一緒じゃない?」と思ったでしょうが、もう少し説明を聞いてください。

今の時代は、自分の課題を解決してくれないテキストコンテンツは読まれないので、課題を解決してくれることが前提条件です。その上で課題解決をしている「当事者であるかどうか」というのが重要視されています。

noteで人気のあるのは、自身の課題と同じステージに立っている人の記事です。Web系エンジニア3年めの人は、同じくらいかそれより少し上のステージにいる当事者のコンテンツが読みたいのです。

ではブログ飯系ブログが誰の課題を解決しているかといえば「ブログ飯で生きたい人」です。この読者対象が、ものすごく狭いわけです。しかも、ブログのトレンドが縮小しているので、鶏卵の関係でこの需要自体が激減しています。

noteが人気なのでは、エンジニア、デザイナーなどの多様な職種の人たちや、主婦、子育て中のママなどのライフステージに合わせたたくさんの当事者たちが、課題を解決するコンテンツを提供しているからなのです。

投資などの特定領域のハウツーブログは、企業メディアに駆逐された


ということでブログ飯系ブログのうち、以下は読者対象が狭いことで消えていったのですが、

〇当事者×課題解決(4マスの右上)
・ブロガーやインフルエンサーになるハウツー

下記については、企業メディアに駆逐されたと言えるでしょう。

〇俯瞰×課題解決(4マスの左上)
・投資などの特定領域のハウツー

投資であったり不動産であったり、特定領域のハウツー記事については企業の公式メディアが俯瞰した視点で記事を提供しています。記事単位のクオリティが勝てないこともそうですが、企業は戦略的にSEOを駆使してくるので、個人ブロガーが勝つことは難しいのです。

ということでまとめると、ブログ飯系ブログは

・当事者性のあるコンテンツの勃興により、もともとブロガー向けという狭い読者対象コンテンツが消えていった。
・企業公式メディアの参入により、俯瞰の視点で書いていた特定領域のハウツー記事が消えていった。

という2点の理由により姿を消したのです。

ブログ飯ブームの功罪

このブームはけっこう罪深いと思っていて、ブログを書きたかったら本当にやるべきことはブログを書くことではなく、当事者性の獲得だったのですよね。
つまり、エンジニアになってプログラミンを学ぶとか、金融系の会社に就職してプロの投資を学ぶとか、カフェで働いてコーヒーを極めるとか、何らかの当事者性を獲得していれば、今の時代もnoteで支持を集めることが可能だったのです。

しかし、数年ものあいだ毎日ブログをただ書いていたのだとしたら、当事者性を獲得することもないまま、ブログ飯ブームの終焉を迎えたことになります。

オピニオンブログは、根こそぎYouTubeに持っていかれた

では、もう1つのブログの種類であるオピニオン系ブログがなぜ消えたのかというと、根こそぎYouTubeにその役割を持っていかれたからです。

オピニオン系ブログを4マスで考えると以下になります。

■オピニオン系ブログ
〇俯瞰×エンタメ(4マスの左下)

オピニオン系は誰かの課題を解決するわけではないので、読んでいて面白いエンタメの領域にはいります。かつ、当事者ではないので俯瞰になります。

つまり、切実に情報を欲してないけれど、見ていて知的好奇心をそそられるコンテンツなのです。これは、テレビと同じような役割になるので、動画の方が適したフォーマットになります。それがYouTubeの盛り上がりによって、根こそぎ動画に移し替えられてしまったのです。

オピニオン系ブロガーはブログを書かなくなりましたが、堀江貴文氏をはじめとするオピニオンリーダーによって、時事ネタ解説等はYouTubeにおいては人気を博しています。

繰り返しになりますが、今の時代は自分の課題を解決してくれないテキストコンテンツは読まれないので、ただ面白いエンタメコンテンツは動画で提供する必要があるのです。

このあたりは以前こちらの記事で書いているので、興味があれば読んでみてください。

マス向けコンテンツの作り方。鍵は能動的から、受動的への変換
https://note.com/media_labo/n/n1e21f330dc27

オピニオン系の内容だけど、YouTubeはやりたくない

ということで、なぜブログは消えたのかを解説してきたのですが、ひとつ悩みがあります。最近noteを改めて書き始めたのですが、このnoteは気になったことを俯瞰で解説しているので、4マスの左下

〇俯瞰×エンタメ(4マスの左下)

に該当するわけです。つまり「自分の課題を解決してくれないテキストコンテンツは読まれない」は、まさにこの記事にも適応されるというパラドックスが発生しているのです。
本当は、noteではなくてYouTubeで配信するべきなのです。しかし、私と同じように動画を配信したくない、という人はけっこうな数いると思っていて、そのへんを解決してくれるソリューションについて思い悩むのでした。


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