megamouth

文学、音楽活動、大学中退を経て、流れ流れてWeb業界に至った流浪のプログラマ https://www.megamouth.info/

猫は東へ

年老いたハルは毎日、お気に入りのソファで寝てばかりいて、自然と夢の話をするようになった。

猫缶を開けて、中身をスプーンでほぐしていると、それを聞きつけて目覚めたハルが、キッチンにノロノロ入ってきて、僕の足に茶色の毛をこすりつけて、餌をねだる代わりに大きなアクビをした。

今日の夢は、大きな音のする部屋に閉じ込められて、少し怖かったけど、お父さんが膝に乗せてくれたから存外平気だった。という話で、そ

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C20 -弦-

「どこで生きるべき時間を間違えたんだろうな?」

ドラムのカンジが言った。
奴が持ってきた極上のネパール産という触れ込みの葉は、いつもの粗悪品とちっとも変わらなかった。相変わらず面白みも何もない。脳みその後ろがずり落ちていく不愉快な感覚だけがある。

「高校でもっと勉強しておけば良かったのにな、あんた、それなりにいい学校だったんだろ?」

俺は吐き捨てるように言ったつもりだったが、アルコールとマリ

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C20 -鼓-

部屋に一人でいて何もしない、ということに、最近はすっかり慣れた。
実際、この部屋で暇つぶしになることは何もない。担任教師が家まで持ってきた一度も開いていない教科書とか、親が買ってきた少年少女のための単行本とか、そういうのは、もうこの部屋にはない。全部窓から投げ捨てた。

パソコンもテレビもスマホも元からない。あとは蹴破って穴だらけにした壁と茶色のカーテンが年中覆っている窓を眺めるぐらい。でもそれは

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