見出し画像

不妊原因は人それぞれ違う? 検査の重要性

不妊の原因を探すことが、妊娠への早道

不妊治療はまず何が妊娠できない原因かを探すことが最も重要です。その不妊原因が見つかり取り除くことができれば、自然に近い治療で妊娠できる可能性があります。それぞれの不妊原因と、それに対するスクリーニング検査(不妊原因をみつける検査)を見てみましょう。


不妊原因に対する検査

不妊原因は一つとは限らない

例えば排卵障害などの明らかな不妊原因がひとつあっても、不妊症のスクリーニング検査はすべて行うことをお勧めします。もし検査を怠って治療を進めた場合に、不妊治療を行ってなかなか妊娠しないため、そこで検査を行って不妊原因が見つかると、それまでやってきた不妊治療がすべて水の泡になります。

では実際の不妊症の検査は?

実際の不妊症のスクリーニング検査をリスト化すると表のようになります。

不妊スクリーニング検査

それぞれの検査で何がわかる?

男性因子は精液検査を行うことで多くのことがわかります。また女性因子は、基礎体温表で排卵の有無を確認し、血中ホルモン値の確認で卵巣や甲状腺などの異常の有無や、内診や経腟超音波検査で子宮や卵巣の病気の有無を確認します。
さらに子宮卵管造影検査で卵管の通過性、性感染症のひとつのクラミジア検査で現在の感染および感染既往の有無を確認します。

ヒューナーテストでは何がわかる?

また、排卵時期に性交をもち子宮の頸管粘液内の精子を確認するヒューナーテストで、射精後に子宮の中に十分に動きの良い精子が入っているかを確認することができます。
ヒューナーテストで、頸管粘液内に運動精子が無いもしくは非常に少ない場合には、もともとの腟内で射精した精液所見が悪いか、もしくは精液所見が正常なのに精子が子宮頸管内の頸管粘液で動きを止められてしまっている、もしくは減らされてしまっていることが考えられます。
その原因として、女性が精子に対する抗体(抗精子抗体)ができてしまう場合や、初期の子宮頸がんなどで子宮頸部を部分的に切除する円錐切除術の影響などがありますが、原因がわからない場合も多いです。

不妊原因がなければ、自然妊娠できる?

検査をしても不妊症の原因が見つからなかった場合、不妊治療しなくても自然妊娠できると思ってしまう方もいるかもしれません。
原因不明不妊症は、不妊原因がないのではなく検査が不可能な原因があることが多いです。卵管が通っていても、精子と卵子がうまく出会えていない、出会えても受精できないなどの問題が考えられ、体外受精までの治療が必要になることも多いです。

妊娠は通過点・・・妊娠中の合併症のリスクも調べよう

また不妊治療のゴールは妊娠することだけではなく、無事に妊娠・出産、さらには子育てができることがゴールです。そのため、流産などの妊娠中の合併症の発症リスクの有無や、妊娠中に問題となる合併症(循環器疾患、代謝内分泌疾患、膠原病など)も確認し、他の病気がみつかる場合は不妊治療を開始前に専門の医師に診てもらう必要があります。そのため、一般的な肝機能や腎機能などの血液検査や風疹抗体も含めた感染症検査、子宮頸部細胞診も行っておくことが望ましいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?