処罰から回復へ ドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」

坂上香監督のドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」。

「島根あさひ社会復帰促進センター」は、官民協働の新しい刑務所。警備や職業訓練などを民間が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化され、ICタグとCCTVカメラが受刑者を監視する。しかし、その真の新しさは、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを日本で唯一導入している点にある。なぜ自分は今ここにいるのか、いかにして償うのか? 彼らが向き合うのは、犯した罪だけではない。幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶。痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情。そして、それらを表現する言葉を獲得していく…。
(HPイントロクダクションより)

以前、人間の暴力性・加害性について興味があって、調べていて。
「暴力」は身体的なものだけに限らず、精神的なものも含まれると知ったとき、自分自身も過去に知らず知らずに暴力をふるってきたひとりなんだと気づかされた。
「ストップ!DV市民講座」暴力からの離脱=喪失体験

DV、虐待、パワハラ、セクハラ、モラハラ、怒鳴る、脅す、強制強要すること。親から子へ、教師から生徒へ、上司から部下へ。
振り返れば身近に溢れていて。
あまりにもふつうに存在しているから、この社会で生きるならそうふるまう必要もあるんだと、いつのまにか学習してきたんだと思い知った。

そんな社会では、誰しもがいつ加害者になるか分からないなと思う。


「私には犯罪歴も壮絶な過去もないのに、自分の姿を見ているようで、動揺し胸を揺さぶられた。私たちはもう限界なのだ、自分のつらさを言葉にして受け止めてもらえる場がないまま、生きるのは。」星野智幸 小説家

先行試写会があったようで、星野さんのこのコメントには胸アツになった。

この社会の生きづらさ。
もう限界だよね。厳しいっすよね〜。
自分のつらさを言葉にして受け止めてもらえる場がないまま」生きるのは限界だというメッセージ、だから生きづらいんだよね。

自分の言葉なんて発する機会がない。
ましてや、受け止めてもらえる場所もない、人もいない。
それ以前に、気持ちや感情なんかよりも、その場に合わせることをよしとする慣習・風土。
いつからか、そうすることが当たり前だと思っていた。
だもんで、我慢の先に報われるなにかがあるかと思っていたら、驚くことになんもないっていうオチで。本当にウケる。
自分のアホさを笑った。

そうまでしないと分からなかった、気づかなかったアホな自分。
◎自分の気持ちを感じたい。
感じたのを自分の言葉にしたい。
そして、受け止めてもらいたい。
心から望んでいるのは文字にすればとてもシンプルなことなのよね。


「処罰から回復へ」はこの映画のキャッチコピーのひとつ。刑務所の中にいる罪を犯した彼らだけでなく、この社会に生きる誰もが身に染みる言葉じゃないかなと思った。

劇場公開は2020年の1月から全国で順次されていく予定みたいよ。
劇場情報はこちら

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