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AIに奪われない「ハブになる仕事」とは?

AIに奪われない仕事


生成AIが盛り上がっており、クリエイターを中心に仕事が奪われるというのが真実味を帯びてきました。広告代理店などでもAIを導入することで人員削減をしているというニュースがちらほら聞こえてきます。
AIに仕事を奪われるというのが現実味を帯びてきたのですが、それでも当面はAIに奪われない仕事があります。それは、AIの特性に寄るものになります。

AIには2つの特性がある


現在AIが持っている特性には以下の2つがあります。

1点めは、AIを活用するためには正しいプロンプト(指示)を与える必要があります。例えば文章をAIに校正してリライトしてほしいとしましょう。

「誤字脱字と表記ぶれチェックをした上で全文を出力してください」

とプロンプトを入力する必要があります。しかし、単にプロンプトを入力するだけでは不十分です。上記のプロンプトを与えた結果、AIが元の文章を短くして出力してくることがよくあります。その場合、それを考慮したプロンプトを与える必要があります。

「誤字脱字と表記ぶれチェックをした上で全文を出力してください。ただし、元の文章量からワード数は変えないこと。増減の許容量は400ワード以内とする。」

などです。

このように、AIを使いこなすには正しいプロンプトを与えた上で、AIの出力結果を見てさらにプロンプトで調整する必要があるのです。

2点めは、AIはインターネット上の過去の情報を学習をしているということです。AIはありとあらゆる情報を網羅して学習していますが、それは今までに蓄積された過去のデータ郡を学習し、最適解と思われるアウトプットを出しています。

ということで現在のAIには

  • 正しいプロンプトを入力する必要がある

  • 蓄積された過去のデータを活用して最適解を導き出す

という2点の特徴があるわけですが、この特徴がそのままAIに奪われない仕事につながってきます。

多くの人は正しいプロンプトを入力できない


まず、1点目の特徴として、多くの人は正しいプロンプトを入力できません。大手企業からシステム開発を請け負ったことのある人なら分かると思いますが、顧客の多くはどういったシステムを開発すれば良いかの明確なイメージがありません。つまり、システム開発における明確な指示書=プロンプトが何なのか分からない状態です。

ですから、システム開発に携わるプロジェクトマネージャーは、「どういった指示書(プロンプト)を作るか」という要件を顧客にヒアリングしながら引き出しているのです。

この点において、現状のAIは明確なプロンプトを入力できる人だけが活用できるものなので、多くの「適切なプロンプトが何なのか分からない」顧客に対してヒアリングしながらプロンプトを決めていくという仕事はなくならないのです。

AIはリアルワールドの政治的事情を考慮しない


そして、AIの2点目の特徴はインターネット上の過去の情報において学習をしているということでした。

インプットする情報さえ正しければ合理的な結論が出力されるはずですが、大企業の中で仕事をしたり、あるいは仕事を請け負ったことのある人なら、物事の多くが合理的に進まないことが分かるでしょう。

多くの企業は組織なので、そこには政治的事情が絡んできます。例えばシステム開発を実施するA本部の本部長はプロパーではないので、社内での発言権が弱い。A本部のシステム開発は会社にとって優先すべき事項だが、B本部の本部長はプロパーで発言権が強いので予算取りで押し負ける可能性がある、といった具合です。

AIの学習はデータという領域に閉じているので、現在のところAIがふらふら動き出してA本部の本部長から事情を聴いたり、B本部の本部長のメリットを提示した上で事前に根回しをするという政治的動きなどはできないわけです。

つまり、組織における政治的事情を勘案して根回し・調整ができる仕事というのもAIに奪われる心配はありません

AIに奪われない仕事は「ハブになる仕事」

以下のAIに奪われない2つの役割には共通点があります。

  • 顧客に対してヒアリングしてプロンプトを一緒に決めてく

  • 組織における政治的事情を勘案して根回し・調整をする

顧客から情報を引き出し、最適なプロンプトを考え、組織における政治的事情を勘案して調整をしていく、つまり事業や会社組織におけるハブになる仕事なのです

具体的にハブになる仕事とは何かといえば、以下のようなものになります。

  • 営業職

  • コンサルタント

  • プランナー

  • プロジェクトマネージャー/プロダクトマネージャー

  • 編集者

様々な顧客やステークホルダーと連携をしながら、事業を推進していく仕事です。例えば冒頭で広告代理店も人員削減をしているというエピソードがありました。
たしかに広告プランを作る、出稿する文言を作るというタスク単位はAIに取って変わられます。
しかし、顧客にヒアリングをしてやりたいこと(プロンプト)を引き出して、AIやその他メンバーに指令を与えるハブとなる人材は絶対的に必要です。
また、これらハブとなる職種はAIに仕事を奪われないが、自身はAIを使いこなせることが必要条件になってきます

ハブとなる仕事がAIに取って変わられるとき


ここからは思考実験的な内容になりますが、これらの「ハブとなる仕事」がAIに取って変わられるのは、AIを搭載したヒューマノイドが普及したときだと思っています。

AIを搭載したヒューマノイドが

  • 顧客に対してヒアリングしてプロンプトを一緒に決めてく

  • 組織における政治的事情を勘案して根回し・調整をする

を行うことが可能になれば、人間を代替えできてしまうからです。組織における政治的事情などの情報は、リアルワールドを動き回らなければ収集できないので、ヒューマノイドである必要があります。

すでにヒューマノイドの開発はイーロン・マスク氏のテスラ社などから発表されていますが、今のところはブルーカラーの労働を代替えする目的で開発されています。

1台あたり300万ウォンのロボットに家事労働や工場労働など人間の仕事を代行させるのがマスク氏の計画だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3855ab6e2e22ffb59de573c19a443e7e3524c27e

つまりこれからの20年については、ハブとなる仕事は安泰だと思って良いと思います。その先は、ハブとしての役割を代替えするAIを搭載したヒューマノイドが登場するのかもしれません。
そしてその過渡期にはヒューマノイドが本部長の本音を居酒屋で引き出したり、タバコ部屋でチームメンバーの愚痴を聞きながら、リアルワールドの情報を収集する世界観が来るのかもしれません。

もしもAIに全て取って変わられたら


AIを搭載したヒューマノイドが普及して、労働者のマジョリティになった場合「顧客にヒアリングをしてプロンプトを決める」ことも「政治的事情を勘案して調整する」ことも不要になります。

なぜならば、AI同士であれば合理的な決定を下せるからです。仮に意思決定者以外の労働者全てがAIに代替えされた場合は、逆にヒューマノイドである必要がなくなります。というか、意思決定者すらも代替えされてしまうと、完全に「マトリックス」の世界観になります。

ということで、最後の方はただの思考実験になりますが、これから20年はAIに奪われないであろう仕事について考えてみました。


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