おばさんの戯言
私は小さい頃体が弱かった。
「東京に住んでいた頃、とてもいい漢方の先生に出会って、あまり予防接種は受けないように言われたのよ。あなた体が弱かったから。」
と母から聞いた。
2歳くらいで東京から長崎に引っ越したので私にその頃の記憶はない。
それから私も母となり、予防接種反対派のママ友と奇跡的に出会ったときにそのことを話した。
「毛利子来先生じゃない?」
自分に子供ができてから、たくさんの自然療法やワクチン関連本を読んでいたのでもちろん存じ上げていた。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
でも、何も知らない若かった私の母への助言に、本当に本当に感謝している。
赤ちゃんはすごい。
私のおっぱいだけで生きている。
ぴかぴかに輝いている。
神々しいくらいの、あの、ちぎりパンみたいな腕。
たくさん本を読んで、自分で学んで。
でも最後は直感で。
私は決めた。
子供に予防接種は打たせない。
だってこの子は今までおっぱいしか飲んでいない。
愛らしいちぎりパンに、どうして針が刺せようか。
まして体の中に何か得体のしれないものを入れるなんて。
予防接種をさせていない親、というのは結構生きづらい。
誰にもそんなこと言えなかった。
このひとなら大丈夫という人に出会ったときにだけ、どうしても必要なときにだけ、話した。
今13歳の娘はバンビみたいに長い手足をしていて、あの頃のちぎりパンの面影はない。
ワクチンはもちろん打つはずもないが、私に全く似ていない娘は今でもしっかりマスクをして学校へ行く。
娘が仲良しだった美しい子がワクチンを打ったことを聞いて、胸がずんと痛んだ。
へんなおばさんと思われてもいいや。
もう隠さなくてもいいや。
誰も読んでいないかもしれないけど、田舎の片隅の小さな部屋の中で、私の心は叫ぶ。
周りの人への配慮より、もっと大事なものがあるよ。
たった一つのぴかぴかに輝くあなたの命だよ。
お母さんはそれを守るために、直感に耳を澄まそう。
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