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逃げるがかち | 『ゴールデンスランバー』

「オズワルドにされるぞ」

本も良し映画も良し。ただ映像を観た後は登場人物が映画で固定される。

暗殺犯に仕立てられるところから、ヒットマンに突如追われて平凡な風景の象徴でもあるようなファミレスでショットガンばぶちかまされる、という描写なんでぶっ飛びすぎ!

スリリングな展開に大学時代の思い出、友情、家族、などなどが織り混ざっていき興奮と感動の何とも絶妙なハーモニーに圧巻された。オチもいい。エレベーターは親指であえて押すようになったのは私だけではないだろう。

でも、私が一番ぐっときたのは逃走犯に仕立て上げられた主人公の父親がマスコミにがーっと詰め寄られている中で放つ言葉。伊藤四郎さん、名演技だなぁと涙が溢れてしまった。

「雅春、ちゃっちゃと逃げろ」

こうなってしまった以上、もう会うのは難しいだろうと腹を括った親父がマスコミを通して届くであろう不安一杯の息子に対して、心配するな、俺は知っている、生きててくれればそれでいい、とかそんな色々な感情がこの言葉の裏には充分含まれていて。

この会見をテレビ越しに涙ながらに見る息子。ここの描写はとっても印象的で、親子の絆っていいなあとしみじみ思わされる一幕だった。

自分もそんな親心を持つ人でありたい、と思わされた作品でした。

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