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読書感想文 |『残念な職場』


久しぶりの読書記録です。

夏休みに、河合薫さん著の『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』を読んで、ある種の逆張り的視点で面白かったので、他の本も読んでみようと探していたところ、kindle unlimitedで見つけた1冊。

結構引用されているストーリーが重複しているので、私としてはまず先に『残念な職場』を読んでみて、それで著者の語り口が好きだったり、その先の提案が欲しい場合は最新の『40歳で何者…』を追加で読む、という順番をお勧めしたい。

残念な職場、というタイトルがうまいなぁというか興味を引くキャッチーなタイトルだな、といわゆるタイトル買いみたいな感じでダウンロード。

前半はどのような会社、組織が残念なのかが書かれており、後半にかけてその処方箋が綴られている。

「組織の生産性に直接的に関係しているのは組織の下層部で働く人たちで、上層部にいる人たちは生産性にほとんど寄与していない」(スコット・アダムズ)。

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「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」
という踊る大捜査線の映画で生まれた名台詞。
室井さんが難しい顔をしながら、どこに行くか?と聞かれ、
「現場だ!」
と言い切る様も印象的だった…

かつての刑事映画でも描かれていたように、とかく日本社会では現場を軽んじるらしい。それは20年経った今も変わらずに深く根付いているようで。

経営層が現場を大切にする姿勢があれば、現場も経営サイドに対する考え方も変わるのかな、と感じたところ。

終身雇用は会社の生産性を下げない


終身雇用制度はまるで悪しき制度かのように語られる昨今というイメージが私にはあったが、本書では終身雇用制度の良い面が紹介されていて、興味深かった。

終身雇用は英語で言うと、lifetime commitmentとなる。このコミットメントがあるからこそ、少々失敗をしても職を失うことがない、という安心感が生まれて前向きな取り組みや物事に対するチャレンジ精神が育まれる。

残業のリスクを知らない職場

残業のリスクについては、科学的根拠満載で説得力あり。

残業のしすぎは逆に効率が悪くなるし、健康リスクも高まる。それなのに、命を削って頑張り続けるサラリーマンの行動心理はどこから来るのだろうか。ということを考えさせられる章だった。

部下を生かすも殺すも上司次第

若手へのアドバイスとして、仕事に役に立つ情報を伝える、というのはシンプルながら意外と出来ていないことなのかな、と感じた。

なるほど今の若い人は、自分が分からないことを聞くと「ダメなやつ」レッテルを貼られてしまうのではないか、という恐怖から無闇に言い出せない、とのこと。これも会社で重箱の隅をつつくが如く厳しく指導される様の負の影響なのかな、と勝手に想像。

やたら厳しい指導は組織を律するための抑止力になると思いきや、若手がむやみに質問できなくなるという側面もあるのかと新たな視点を得た。

そして若手と管理職の間に生まれてしまった壁だったり溝を埋めるために一役買うのが、あいさつというなんともシンプルな解決策にも難しく考えるよりもまずはできることをやってみる大切さに気付かされるストーリー。

そして最後に紹介されている、『死ぬ瞬間の5つの後悔』仁木めぐみ訳、新潮社)の引用は悔いのない人生を歩めているかを確かめるとってもシンプルな指標だ。

1.他人が自分に期待する人生ではなく、自分自身に正直な人生を生きる勇気があればよかった
2.あれほど働かなければよかった
3.自分の気持ちを率直に表現するだけの勇気があればよかった
4.もっと友だちづきあいをしておくべきだった
5.もっと幸せな人生を送ればよかった

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これでこの本は締めくくられている。
結局、残念な職場を変えるのは自分自身の考え方や行動を変えること、これに尽きる。

そう思った時、私に湧き上がる感情、
(そんなことみんな言わないだけでわかってるんじゃないかな)
と即反応してしまうひねくれた自分。

でも私も含め、多くの人はその変わらない状況を誰かのせいにして同僚と居酒屋で愚痴を言いながらその残念な状況をただ受け入れているのが現状ではないか、なんて思ってしまう。

ここでちょっとでも行動が起こせるかどうか、それがゆくゆくは大きな変化につながることを信じて私が出来る仕事に役立つことを誰かに伝えていきたいな、と決意表明をしておく。

そしてその自分が思っている役立つことがその人にたとえ響かなくても、微かな希望を持って前向きに取り組んでいきたい。

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